ショッピングセンターのデジタル化
こんにちは、コーイチです。
今回は、以前の記事「ショッピングセンターは変わる?」の中で記載した、「SCブランドのオンライン注文システムを持つプラットフォームになることを目指し、地域のEコマースの物流拠点になること」が、実際にアメリカで行われ始めた記事を見つけましたので、そちらの内容を記載したいと思います。
1.デジタルマーケットプレイス
(The Corners of Brookfield紹介 出典:tasselldesign youtubeより)
ウィスコンシン州のショッピングセンター、「The Corners of Brookfield」がデジタル化を進めており、その一環がデジタルマーケットプレイスの立ち上げということです。
「The Corners of Brookfield」は、リテール向けクラウドソフトウェア会社のプレースワイズ(Placewise)と提携し、ウェブサイトの構築に取り組んでいます。
目指すのは、買い物客がモール内のすべての店舗の商品を閲覧できるだけでなく、BOPIS(Buy Online Pickup In-Store)*の注文や返品も可能な場所にすることのようです。
*BOPIS:オンラインで購入し、店舗ですぐに受け取り出来るシステム
2021年11月には、各店舗から選りすぐりのクリスマス商戦用ギフトを集めて、デジタルマーケットプレイスの試験運用を実施する予定で、さらに2022年末までには、テンピュール・ペディック(Tempur-Pedic)、ルルレモン(Lululemon)、L.L.ビーン(L.L. Bean)などをはじめとするテナント全社と提携し、全商品を取り扱う本格的なマーケットプレイスを展開したいと考えているとのことです。
BOPISは、デジタルコマース360(Digital Commerce 360)の報告によると、2019年には全米上位500位のリテーラーのうち6.9%しか実施していなかったようですが、コロナ禍の昨年2020年末には店舗滞在時間をできるだけ短くしたい顧客のあいだで需要が大幅に増加し、同じリテーラーの43.7%がこのサービスを実施していたとのことです。
国際ショッピングセンター評議会(ICSC)のリサーチおよびPR担当バイスプレジデントを務めるステファニー・セギエルスキ氏によると、「こうした変化は長期間にわたり見られるのではないか」と言っています。
2.買い物体験を統合
(Placewise紹介 出典:Placewise youtubeより)
今までは、オムニチャネルの取り組みはブランドやリテーラー独自のものとなっていて、消費者はひとつのブランドで商品を購入し、そのブランドの店舗で商品を受け取り、購入データもそのブランドだけで共有されていました。
「The Corners of Brookfield」のマーケティング&エクスペリエンス担当ディレクター、チェルシー・レスラー氏は、このような買い物体験を統合させる方法を探したいと考え、手軽な方法から始めました。
「コロナ禍で、ショッピングセンターとしてうまくやっていく方法を考えているうちに、『ここで売られている商品をショッピングセンター独自のセットにすればいいのか!』とひらめき、そうすればショッピングセンターでしか買えないものが用意できる」と考えました。
当時、大きな需要に対応できる技術はありませんでしたが、ここの顧客ならきっとこのサービスを気に入ってくれる、テナントも気に入ってくれると確信したということです。
そのアイデアをプレースワイズ(Placewise)に相談したところ、同社では、ノルウェーのショッピングセンター、クーベン・ヘーネフォス(Kuben Hønefoss)で、オンライン・オフラインどちらの買い物も店舗ごとの個別管理ではなくショッピングセンター全体で集中管理するという試験運用を実施していると聞きました。
プレースワイズ・アメリカズ(Placewise Amecicas)のプレジデント、ジョン・ディー氏によると、顧客はオンラインでもオフラインでも似たような買い物体験を求めていて、できるだけ楽な方法で商品を入手しようとしており、顧客がどのように買い物を行うのかが直接反映されるデジタルマーケットプレイスがあれば、それができるのではと説明しました。
今年の 9月中旬には、社内でプラットフォームを稼働させ、現在は不具合がないかデジタルマーケットプレイスのチームが試験運用を実施し、最適化の方法を模索している最中で、2021年のクリスマスシーズンを見据えて、サービス開始を予定しているとのことです。
3.プラットフォーム展開も
(ショッピングの未来 出典:CGTNアメリカ youtubeより)
「選りすぐりのおしゃれなギフトセットを用意するつもりなので、テナント各社も『このギフトセットなら、うちのブランドもこの商品で参加したい』と乗り気になるだろう」、クリスマス試験運用の参加テナント数は、まだ最終的な数字がでていないとレスラー氏は話しています。
レスラー氏は、2022年末までにショッピングセンターにある31店舗のテナント全店にこのプラットフォームを利用してもらいたいと考えており、ショッピングセンターの全テナントとの面談をすませています。
どのブランドも、とても前向きな考えで、『いろいろと考えられる』として、このアイデアをとても気に入っているということです。
レスラー氏とディー氏は今後、レストランのテナントのほか、映画のチケット販売やネイルサロンの予約などのサービスも取り込んでいきたいと考えているようです。
「The Corners of Brookfield」はチェーン店ではなく単一のショッピングセンターですが、親会社のIMプロパティーズ(IM Properties)も大いに関心を寄せているようです。
現時点で公式な発表はまだありませんが、ほかの店舗でも似たようなサービスを考えているといいます。
「ショッピングセンターはこれまで長い間、問題から目をそらしてきたような状態だった。渦中の栗を拾おうとしなかった。でも、これ以上、そのままというわけにはいかない」とレスラー氏は言います。
「テナントも増えているし、顧客も増えている、ショッピングセンター市場全体にとって今回の取り組みは、今後につながる新たな動き」だと考えているようです。
*以上、「モダンリテール[日本版]より、抜粋して記載。
4.最後に
日本では、三井不動産の「&mall」、イオンの「AEON MALL ライブショッピング」など、既にSCのE-コマースを進めており、リアル施設のオムニチャネル化が進んでいます。
「&mall」は、当初ファッションが主体でしたが、現在は他カテゴリーも増加してきており、会員数も増加してきています。
「AEON MALL ライブショッピング」は、テナントにライブコマースやE-コマースが出来る環境を提供しており、全国約80モールでサービスを提供しています。
(出典:三井ショッピングパーク ららぽーと youtubeより)
SC全体が、体験型ショールーミングストアになり、その場でも購入出来、
また、オンラインでも購入できる。
更に、SCが地域のEコマースの物流拠点になり、オンライン購入でもすぐに配達してもらえたり、飲食店もSCからデリバリー出来るようになれば。。
SCデベロッパーはそのようにすることで、更に地域経済を活性化させ、街を発展させていくこともできるかと思います。
今後は、このように地域に密着したデジタル化SC開発が増加していく事例が増加していくかと思います。
いずれにせよ、今後の展開を楽しみにしたいと思います。
今回も最後まで見ていただき、ありがとうございました。 よろしければスキ、フォロー、サポートのほどよろしくお願いいたします。