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Meeting Placeという場

こんにちは、コーイチです。
今回は、従来の「ショッピングセンター」や「リテールパーク」の概念から脱却した、まったく新しい発想をめざす「IKEA」グループでのショッピングモールを運営する「Ikano Centers(イングカ・センターズ)」が開発している最近の施設を見ていき、「Meeting Place」とは何か、又日本でも同様の施設が出来るのか考えていきたいと思います。

1.Meeting Place構想

(出典:Ikano Centres youtubeより)

 昨今、世界がどのように変化しているか、小売業界が生き残るためには新しいトレンドに適応しなければならないか、といった話題が多く聞かれるようになりました。
 「Ikano Centers」は、未来に向けて、従来の「ショッピングセンター」や「リテールパーク」の概念から脱却した、まったく新しい発想が必要だと考えています。
 「Ikano Centers」が提案するのは、"meeting place "という概念の別の解釈と言います。
 それは、誰もが必要なものを見つけるだけでなく、成長し、学び、つながり、出会い、楽しむことができる空間を、独自の方法で創造することで、地域社会、自治体、パートナーを巻き込みながら、「出会いの場」を作っていくことと述べています。

 「Ikano Centers」にとってより良い日常をつくるということは、人々をすべての中心に据え、彼らの夢を現実に、願いを可能性に変え、バーチャルなつながりをリアルなものにしていき、人々を集め、運動を起こし、力を合わせて物事を実現することで、コミュニティを大切にし、繁栄させることを意味します。
 地球が幸せでなければ、人々も地域も幸せにはなれない考えのもと、サステナビリティに取り組み、環境にプラスの影響を与えるよう努力すると同時に、人々が自分たちの役割を果たし、より健康的で持続可能な生活を手に入れやすく、手頃な価格で、魅力的なものにできるよう、努力しているとのことです。
 「IKEA」やその他のパートナーとともに、多くの人が集い、必要なものを見つけ、地域や世界とつながることができる仮想的・物理的な出会いの場を共同で創造していきたいという想いです。

2.イノベーションの実験場

(出典:Charlie Fleming youtubeより)

 「IKEA」は2022年2月に、ロンドンに今後3年間で10億ポンド(14億ドル)を投資すると発表しました。また、首都圏のハマースミス地区に、英国初の都心型ショッピングモールを核とする「Livat・Hammersmith Kings mall」を開店しました。
 現在、郊外にある巨大な倉庫型店舗で知られる「IKEA」は、新しい買い物習慣に対応するため、都心部の小規模店舗とデジタルサービスなどの充実へと戦略を転換しています。
 ロンドンで計画されている投資は、既存および新規の店舗、流通・配送サービス、そしてさまざまなパイロット試験で、ロンドンをイノベーションの実験場として、新たな業態や取り組みを試行・開発していくということです。

 「Livat・Hammersmith Kings mall」は、「Ikano Centers」の56億5千万ドル規模のグローバル展開における重要なマイルストーンであり、中国での4つの新施設のオープン、インドでの2つの施設の計画が最近発表されたことに続くものとなります。

 スウェーデン語で「にぎやかな集まり」を意味する「Livat(リバット)」コンセプトの施設は、この施設によって、ヨーロッパデビューを果たし、まもなくカリフォルニア州サンフランシスコとカナダのトロントにも店舗をオープンする予定とのことです。

 「Livat・Hammersmith Kings mall」は、元々ゴーストSC化していた建物をスカンジナビア風の現代的なデザインと、来場者のたまり場となるアトリウムを備えてリニューアルされました。
 このモールは、新しい「IKEA」を中心に、「Lidl」、「Sainsbury's」、「H&M」、「Primark」といった従来のテナントや、ポップアップ・プラットフォームの「Sook」、食品店、インタラクティブな「Library of Things」などが入居しています。
 また、この地域密着型の施設では、来店者が便利な家庭用品をレンタルすることもできます。
 「IKEA Hammersmith」は、従来の店舗の4分の1の広さで、1,800点の商品をテイクアウトでき、4,000点の商品を展示しています。
 「IKEA」にとって英国初のキャッシュレス店舗で、セルフレジのみ、出入り口は3カ所あり、店舗の端には新しいスウェーデンデリが配置されています。

 「Ikano Centers」の責任者であるシンディ・アンダーセンは、私たちの都市型「Meeting Place」は、より定期的に訪れ、車での移動を必要とせず、現代の都心部のライフスタイルを反映してデザインされており、今後はヨーロッパと北米の主要都市でさらに場所を探し、小規模な「IKEA」とコミュニティの小売店やサービスを、場所によって組み合わせていくとのことです。
 尚、サンフランシスコでは、コワーキング、地元の起業家のためのスペース、新しいフードコンセプトが含まれる予定とのことです。
 また、「Livat・Hammersmith Kings mall」は、2019年後半に建物を購入した時点では25%の空室だったのに対し、リニューアル開業後は満室となり、商業施設市場の低迷の流れに逆らったものとなりました。

 2021年に象徴的な建物を購入したオックスフォード・サーカスの建物も、ロンドンの次の都心型「IKEA STORE」を2023年秋にオープンする予定と発表しました。
 その新しい施設では、「Collect Near You Lockers(ロッカーから半径45km以内に住む顧客が利用できる配送サービス)」などの新しいサービスも開始される予定で、成功すれば、ロンドン市内に20ヶ所展開され、ロンドンをイノベーションの実験場として活用する予定としています。

3. 新しいMeeting Place施設

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(出典:Ingka HPより)

 「Meeting Place」という施設は、既に中国で展開中ですが、2022年8月にインドにも建設することが発表され、着工されました。
 インドのニューデリー南西部にあるハリヤーナー州グルグラムで進められているこの最新プロジェクトは、面積が170万平方フィート(約15万8000平方メートル)を超える9階建てで、建設費は約4億ドルになります。
 この施設には、緑の植物にあふれたスペースとオフィスに加え、ホスピタリティ、飲食、「エデュテインメント」学習スペースの活気に満ちた組み合わせと、「IKEA」 ストアを中心とした幅広い小売店を提供し、ルーフトップガーデンや、公共イベントを開催するための円形劇場、小売と飲食店のエリアを結ぶ室内庭園も設けられる予定となっています。
 また、地域コミュニティのハブとして機能するように開発されており、年間を通じて、地域住民が利用できるフェスティバルや展示会のスペースを用意するようです。
 
 このプロジェクトで特に重点が置かれるのは、地域住民のニーズと飲食店、学びのスペースで、小売スペースの上には、約3万平方メートルにわたるオフィススペースがあり、他にも特別な構想があるようです。
 開発を推進している「Ikano Centers」によれば、コミュニティの交流拠点として、地域住民がリラックスし、心身の健康増進を促進できる場所となる予定ということで、2025年後半のオープンを目指しており、年間2000万人の来客を見込んでいるということです。
 
 「Meeting Place」という概念の施設は、欧州や中国、マレーシアやタイさらに、ロシア*でも展開されており、その多くは、基本的には「IKEA」を中心にしたショッピングモールとなっています。
*ロシアの施設は、ウクライナ戦争により、全て閉鎖。

 最近は、西欧諸国ではおもに、都市部での展開へと舵を切り、ロンドン、ウィーン、ストックホルムなどに店舗を構えています。
 しかし、中国やインドでの新たな施設づくりには、西欧のケースとは異なっており、アジアの施設は、1つ目は巨大で、2つ目は多目的な用途をもつ施設として構想されているのが特徴となっています。
 この新たな「Meeting Place」は、施設によってそれぞれ異なる特徴を持つようになり、「IKEA」をはじめとした小売店が入りますが、それ以外のスペースがどのような目的に使われるのかは、プロジェクトごとに変わるようです。

(出典:Chutney Bay youtubeより 米国のMeeting Place)

4.最後に

(出典:王里奈 youtubeより)

 世界最大級の「IKEA」のショッピングモール事業は、店舗閉鎖を余儀なくされていたコロナウイルス関連のロックダウンが解除された後、来客がすぐに戻ってきたことから、拡大計画は引き続き順調に進んでいると発表しました。
 「Ikano Centers」によると、コロナ禍での12カ月間の入場者数はほぼ1/4に減少し、テナントの売上高は16%減の54億ユーロ(64億ドル)にとどまったといいます。
 COVID-19の規制が解除された後、同社が「出会いの場」と呼ぶ「Meeting Place」には、すぐに来場者が戻ってきたようです。

 「Meeting Place」という施設は、「IKEA」を中心としたショッピングモールで、且つコミュニティ施設を充実させ、地域住民に開放され、日常的にも利用される施設ということかと思います。

 日本では、「IKEA渋谷」という中規模の都市型施設はありますが、「Meeting Place」と呼べるものではないようです。
 近い将来には、日本にも導入されるかと思いますが、中国やインドのように巨大なモールを作るのか、もしくは、欧州のように小規模で都会的なモールを作るのかは不明です。
 「ニトリ」や「無印良品」が先にそのようなモールを作るかもしれませんね。

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