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本当に自立した子どもを育てたい

子どもに自立した人間になってもらいたい。

親であれば、教師であれば、我が子、教え子にそう願うのはごく自然なことですね。

自立とはどういうことでしょうか?
自分一人でなんでもできるようになってほしい とか
自分ですすんで勉強できる子になってほしい とか
親の援助がなくても、自分で稼げるようになってほしい とか
そういうことが浮かんでくると思います。

最近、お金の勉強をするようになって、
経済的な自由を手に入れたい
と思うようになりました。
これは、働かなくても入ってくるお金で生活できる状態を言います。
そうしておいた上で、お金を手に入れるために働くということではなく、自己実現や社会貢献ということに価値をおいた働き方をしたい。
いつかそうできたらいいなぁと夢をもつようになりました。

わが子の将来を考えた時にも、
「自立=自分で稼げるようになる」からもう一歩進んだ「自立=経済的な自由を手に入れた」人になってほしい。いつしか、わが子にそう願うようになりました。

そんな時に読んだのが、この本。

ユダヤ大富豪に伝わる最高の家庭教育 天堤太朗 青春新書

私の願いを叶えてくれるためのヒントがたくさん詰まっていた本でした。
今回の記事は、この本の中から
ユダヤ人の方が大切にする子への教育の基礎原則を解説し、
私が今からでもやってみたいと思う家庭教育について書いてみます。

1.教育のプロ!ユダヤ人が重視する「原理原則」

教育のプロ!ユダヤ人が重視する「原理原則」

(1)11の基本原則

「ユダヤ人大富豪の教え」 本田健 だいわ文庫
「ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集 石角完爾 集英社
「なぜ世界のお金持ちの35%はユダヤ人なのか?」 滝内恭敬 SUN RISE
など、ユダヤ人とお金持ち、成功者を結びつける書籍がたくさんあります。

マーク・ザッカーバーグ(Facebook共同創業者)、ラリー・ペイジ(Google共同創業者)、ラリー・エリクソン(オラクル共同創業者)、マイケル・ブルームバーグ(ブルームバーグ創業者)などが長者番付に名を連ね、イエス・キリスト、アルベルト・アインシュタイン、カール・マルクス、ジークムント・フロイト、アルフレッド・アドラー、ピーター・ドラッカーなど歴史的偉人もユダヤ人の中にはたくさんいます。
ノーベル受賞者にもユダヤ人が多く、歴代受賞者の20%はユダヤ人とも言われています。

そうなんです。ユダヤ人は優秀な方が多いのです。

「ユダヤ大富豪に伝わる最高の家庭教育」の著者である天堤太朗さんが師とあおぐユダヤ人のジュリアスさん(やっぱりこの方も相当優秀で億万長者)の家系で、子どもがまず教わる原理原則が次の11の基礎原則。

1.アスター学習法
2.現状感謝
3.習慣の大切さ
4.自律思考
5.質問力
6.Win-Win
7.絶対的ポジション
8.アウトスタンディング
9.人生はバラエティー
10.マネーブロック
11.積極性の習慣

この11の基礎原則を親が教師となり、子ども一人ひとりに合わせたオーダーメイドで、実践を通して学ばせるのです。

(2)アスター(ASTAR)学習法

11の基本原則1番目となるアスター学習法。聞きなれない言葉です。

ところで、私はもちろん、多くの日本人が、これまで、「良い大学=豊かな人生」という前提を信じ、良い大学に入るために、学校での勉強に取り組み、テストで良い点を取ることに一生懸命になってきたのではないでしょうか。つまり、良い大学に入ることが教育のゴール、目的とした学習を進めてきたということです。
一方、ユダヤの方はというと、「豊かな人生を送る」ことが学習の目的になっています。

そもそも目的が違うのですから勉強法にも違いが出てきます。

このASTAR学習法の大きなポイントは、習慣を身につけることにあります。
これは、「すべての結果は習慣の連続である」というユダヤの格言にもとづいたものです。

習慣が変われば結果が変わる
結果が変われば人生が変わる

人生を変えるためには、習慣を変えることが大切だということです。

さて、ASTER学習法には、5つのステップがあります。

A(attend:参加する)
S(study:学ぶ)
T(teach:教える)
A(apply:応用する)
R(review & report:復習と報告)

それぞれの頭文字をとってASTAR学習法。

①A(attend:参加する)

最初のステップは、A(attend:参加する)です。

子どもたちは、学校の授業、課外活動、習い事・・・とさまざまな学習の場面に参加します。
しかし、そのモチベーションはというとどうでしょう?先生が怒るから、親がやれというから、何かをしながらついでに・・・・などモチベーションが低い状態で参加していることはないでしょうか?

ASTAR学習法がいうところの参加というのは、しっかりと時間を確保して、「この1時間で、このテーマをきちんと学んで自分のものにする!」という目的意識をもった積極的な姿勢での参加をさします。

②S(study:学ぶ)

次のステップは、S(study:学ぶ)です。

これは、ノートの取り方がポイントになります。
私たち小学校教員の世界には、「ノート指導」と言われる言葉があるくらいに、子どもたちにノートの取り方をていねいに教えます。
でも、その多くは、先生が板書した内容を正確に写し取る方法の指導です。ていねいな文字で、ところどころ色をつけたり、整理したりしながら見やすいノートづくりを薦めます。

「あとで見返した時に、わかりやすいでしょう!?」と子どもたちには説明しますが、実際のところどうでしょう? あとで見返す、なんてことはあまりなく、少なくともその単元のテストが終われば、2度と見ることはないでしょう。

一方、ASTAR学習法がいうところの学ぶの場合、ノートの取り方はその目的からして違います。習ったことをきちんと身につけ、人生を豊かにするためにノートを取るのです。
具体的には、ノートの片側には、授業中の気づきや、ヒント、アイデアを自分の言葉でメモしていきます。そして、もう片側には、習ったことに対して、自分が「これをやろう!」と感じたことや実践してみたいことをメモします。いわば、自分の人生のto do リストを作るのです。

先生や講師の言葉ではなく、先生や講師の言葉を聞いてあなた自身が感じた言葉が自分の人生を変えるんだよ。

③T(teach:教える)

次のステップは、T(teach:教える)です。

これは、記憶を定着させるための重要なステップになります。

記憶に関して、2つの知見があります。
1つ目は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス博士が発表した忘却曲線です。
簡単にいうと、人間の脳は時間経過と共に記憶したことを忘れていき、せっかく学んだことでも48時間後には、なんと約73%も忘れてしまっているというのです。

2つ目は、アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサー博士が発表した記憶の蓄積度の研究です。
簡単にいうと、インプットの仕方によって記憶の蓄積度が大きく変わるということ。
「読む」「聞く」「見る」などいろいろなインプットの方法がありますが、例えばテキストを読んで、音を聞いて、目で見ても、学んだことの3割しか脳に残らないといいます。

そんななか、「教える」ということをすることによって、記憶の蓄積度が90%にまで上昇するというのです。

この2つの知見をあわせて考えると「学んでから48時間以内に人に教える」ということ実践することにより、記憶を強化し、定着させることができることがわかります。

ASTAR学習法では、例えばこんなふうに子どもたちに「教える」を実践します。
子どもが「国語の授業で発表したよ」と教えてくれたとしたなら
「そうなんだ!?すごいね!どんな発表をしたのか教えてほしいな」
「じゃぁ算数の授業では何をやったの?」
「その算数の問題の解き方、ママにも教えてくれるかな?」
こういうやりとりを毎日、子どもが帰宅するたびに行うことによって、子どもの中で「教える」が習慣化されていきます。

「帰ってきたら宿題をやりなさい」
「今日は塾だよ。塾の宿題もちゃんとやってね。」
というようなよくある日本の家庭で見かけられるやりとりとは随分と違う感じがします。

④A(apply:応用する)

次のステップは、A(apply:応用する)です。

ステップS(study:学ぶ)でノートに記したto doリストを実践するステップです。学んだことを使って実践・行動することで、学びが頭の中に知識として蓄積するだけでなく、自分の体験としてしっかりと定着させることができます。

そして、ここまでのA・S・T・Aのプロセスを繰り返し行うことで、学んだことを習慣化させていきます。

すべての結果は習慣の連続体である

⑤R(review & report:復習と報告)

最後のステップは、R(review & report:復習と報告)です。


「やるぞー!」と燃えて意気込んで始めたことが、だんだんにモチベーションが下がっていってしまって、さぼってしまったり、続かなくなったり・・・。誰しも身に覚えのあることかもしれません。

その原因の一つは、1人で取り組んでいることです。「誰かに見られているわけではない・・・」と思っているからサボってしまう・・・。
誰かに見られていたり、監視されたりしていると、「ちゃんとしなくてはいけない」という心理になります。

この心理を利用して、ステップRでは、アカウンタビリティパートナー(acountability:説明責任)をつくり、監視する役割を担ってもらいます。

学習者は、このパートナーに学習の進捗状況を逐一報告しなければなりません。学習したこと、実践してみたこと、自分の気づきや学びをパートナーに説明するのです。
これでは、サボれない、怠けられない。ちょっとストレスに感じるかも・・・。
でも、これをしばらく続けることで、やがて習慣として定着できるようになります。

家庭では、この役割はお父さんやお母さんが担います。
中高生ぐらいになると、友達同士でパートナー協定を結ぶのもいいでしょう。
SNSを活用して、オンライン上で報告するのもいい刺激になりますね。

以上①〜⑤までがユダヤ人の推奨するASTAR学習法の基本的なプログラムになります。

2.どうする?我が家の家庭教育

さて、我が家の子どもたちはすでに、専門学校生(寮生活)、高校1年生、中学2年生。
もう少し早くこの本と出会いたかった・・・・、というのが本音ですが、今からでも取り入れられることはあるはず。

(1)学び方を学ばせる

ユダヤ人の家庭では、ASTAR学習法を、経験を通して学ばせます。
小さな頃から始めて、経験しながら気づきを積み重ね、学ぶことの楽しさに目覚め、やがて習慣となることでしょう。

でも、我が家のようなお年頃の子どもだと、「急にそんなことを言われても・・・」と素直には聞いてくれないかもしれません。
タイミングを図ることも大切ですが、どうしてその学び方が大切なのか?どんな意味があるのか?何のためにそうするのか?という趣意説明をしてあげることも有効だと考えます。

例えば、この本をプレゼントしてみることもいいでしょう。
子ども自身が、この本の考え方に共感し、「なるほど!」「ぼくもこうなりたい!」と思うようになってくれれしめたもの。子どもと相談しながら課題を出し、親はアカウンタビリティーパートナーとしてふるまっていけば良いのですから。

(2)自分で稼ぐ力を育てる

我が家の長男は18歳。成人の年になりました。

ユダヤ人の世界には「成人=社会に出て仕事をする」という概念があります。そしてユダヤの男子は、日本よりも随分早い13歳で成人するのだそうです。
果たして、13歳(中学1年生)で働くことができるのでしょうか?

ユダヤの家庭では、13歳の成人を迎える前に、世の中の仕組み、社会やビジネスの原理原則、そして「仕事の本質」を徹底的に教え込むのだそうです。そうしたしっかりした準備を終え、社会の荒波の中で稼ぎ方を鍛えるのだとか。

我が家の三人の子どもたちは、全員13歳を越えています。
もちろん、「今すぐ働かせなきゃ!」とはなりません。
まずは、新聞記事やニュース番組などの話題について、家族で話し、世の中の仕組みや社会情勢について一緒に学びます。

日本の家庭では子どもの前でお金の話はタブーとされてきた風潮があったかもしれませんが、我が家では、食卓で平気にお金の話をしてきました。

それと同時に、実際にビジネスの入り口に立って、小さく始めてみます。

世の中に職業は二つしかない。
①「労働収入を得る職業」
=1回の労力に対して、1回のリターンを得る職業
②「権利収入を得る職業」
=1回の労力に対して、複数回のリターンを得る職業

ここで始めてみるのは、②の方です。権利収入にはいくつかの方法がありますが、子どもたちには、InstagramやYouTube、ブログ、noteなどを使った方法を薦めています。
フォロワー獲得が目標になりますが、そのためには、世の情勢はどう動いているのか、ユーザーは何を求めているのか、を読んでいかなければフォロワー増加にはつながりません。
長男はプロの料理人を目指しているので、料理というフィルターを通して、ユーザーのニーズに応えようと、日々YouTubeの更新に励んでいます。

料理を学ぶ専門学生の視点で、ちょっとしたコツを紹介してくれています。チャンネル登録者数と再生回数を徐々に増やしつつあります。

また、長女は高校の乗馬部に入部。乗馬部員でしか見えない馬のかわいさを伝えてくれるInstagramを構想中。

ユダヤの家庭では、13歳になったら社会で仕事をしなければならないだけでなく、遅くとも15〜16歳までにはファイナンシャルフリー(=経済的自由人、権利収入だけで生活費をまかなえている状態)になりなさいと教えられるそうです。

権利収入の柱を3本以上つくり、生活を安定させた状態で、本当に好きなことを労働型収入しとして営んでいく。こんなことを目指しているということを子どもたちとも共有していきます。

(3)人生の羅針盤(価値観マップ)を作る

子どもがどんな人生を歩んでいくのか、親としてとても楽しみな反面、不安も大きい。

常に変わっていく変化のはげしい時代において、自分の人生においての軸をしっかりともっておかなければ、流されて行ってしまいます。
この軸としていく考え方を常に確認できるためのいわば「人生の羅針盤」となるものが「価値観マップ」です。

価値観マップでは、

  • 自分にとっての幸せとは?

  • 何を大切にして生きているのか?

  • 何をどうしたくて今ここにいるのか?

  • 人生のやりたいこと

について、徹底的に深掘りしていきます。

こちらの動画では、MindMeisterというオンラインツールを使った、価値観マップの作り方が紹介されています。

これをまず、親が作ってみる。そうすると自分の人生における家族との関わり方についても深掘りすることができます。

そして、子どもたちにも作ってみるよう薦めてみます。
価値観マップは1人で作るよりも、誰かに質問してもらったり、ツッコミを入れてもらいながらのほうが、より充実したものになるそうです。親子でその役割を果たすのもいいですね。

まとめ

とっても長文になってしまった今回の記事。最初の方に何を書いたかわすれてしまいそうなので、まとめをしておきましょう。

「どうすれば自立する子どもを育てられるのか?」というテーマで、ユダヤ人の家庭教育を参考にしながら、我が家の家庭教育をどうしていけばいいかについて書いてみました。

世界的にも歴史的にも、優秀で裕福な暮らしをしている人が多いユダヤ人。ユダヤの家庭では、

1.アスター学習法
2.現状感謝
3.習慣の大切さ
4.自律思考
5.質問力
6.Win-Win
7.絶対的ポジション
8.アウトスタンディング
9.人生はバラエティー
10.マネーブロック
11.積極性の習慣

という基本原則をもとに、子どもたちに教育が行われています。
なかでも、アスター(ASTAR)学習法は、「豊かな人生を送る」ことを目的にしています。

①目的意識をもった積極的な姿勢での参加(Attend)
②学び(Study)の中から自分が「これをやろう!」と感じたことや実践してみたいことを記した自分の人生のto do リスト
③人に教える(Teach)」ということ実践することにより、記憶を強化し、定着させる
④学んだことを応用(Apply)して、実践・行動することで、自分の体験としてしっかりと定着させる
⑤アカウンタビリティパートナーに報告(Report)することで、学びの復習(Review)を行う

それぞれの頭文字をとったASTAR学習法は、学びの習慣化にポイントが置かれています。

とはいえ、ここは日本。しかも我が家の子どもたちは、かなり成長が進んでしまっている・・・。じゃぁ、何も変えていかないのかというと、それはもったいない。

そこで、我が家では、
①子どものメタ認知を生かし、学び方を学ばせること
②SNSを主体にした、権利収入を目指し、実際に小さく始めさせてみること
③価値観マップを作り、人生の羅針盤ともいえる価値観を徹底的に深掘りする
この3つを意識しながら、まずは始めてみること、そして習慣となるまで続けてみることをしています。

「本当に自立した子ども」に育ったかどうかの答え合わせまでには、もう数年かかりそうです。楽しみでもあり、心配でもあり・・・・。

長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。


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