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世界初のリサイクルモール

こんにちは、コーイチです。
今回は、近くのショッピングモールに立ち寄るのと同じくらいの感覚で、何でも簡単にリサイクルできる世界初のリサイクルモールを見ていき、今後日本でも同様の施設が出来るのか考えてみたいと思います。

1. Retuna Återbruks galleria
     (リトゥーナ・オーテルブルクス・ガレリア)

(出典:BBC News youtubeより)

 2015年8月にオープンした「Retuna Återbruksgalleria galleria (*以下、Retuna)」というショッピングモールは、スウェーデン、ストックホルムから西に70マイル離れた小さな川沿いの街「Eskiltuna(エスキルストゥーナ)」にあるリサイクルセンター「Retuna Återvinningscentral(リトゥーナ・オーテルビニングセントラル)」に隣接した、2階建ての中古品店の複合施設です。
 世界初のリサイクルモールであり、気候変動に配慮したショッピングに革命を起こしています。
 古いものは、修理やアップサイクルによって新しい命を吹き込まれ、売られているものはすべて、リサイクルや再利用、または有機的あるいは持続可能な方法で生産されたものとなっています。

 「Retuna」は、以前は物流会社のトラックを保管していた倉庫を改装して作られました。
 広々とした魅力的な空間で、インテリアや装飾品にリサイクル素材が使われ、中古品の店舗とは思えないくらいスタイリッシュできれいなのも魅力となっています。
 また、ロビーにある装飾やベンチもすべてリサイクル品を利用して作ったもので、なるべくゴミを出さないようにという意識がすみずみまで行き届いています。

(出典:Rob Greenfield youtubeより)

 モールには、洋服、DIYツール、フラワーショップ、玩具、家具、カフェ、レストランなど、さまざまなショップがあり、専門店で販売されているのは、すべてリサイクル品です。
 訪問者は廃棄する材料をコンテナに分類し、再利用可能な玩具、家具、衣類、装飾品、電子機器を「Retuna」と呼ばれるモール内のデポに簡単に預けることができます。
 回収所では、AMA(Eskilstuna自治体の活動)のスタッフが、使えるものとそうでないものを最初に選別します。
 その後、品物はショッピングモール内のリサイクルショップに送られます。
 リサイクルショップのスタッフや「ikea」などの製造会社や修理業者は2回目の選別を行い、修理、修復、変換、精製、そして最終的に販売するものを選びます。

 2018年に130万ドルのリサイクル製品の売上を達成した「Retuna」の成功の秘訣は、地域社会との関わり方です。
 サステナビリティに焦点を当てたイベントや講演会、ワークショップを開催し、地元の学校と共同で教育プログラムを実施し、ツアーやミーティングにスペースを開放しています。
 「Retuna」は地域社会の一員であるだけでなく、地域社会を積極的に支援しようとしてます。

2. 環境を考えて

(出典:Business Insider youtubeより)

 Eskiltuna市は、環境保全の模範となるべく努力しており、
環境関連の開発業務の中で、「普通の」お店でありながら、リユースやアップサイクルの製品を扱うモールをオープンさせるというアイデアが生まれました。
 このコンセプトは、幅広いターゲット層を惹きつけ、持続可能性や循環型経済に関する知識を広めることができます。
 地元政府の政治家たちは、このアイデアを実現することを決定し、2014年8月にプロジェクトの建設が始まり、「Retuna」は、2015年8月に開業しました。

 「Retuna」と「Retuna Återvinningscentral」は、自治体が所有する「Eskilstuna Energi och Miljö(EEM)」が運営しています。
 「EMM」とは、エネルギー・環境分野で競争力のある組織を運営することを使命とする自治体企業で、環境への影響を最小限に抑えながら、顧客と住民に最適な利益を提供しなければなりません。
 「EMM」の目標は、エネルギーと環境に関するロールモデルとインスピレーションの源となり、現在と将来の世代のために持続可能な社会的利益を創造することです。
 「EMM」は電気グリッド、電力市場、水と衛生、リサイクル、エネルギー、マーケティング&セールスの6つの事業分野で活動しており、「Retuna」は、リサイクル事業分野に属しています。

 「Retuna」は、持続可能なショッピングを提供し、環境問題に関連する公的な教育機関としての役割を果たすだけでなく、50以上の新しい雇用を生み出しました。
 このモールは国際的なニュースとなり、世界中のドキュメンタリー映画制作者、ジャーナリスト、好奇心旺盛な観光客が「Retuna」を訪れました。

3. Anna Bergström
  (アンナ・ベルグストロム)

(出典:Council of the EU youtubeより)

 アンナ・ベルグストロムは以前、ショッピングセンターの経営に携わっていた経験がありますが、その世界はどんどん浅くなり、結局は数字がすべてだと感じていました。
 「Retuna」のセンターマネージャーという新しい役職に就いた彼女は、環境に貢献しながら商業面でも自由に活躍できるようになりました。
 「Retuna」は、フリーマーケットではないことを明確にするために、スタイリッシュでモダンな施設を持つショッピングセンターとして構築することが重要でした。

 寄付された品物でお金を稼ぐというのは、一見大胆なアイデアに見えるかもしれませんが、これも2015年のオープン前にアンナの頭の中を駆け巡ったことだといいます。
 もちろん、自分が持ち込んだものがお金になることに反発を覚える人もいると思いますが、多くの人は、地球を救うために自分で売ることを推奨しているとアンナは説明します。
 それどころか、想像をはるかに超える、ほとんど手に負えないほどの品物が舞い込んできたと言います。

 また、「Retuna」では、再利用に対する理解を深めるためにさまざまな取り組みを行っており、建物内では、環境負荷への意識を高めることを目的に、おもちゃの交換会やワークショップ、講演会、シネマナイトなど、さまざまなイベントが開催されています。
 「最後のビオの夕べ」というイベントでは、世界のミツバチの死について触れたドキュメンタリー「Not just honey」を上映し、養蜂家協会も参加して、さらにディスカッションを行いました。
 また、「Eskilstuna Folkhögskola」という民間の高校では、1年間の教育プログラム「リサイクルデザイン - Återbruk」を敷地内で行っています。
 施設内には、会議室もあり、気候に配慮したミーティングを行うことができます。
 更にカフェ・リトゥーラーマでは、オーガニックランチと焼き菓子を提供しています。

 開業から2年目にして、彼らのメッセージは届くようになりました。
 地元の議員がイギリスのブロガーに「Retuna」のことを送った後、一夜にして、大きな反響があり、母なる大地を守ることへの関心の高さを確認することができました。

 「私たちのコンセプトがスウェーデンで初めてのものであることは知っていましたが、おそらく世界でも初めてのものであることに気づきました」とアンナは誇らしげに語っています。
 特にフランス、オーストラリア、日本からの関心は高く、コンセプトとその成功について惜しみなく情報を提供しています。
 彼女は、同じようなことを始めたいと考えている人からの質問に喜んで答えます。
 「車輪の再発明は必要ない、もっと「Retuna」が必要だ! そうすれば、環境にも貢献できます。」「私たちは、リサイクルや環境問題で一番だと言っているわけではなく、ただカッコいいと言っているのです。」とアンナは述べました。

4. 最後に

(出典:Euronews Green youtubeより)

 2015年、「Retuna」は、スウェーデンのリサイクル賞で「Preventer of the Year」を受賞し、リサイクルと廃棄物防止を、これまでよりも一歩進めています。
 また、「Retuna」は、世界初のリサイクルモールとして2020年のギネスブックに登録されました。
 2020年には、1540万相当のリサイクル製品が販売され、開業時から約92%増加したと言います。
 持続可能な消費が現実となる、革新的で勇気ある、環境に配慮した取り組みと思われます。

 日本では、リユース・リサイクル市場は2025年には3.5兆円規模のマーケットに拡大すると予測されています。
 メルカリやフリマによって、中古品に対する抵抗感が薄れており、新品よりも割安な価格で購入する、購入した商品を売却すること消費者の行動は、「賢い消費」と捉えられるように変化してきています。
 今後、日本の人口総数は減少していくと予測されているものの、リユース・リサイクル品の売買を行う経験者人口は拡大していく見通しで、サステナビリティ意識の高まりも追い風になっています。
 また、「隠れ資産」と呼ばれる日本の家庭に眠る不要品の金額は1人当たり平均34.5万円、総額44兆円とも言われおり、これらの豊富なストックが、リユース・リサイクル市場で取引される機会が増えることで市場が拡大することが見込まれています。

 地域創生の一つとしても、このようなショッピングモールを行政、民間が力を合わせて作ってはいかがでしょうか。
 強い意志と資金、アイデアがあれば、このような施設を日本でも作れると思います。
 是非、実現させてもらいたいと思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。          
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KOH
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