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人と自然と経済が融合した未来都市
こんにちは、コーイチです。
今回は、いつもの商業施設とは違い、2022年7月に、サウジアラビアの一大事業としての巨大スマートシティ計画「NEOM」の未来都市「THE LINE」のデザインが発表されましたので、その内容を見ていき、日本でも未来はこのような都市計画が出来るのか考えていきたいと思います。
1.NEOMとは
(出典:NEOM youtubeより)
「NEOM」とは、サウジアラビア 北西部のタブーク州に建設中の巨大スマートシティ計画のことで、紅海の北側、サウジアラビア北西部で計画されている新しい産業都市のことを示します。
総面積は 26,500 km 2で、紅海沿岸に沿って 170 キロメートルに及ぶ予定となっています。
サウジアラビアは、2020 年までにプロジェクトの主要部分を完成させ、拡張を 2025 年に完了することを目指していましたが、予定より遅れ今回発表となりました。
このプロジェクトの推定費用は 5,000 億ドルで、 2019 年 1 月 に「NEOM」という名前の非公開合資会社が設立されました。
サウジアラビアのソブリンウェルスファンドである公共投資基金が所有するこの会社の目的は、「NEOM」の経済圏を開発することです。
また、「NEOM」カンパニーの取締役会会長は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子で、「THE LINE」の発表も行いました。
「THE LINE」は、「NEOM」において海岸砂漠、山脈、渓谷を一直線に貫く未来都市で、全長170km、幅200m、高さ500mという特徴的な形状を持っています。
この形状とすることで、従来型の都市の2%程度の敷地面積で出来るとのことです。
そして「NEOM」の95%の自然保護区の環境を壊すことなく維持することも可能だといいます。
「NEOM」は設計、光学、建設の優秀な人材によるチームを率いて、これらの課題に対処する最前線に立ち、新たな、想像力豊かなソリューションを提供し、上に向かうビルというアイデアを現実にしていくとのことです。
さらにムハンマド皇太子は、「NEOMは、世界中のすべての人々が、創造的かつ革新的な方法で世界に名を残すための場所となるサウジ・ビジョン2030の最も重要なプロジェクトの1つであり、国を代表して「THE LINE」を実現するという我々のコミットメントは揺るぎないものだ。」と述べています。
この発表時、ムハンマド皇太子はサウジ・ビジョン2030の一環で進めている紅海沿岸の産業都市計画「NEOM」の株式を、2024年に公開すると発表しました。
これにより、2027年までに政府が用意する5000億リヤルに加え、2000~3000億リヤルを調達することを予定し、現在世界で第7位の取引規模とされるサウジ証券取引所を、3位までに入るものとすることを目指しています。
*1リヤル=38円程度
(出典:Lavish Woo youtubeより)
2.THE LINE
(出典:NEOM youtubeより)
「THE LINE」は、まるで万里の長城を直線にしたような都市で、約8万人を収容でき、あらゆる施設に徒歩5分で到着することができるなど、人と自然と経済が高次元で融合した未来都市となっています。
「NEOM」の基幹事業の一つである都市計画「THE LINE」は、「Zero Gravity Urbanism(無重力都市設計)」とも呼ばれるデザインとなっており、幅200mながら全長170km、高さ(海抜)500mの三次元構造で、動力の全てを再生可能エネルギーで賄う「ゼロカーボンシティ」を趣旨としています。
また、外側の鏡面仕上げのファサードがユニークな個性を演出し、自然と調和するように設計されています。
「THE LINE」のデザインは、車や道路といった炭素集約的なインフラを排除することで、将来の都市コミュニティのあり方を体現しています。
この都市での炭素排出量はゼロとなり、個々の産業などは100%再生可能エネルギーで稼働し、自然とオープンスペースを統合することによって、空気の浄化に重要な役割を果たします。
また、従来の都市のように交通やインフラよりも人々の健康と福祉を、開発よりも自然を優先しており、「NEOM」の95%の土地の保全に貢献することを目指しています。
「THE LINE」は最終的に900万人を収容する予定ですが、その敷地面積は34k㎡と、他の同規模の都市と比べても突出した広さを誇ります。
このため、インフラの設置面積を削減し、これまでにない効率的な都市機能を実現することができます。
2030年までに事業の第一フェーズを終え、2045年には人口900万人超を擁するメガシティとする計画となっています。
*人口参考 大阪府人口(2022年):約833.7万人
大阪府面積:1,899 km²
*敷地面積参考 東京杉並区面積:34.06 k㎡
*高さ参考 東京スカイツリー高さ:634m
フロア450高さ:451.2m
*長さ参考 東京駅から長野駅(直線距離):約177 km
いかに大きい建物かわかりますね。
3.Zero Gravity Urbanism
(無重力都市設計)
(出典:NEOM youtubeより)
「THE LINE」は、都市デザインの新しいアプローチを提供するもので、「Zero Gravity Urbanism」と呼ばれるコンセプトで作られています。
都市機能を垂直に積み重ね、人々が上下左右に3次元的にシームレスに移動できるというコンセプトとなります。
単に高いビルを建てるのではなく、公園や歩行者天国、学校、住居、オフィスなどを重ね、5分以内にすべての生活に必要な場所に楽に移動できるようにする概念となります。
内部は、小売店、オフィス、医療機関、レジャー施設、ホテル、教育機関、住居などが絶妙に入り組んだ最適化された階層型構造を有しており、この構造を採用することであらゆる施設まで5分で徒歩でいくことができるとのことです。
また、マイクロクライメイト(局所気候)空間を確保するため、日光、日陰および自然換気の最適なバランスを可能にするように設計されており、年間を通じて理想的な気候とし、各所に緑化されたオープンスペースを設けることで、徒歩で移動しても周囲の自然を楽しむことができ、住民、労働者、観光客の快適性をより一層高めるとのことです。
自動車もなく温室効果ガスの排出もゼロで、エネルギーも100%再生可能エネルギーを採用し、全長170kmもある「THE LINE」の端から端までリニアモビリティーを整備し、わずか20分ほどで往来することができるようにする計画となっています。
さらに、約8万人の居住者に対しては、AIが自動で認識し、個人個人に最適なサービスを提供するシステムを採用するとのことです。
「THE LINE」は、レガシーが存在せず、次世代の建築様式で、徒歩が中心のコンパクト化されたエコな垂直都市で、居住性とワークライフバランスの最適化を図っている付加価値の高いものになる予定です。
4.最後に
(出典:NEOM youtubeより)
現在のサウジアラビアの人口は3,500万人ほど(約1/3が外国人)ですが、2030年までに5,000~6,000万人(約1/2が外国人)ほどに増えることが期待されています。
既存のリヤド、ジェッダの二大都市でこの人口増加に対応するのは、住居と生活サービスの提供、並びに管理という観点でも早晩限界が訪れることが予想されており、「THE LINE」はその人口増の5分の1~6分の1ほどを負担することとなります。
ゼロから都市を作ることで都市の問題を解決するというアイデアは今までにもありました。
ブラジリアやインドのチャンディーガルから、マレーシアのプトラジャヤやアブダビのマスダール・シティまで、これまでに試されてきました。(一部はまだ進行中)
しかし、そのような手の込んだ都市計画は、様々な問題も発生した新しい都市環境を作り出しました。
サウジアラビアのように砂漠が多く、住環境に厳しい国では、このような計画も理解できます。
また、これが実現すれば、世界全土へとインパクトを与えることは間違いないかと思います。
(出典:NEOM youtubeより)
日本は狭い国土なので、人口が増え、都市に人が集中するのであれば、同様の計画も考えられそうですが、国土の形状や河川の多さ、土地、法的制限など考慮すると同様の建物は考えられないと思います。
しかし未来では、環境をコントロールできる都市計画として、違う形での実現はあるかもしれませんね。
いずれにせよ、このプロジェクトが実現した時は、一度見てみたいものです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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