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ブームからカルチャーへ

こんにちは、コーイチです。
今回は、既にオープンしてからかなり経っていますが、国内でも珍しく、国内初のアウトドアのショッピングセンターでもある「MORIPARK Outdoor Village(モリパークアウトドアヴィレッジ)」を見ていき、今後、他の地でもこのような業態が出てくるのか考えていきたいと思います。

1. MORIPARK Outdoor Villageとは

(出典:ASOBISM youtubeより)

 東京都昭島市に2015年、全国初の“アウトドア用品専門”のショッピングセンター、「MORIPARK Outdoor Village」が開業しました。
 運営は「昭和飛行機都市開発」で、前身は1937年設立の飛行機や関連部品などのメーカーで、戦後に米軍接収施設が返還されたことを機に1969年以降、ゴルフ場をはじめ、テニスクラブなどを開設してきました。
 1984年から昭島駅北口エリアで大型複合施設「MOEI TOWN」をオープンし、段階的に施設を拡充させ、現在はショッピング、グルメ、リゾート、エンターテインメントを集積し、約2300台収容の駐車場を備えた郊外型ショッピングモールへと発展しています。

 そこへ2015年に「MORIPARK Outdoor Village」が加わり、2021年4月にエリア全体を「Tokyo Akishima MORIPARK(東京・昭島 モリパーク)」としてリブランディングしたことにより、近隣に数ある郊外型ショッピングモールと一線を画す特徴が生まれました。
「Tokyo Akishima MORIPARK」は、ショッピングセンター「MOEI TOWN」、アウトドアの魅力を体験できる「MORIPARK Outdoor Village」、リゾートホテル「フォレスト・イン 昭和館」、テニスセンター、ゴルフコース・練習場などの施設が立地する、水と緑に恵まれた都市型リゾートエリアを包括する名称となります。

 売上はオープン以来毎年、右肩上がりで伸び、コロナ禍で2カ月休業したため一時は停滞しましたが、コロナ禍はアウトドアにとっては追い風となり、キャンプブームによって休業明けの売上は5割増しになったといいます。
 また、来訪者の反響も好意的で、体験から消費への行動もみられるようになり、『コトからモノへ』を体現しているショッピングセンターとなりました。

2.施設デザインの特徴

(出典:Ikidane Channel Japan Tour youtubeより)

 敷地に一歩足を踏み入れた瞬間からアウトドア気分が味わえる空間のデザインが「MORIPARK Outdoor Village」の特徴となっています。
 木陰の小路を進むと、突如開けた視界に、巨大な「クライミングウォール」と、カヤックが旋回できるほどの「小さな池」があり、高原のリゾート地やキャンプ場のようなしつらえとなっています。
 「MORIPARK Outdoor Village」は2万1,000㎡の敷地のうち、店舗用地はたった6割程度に過ぎず、売り場の延べ床面積は約8,700㎡ほどとなっています。
 売り場を広く確保し、多くのテナントを入れて売ることよりも、来訪者に開放的な気分でアウトドア用品を紹介し、アウトドアスポーツに親しみを抱かせるかに力点が置かれた空間づくりがなされています。

 施設内には、キャンプや登山などアウトドアスポーツの分野で世界有数のブランドやヨガスタジオなどのテナントが16店舗入居しています。
 ほかに、開放感あふれる「出会いの広場」をはじめ、施設内には「森の広場」、「芝生の広場」といった、ひと息つけるスペースもあり、「屋内広場」では、子ども向けのイベント、「芝生の広場」ではキャンプを体験するイベントや屋外シネマなども開催されています。
 また、トレッキングを疑似体験できる全長約200mの小径「トレイルレーン」、「ロックガーデンの道」、「ウッドチップの道」、「丸太の道」、樹齢75年のヒマラヤスギを使用した「切り株の道」など、さまざまな感触の道を歩くことができ、靴などを購入するヒントにもなります。

 昭島の新しいシンボルとして親しまれている、「クライミングウォール・モリロック」というネーミングは、280件もの一般公募の中から選ばれたもので、ここで、国際大会を開いたり、日本の有力選手のトレーニング場所として提供してきました。

3.体験が消費を喚起

(出典:Camp Japan youtubeより)

 「MORIPARK Outdoor Village」が立地する昭島駅は、奥多摩エリアのキャンプ場や山々に向かう愛好者が利用する青梅線や五日市線が停車します。
 その車内広告や御岳(みたけ)山にあるケーブルカーのヘッドマークに定期的に広告を掲載する一方、敷地内には奥多摩エリアの観光地などのパンフレットやマップを置き、相互送客を狙ったPRを行っています。

 「MORIPARK Outdoor Village」ではキャンプの楽しみ方を伝えながら、単にテントに泊まることにとどまらず、テーマをもって楽しむこと、キャンプは目的ではなくツール(手段)だと発信しおり、災害時における、火の起こし方や食事の作り方などに役立つなどということをアピールしています。
 また、初心者向けの「はじめてのキャンプ教室」や、屋内広場に全長75mほどのプールを設営しカヌー体験会なども開き、それがきっかけでカヌーやクライミングに興味を持ってもらうこともあるようです。
 「MORIPARK Outdoor Village」は、体験が消費を喚起するアウトドア用品と、立地の特性を最大限に生かした運営が最大の強みとなっています。

4.最後に

(出典:ワイルドビーチ座間 youtubeより)

 RECREATIONS株式会社が、イオンモール座間と連携し、「イオンモール座間」の隣接地に、2021年7月、国内4施設目となるアウトドアパーク「WILDBEACH ZAMA」(ワイルドビーチ座間)」がオープンしました。
 7,700㎡の広大な敷地内に、子供が思いっきり走り回れるビーチやラグジュアリーなBBQ場、デイキャンプやグランピング施設など、都心にいながら気軽にアウトドア体験が楽しめる施設となっています。
 施設全体は、「ビーチエリア」「パークエリア」「オートパークエリア」の3つのエリアがあり、全サイト食材・機材がそろっているので手ぶらでBBQが楽しめたり、イオンモールで食材・機材を購入し、持ち込み自由のBBQを楽しめたりできます。

 この事例のように、アウトドアとBBQやレストランなどとの併設による施設は、全国に結構あり、以前紹介した「Frogs Farm(フロッグスファーム)」などもそれに近い物かと思われます。


 しかし、「Alpen Outdoors」など単体の大型店舗では見られますが、本格的なアウトドア物販と体験が出来る施設はあまりなく、様々な専門店が集合しているショッピングセンターというのは珍しいと思います。

 現在のアウトドアブームは、コロナ禍がビギナーの獲得やアクティビティの多様化に拍車を掛けたと言われており、この先コロナが落ち着くとすれば、アウトドア人口は1000万人を超え、90年代の第一次ブームに追いつく日も近いのかもしれません。
(第一次ブーム最盛期にはキャンプ人口が1580万人)
 第二次キャンプブームと呼ばれている昨今、キャンプブームは終了し、ブームからカルチャーへとシフトし、日本のアウトドアカルチャーの一部として、すでに定着してきているのかもしれませんね。
 アウトドアグッズと併設したカフェやレストラン、カーショールームなども多数あり、今後しばらくは、この傾向が続くことが予想されます。
 本格的にカルチャーとして定着していくのであれば、地域創生と共に、今後もこのようなスタイルのショッピングモールが出来ていくのかと思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。 
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