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食品店のサードスペース
こんにちは、コーイチです。
食品店の中には、地域の人々が集い、交流するためのスペース「サードスペース」を店内に設けるところも出てきています。
店舗内にコミュニティが集うスペース「サードスペース」は決して新しいものではありませんが、より多くの買い物客を誘致し、利益率を向上させるために、この機能を店舗に追加する傾向が増加しています。
今回は、そのような事例を見ていき、日本でもこのような業態が増えていくのか考えたいと思います。
1.コミュニティ形成のため
(出典:Mashup youtubeより)
アメリカでの食品店の「サードスペース」はバー、コーヒーショップ、フードホールなどがあります。
このようなコミュニティ形成のためのスペースによって、さまざまな地域コミュニティの間でもファーマーズマーケットが人気を博している理由のひとつと言われています。
食品店にバーやレストランを出店する戦略は、パンデミックが始まる直前から人気を集め始めていました。
その後、コロナ禍になると、この戦略は失速しましたが、消費者が再びソーシャルシーンに参加するようになった今、この戦略は再び流行しています。
パンデミック後も自宅で過ごす人が多いため、地元のものすべてに関心を持つようになり、食品店によっては、買い物客にアピールするために、地元の企業と協力することもあるようです。
ニューヨーク市に最近オープンした、LOHAS志向の高級スーパーとして有名な「Whole Foods Market」には、ワイン、スナック、180種類の生ビールを提供するバーと、フルサービスのコーヒーバーが併設されており、ビールには地元のクラフトビールも含まれています。
また、マンハッタンにある別の「Whole Foods Market」には、「ハイライン」と呼ばれるニューヨークのランドマークに直接アクセスできるバーや席があり、テーブル、ケース、ペンキの色に至るまで、すべて手作業によって選び抜かれたものとなっており、「ハイライン」のハドソンヤードコミュニティに美しくフィットするように、すべてが非常に思慮深く、非常に戦略的に設計されています。
さらに別の店では、ミートショップや作業員が食材を調理する様子を見ることができるような店舗もあります。
2.食品店の楽しみ
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食料品チェーンの「Sprouts Farmers Market」は、地元のコーヒー会社「Press Coffee」と提携し、フェニックス店内にコーヒーショップをオープンすると発表しました。
一方、オーガニック食品店の「Natural Grocers」は、店舗を活用して、セミナーや料理の実演、健康フェアなどのイベントを定期的に開催しています。
マーケティング会社「 Vericast」 の食品チャネルに特化した顧客戦略ディレクター、ジュリー氏は、オンライン食品配達や*Curbside pickupが一般的になるにつれ、小売業者は顧客が店に入るべき理由を考え出そうとしており、これらの新しい店舗機能は、消費者が食料品の買い物を楽しみにするようなものになると述べています。
*Curbside pickup:オンライン上で注文した商品を、店舗の
駐車場で受け取ることができるというサービスのこと。
食品店は利益率が低いため、食料品以外のものを提供することで、顧客がより長く店にとどまり、利益率の高い商品にもっとお金を使うように仕向けることができるようになると言われています。
3.サードスペースへ
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「サードスペース」とも呼ばれるスペースは、食品店がより多くの収益を上げ、買い物客を店舗に誘引し、しばらく滞在させるための方法です。
大半は、バーやレストランなどが多い一方で、飲食やたまり場とは別に、ユニークな体験に多額の投資をしている小売企業もあります。
スーパーマーケット・チェーンの「H-E-B」は、テキサス州オースティンのSouth Congress店に、ライブパフォーマンス用の屋外ステージを建設し、屋内と屋外に食事用の座席を設けることを計画しています。
また、ライブのデモンストレーションやサンプリングも行う予定とのことです。
「H-E-B」は、この店舗に関する発表で、この新機能はこの場所を "コミュニティの集う場所"にするためのものだと発表しました。
また、テキサス州ジョージタウンの 「TXB Stores」、テキサス州キングスランドの 「Wakepoint LBJ」、ウィスコンシン州ケノーシャの「 Lou Perrine's Gas & Groceries」 などの コンビニエンスストアは、いずれも地域コミュニティに溶け込み、家族、友人、隣人と集まって楽しむための第三の空間「サードスペース」を提供しています。
しかし、店舗内の広いスペースを地域の集いのために使うことは、特に初期費用や必要な人員の関係で課題もあります。
従来の食品小売店の運営とは大きく異なり、適切なチームを配置したり、店舗のデザインやレイアウトを適切にすることで、トラフィックの点で食品店と競合しないようにする必要があります。
ウィスコンシン州の新しい「Hy-Vee」では、豊富な朝食メニュー、フルバー、屋外パティオを備えたパブがあり、それに付随する食品店の建設、家具、品揃えのために、3,300万ドル以上を地域に「投資」し、この店舗によって500人の地元雇用が創出されると言われています。
専門家は、より多くの食品店がこのようなスペースを活用する様々な方法を試すことを期待しており、どの場所がこのような「サードスペース」に適しているかを特定し始めるかもしれないと述べています。
4.最後に
「未来の店舗は、より地域に密着し、よりソーシャルなものだと思います」と、Kantar の Thomas 氏は 語っています。
電気自動車の普及とその充電に必要な時間は、食品店をより集いの場へと変えるかもしれません。
電気自動車の所有者は、充電している間、食品店で時間を過ごすことができるため、単純な買い物だけの食品店の業態を変える必要があるかもしれません。
日本では、成城石井の「DELO&CAFE」やイオンの「ここデリ」など、スーパーマーケットに「*グローサラント」
と呼ばれる業態を取り入れた店が徐々に増えてきていますが、まだ少なく、今後は、電気自動車の普及とともに充電設備を設置した「サードスペース」が多く出来てくるのではないかと思います。
*グローサラント:「グローサリー(食料品店)」+「レストラン(飲食店)」の造語。
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食品店の未来は、地元の商品と社交に焦点を当てたコミュニティの拠点になるかもしれませんね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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