純粋にクオリティだけで選ぶ、アニメ「名探偵コナン」の傑作回 (11エピソード)
※あくまでも個人の感想です
※ネタバレはありません
※放送日順に並べています
※一部作品はYouTubeの名探偵コナン公式チャンネルにアップされています
第11話 「ピアノソナタ『月光』殺人事件」 【どんでん返しと悲劇的な結末】
王道中の王道。この回を観たことのないコナンファンはまずいないだろう。
ピアノソナタのような芸術作品をモチーフにした連続殺人はミステリーによくある設定と言える。しかし、このエピソードは「あるある」のままでは終わらない。終盤に鮮烈のどんでん返しが待っているのだ。
我々がその衝撃に呆気に取られ、呆然としている間に、物語は悲劇的な結末へと向かう。切なくも心に残る稀代の名作。
第34、35話 「山荘包帯男殺人事件」 【シンプルながら強烈なトリック】
この回は「金田一少年の事件簿」を彷彿とさせるホラー色の強さが特徴的で、今のコナンでは考えられないような描写があることでも知られる。クローズドサークル(閉ざされた空間)ミステリーとしての完成度の高さも相まって、忘れられない名作となっている。
中でも際立つのが、犯人の使用した"例の"トリック。見るものの先入観を逆手にとった悪魔のような"それ"は、序盤からヒントこそ示されているものの見破るのは不可能に近い。犯人を推理できた人でも、あのトリックは想像できなかったのではないだろうか。
第52話 「霧天狗伝説殺人事件」 【度肝を抜く壮大なトリック】
名探偵コナンの名トリックとして必ず挙げられるのが、この「霧天狗伝説殺人事件」のトリック。文字通り徹底的に計算された壮大なもので、あまりの斬新さに思わず笑ってしまうかもしれない。
現実的かどうかについては意見が分かれるものの、フィクションの世界にアレコレとツッコミを入れるのも野暮に思われる。その発想力に素直に感服するのがベストな楽しみ方ではないだろうか。
第92、93話 「恐怖のトラヴァース殺人事件」 【スリリングな展開と意外な真犯人】
はたして登山客の誰が「殺し屋フォックス」なのか。コナンたちと共に登場人物たちを観察しながら推理するのが面白い。知名度はさほどだが個人的にはかなり好きなエピソード。
終盤に明らかになる真相は意外なものだが、コナン同様に勘の良いガキ人ならば気づけるかもしれない。あなたの観察眼が試される。
第110、111話 「料理教室殺人事件」 【徹底した下準備と美しき登場人物】
派手さは無く知名度もさほどだが、ミステリーとして確かなクオリティを誇る「隠れた名作」。難易度の高い犯行を成功させるために犯人が施したいくつかの下準備や、使用した凶器が強く記憶に残るエピソード。名探偵コナン史上屈指の美人・小宮山祐子が登場する回でもある。(個人的にど真ん中ストライク) (ただしこの回以降は登場せず)
第174話 「二十年目の殺意 シンフォニー号連続殺人事件」 【筆舌に尽くしがたい驚異の完成度】
おそらく名探偵コナン史上最も完成度の高いエピソードだろう。テレビアニメ作品ではあるが、尺といい雰囲気といいほぼ完全に映画作品である。ストーリー、世界観ともに素晴らしいクオリティを有しており、これを超えるミステリー映画はハリウッドからもそう出てこないだろうとさえ思われる。
迫り来る二十年前の大事件の時効、船上で発生する連続殺人事件。その緊迫感と構成力たるや圧巻で、ミステリー慣れしている人でもスマホ片手に観ることはできない。隅から隅まで完成された最上級ミステリー。
第184話 「呪いの仮面は冷たく笑う」 【ワールドクラスの密室トリック】
個人的に最も好きなエピソード。この誰も予測できないであろう驚愕の密室トリックの前では、個性豊かな登場人物も犯人も動機もオマケにすぎない。それくらいワンダフルな本格ミステリーである。
必要なヒントはバッチリ揃っているが、名探偵でもない限りこの神がかり的なアイデアに辿り着くことはできないだろう。日本を飛び超え世界最高峰の域に達するクオリティ。それはまるで若き日の仲間由紀恵の美しさのようである。トリックだけに。
第208話 「迷宮への入り口 巨大神像の怒り」 【超常現象のような事件と裏に隠された緻密な計画】
どう考えても不可能に思われる、超常現象のような殺人事件。ハウダニット(How done it = どのように犯行に及んだのか?)が重要になるエピソード。
犯人も意外ではあるが、それ以上に事件の真相のインパクトが強い。何を書いてもネタバレになりそうなので上手く書けないが、とにかく全ての計画が綿密に立てられており、その様には美しさすら感じられる。「これはさすがに超常現象でしょ」なんて早々に白旗を上げていた僕は、真相を知って心底唸ってしまった。事件のタイプといい綿密なトリックといい、ドラマ「TRICK」にありそうなエピソードである。
第219話 「集められた名探偵! 工藤新一vs怪盗キッド」 【ミステリーファン必見のストーリーと後味の良さ】
外界から断絶された館で、優秀な名探偵たちが次々に殺害されていく衝撃的な回。意外すぎる真犯人に驚かされたのも束の間、それを上回るどんでん返しと、さらにそれを上回る大どんでん返しが待っているという、ミステリー好きにはたまらない構成となっている。後味もよく、万人にオススメしたい傑作エピソードである。
名探偵コナンを語るうえで重要な回であるため知名度が自然と高くなっているが、真の魅力は往年の名作ミステリーを踏襲した上質なストーリーそのものだろう。特にアガサ・クリスティが好きな人にはたまらないはず。
第222話 「そして人魚はいなくなった」 【意外な真犯人と一度見たら忘れられないトリック】
知名度はそこまでだが、ミステリー好きなら必ず高く評価するであろうエピソード。物々しい雰囲気が漂う島で連続殺人事件が発生するという、ミステリーにはよくあるストーリー。しかしその真骨頂は意外な犯人とトリックの衝撃。特にトリックが明かされる際の強烈な映像は、一度見たらまず忘れられないだろう。
僕が初めてこのエピソードを観たのは何年も前だが、今でも「コナンの人魚の回」と聞けば即座にあのショッキングな映像が蘇る。(エロやグロではないのでご安心を)
第345話 「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」 【息詰まる緊迫感と2段階のどんでん返し】
「黒の組織」の幹部ベルモットが正体を現すこの回は、重要度がとてつもなく高い。それゆえか力の入れ方も凄まじく、ストーリーの面白さもハンパないって。ただし、過去に何度か登場した人物たちが関係してくるので、ある程度コナンの知識がなければ十分には楽しめないことに注意。
海賊船イベントでの殺人事件と、埠頭での黒の組織との直接対決。大きく分けてこの2つのエピソードから構成されるが、どちらにも巧みなミスリードに基づくどんでん返しが施されているのが特徴。特に2つ目は何話にも渡りもったいぶって隠されてきた謎が暴かれる形になっており、鑑賞時の衝撃はコナン史上No. 1である(と思う)。
第379、380話 「秘湯雪闇振袖事件」 【不気味な見立て殺人と幻想的な世界観の融合】
祟りをモチーフにした横溝正史的な見立て殺人と、事件の舞台となる山奥の旅館の美しさが印象的なエピソード。そのどちらも単なる飾りではなく、実は殺人計画に必要なものだったという構成力が素晴らしい。さりげなく示されていた伏線や犯人が隠していた意外な真実、そしてコナンらしいコミカルな終わり方も印象深く、オススメしたいエピソードの一つである。