バラエティを見て有名人に批判リプを送るのは控えよう。有名人に対してでなくても、批判を直接送る時は慎重になろう。
バラエティ番組を見て有名人に批判リプを送る行為について
バラエティ番組で見た芸能人やスポーツ選手のアカウントに、批判や誹謗中傷を送る人がいる。
分かりやすい例として、クロちゃんを使用させていただく。
クロちゃんこと黒川明人氏が番組内で変態行為を働くのは、水曜日の恒例行事だ。
これに対する反応は概ね3つに分かれる。
ツイッターを見ているとわかるが、大半の人は「クロちゃんそれはアウト」「黒川明人ヤバすぎwww」とツイートするに留める。
また、心の中で「キモっ」と思うだけの人も多い。世の大半がツイッターユーザーだと思ったら大間違いである。
しかし、一部の人は本人に直接アタックする。「お前キモいんだよ」「反省しろ」「あのような行動は人としてどうかと思います」
試しに今度、クロちゃんのツイートのリプ欄を見てみてほしい。木村さんの悲劇で怖くなり今更ツイ消ししている卑怯者も多いが、依然として批判や悪質な誹謗中傷は多数見つけられる。
クロちゃんがどう思っているかはわからないが、あのようなものを毎日のように送られれば、普通の人なら参ってしまうだろう。
ところで、なぜ彼らは「心の中で思う」とか「1人で呟く」で踏み止まれないのか。なぜ本人に直接特攻を仕掛けるのか。僕には理解できない。
「悪を懲らしめる正義の味方の自分カッケー」とでも思っているのだろうか。だとしたらそれは大きな間違いである。演出込みのバラエティ番組に本気になっている時点で、正直ダサい。
※とても演出とは思えない・あれはリアルだと主張する人もいるが、真に迫るリアルなドッキリでも案外演出だったりするのがバラエティ番組だ。真偽は製作者にしかわからないのだから、勝手にマジモンだと決めつけず、常に「演出かもしれない」と考えるべきだと思う。
今回の悲劇も、このような直接的な批判・誹謗中傷が原因である。彼女を傷つけたのは、決して悪質な誹謗中傷だけではない。(テラスハウスの演出も兼ねた)彼女の言動に対する多くの批判もおそらく要因だろう。逆に、批判が全く彼女を傷つけなかったとみなす方が難しい。
「批判なら絶対にノープロブレム」というわけではないのだ。
誤解のないよう補足するが、僕は批判を送りつけること自体を否定しているわけではない。誹謗中傷は論外だが、筋の通る・礼儀を弁えた批判ならば、本人に送りつけても良いと思う(これを制限すると言論の自由が奪われる)。
僕が言いたいのはあくまで、バラエティ番組で見た人間性を批判するのは筋違いだろうという話である。
「もしかしたら演出かもしれない。」そう想像力を働かせることができれば、批判を本人に直接送りつける行為を自重できるはずだ。
批判を送る行為そのものにも慎重になってほしい (有名人に対するものに限らず)
先ほど僕は、批判を送ること自体は否定しないと書いた。ツイッターでは息をするように他者に批判を送りつけている人をよく見かけるし、批判は良いことだという風潮すら感じる。それ自体は否定しないし、咎めたこともない。
だが、もっと慎重になるべきだと思う。
批判だろうと指摘だろうと、人が好きに呟いているところに突撃することに変わりはない。他者のテリトリーにいきなり侵入するのだ。安直に実行して良い行為ではないと思う。
何かに腹が立ったとしても、「自分の考えに自信がない」「論理的な言説を組み立てられない」「正しい知識を持っているかわからない」「相手に必要以上に不快な思いをさせてしまうかもしれない」と感じた場合、本人にアタックするのは控えた方がいいと思う。
あやふやな状態で人に批判を送りつけるのは少し失礼だ。他者の意見や行動をいきなり否定しに行くのだから、発言内容に自信と責任を持つべきだ。
また、言い方次第では真っ当な批判でも人を傷つけることがある。たとえ誹謗中傷でなくても、ネガティブな言葉を人にぶつけるのだから、慎重になってほしい。大した知識もなく、ろくに思考もせず、安易な気持ちで、過激な言葉を使って送るものではない。
モヤモヤ感が残るのなら、1人で呟けばいいのだ。何も無理やり本人にアタックすることはない。ツイッターとは本来そういうものだ。(もっとも、その判断ができるような賢い人は初めから批判や誹謗中傷を送りつけたりしない気もするが)
「積極的」「行動力がある」という言葉は常にポジティブな響きを含んでいる。しかし、安易な積極性や行動力は、人を大いに傷つけるかもしれない。
長くなってしまったのでまとめよう。
批判すること自体は問題ない。しかし、他人に直接批判を送りつける場合、それは他者の意見をいきなり否定しにいく行為である。なので、自分の主張に自信や責任を持てないときは自重して1人で呟くにとどめてほしいし、送るにしても過激な言葉遣いは避けてほしい。決して、「批判ならば人を傷つけない」などと勘違いしてはいけない。批判と誹謗中傷は別物だが、ときに同類に語られることもある程度には紙一重のものなのである。
トマス・カーライルの言葉
最後に、イギリスを代表する評論家トマス・カーライルの含蓄に満ちた言葉を引用し、この文章を締め括る。
Nothing is more terrible than activity without insight.
(洞察力なく行動的なことほど、酷いものはない。)