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エッセイ

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2019年11月の記事一覧

風の香り 〜僕が本屋でJKに追いかけられた話〜

我々にはいつも恋人がいる。彼女の名前はノスタルジーだ。            アーネスト・ヘミングウェイ 「今日も雨なのか」 最近、雨の日が怖い。病気の治療のために医師から散歩を推奨されているのだが、雨が降ると、ただの散歩が日本代表のアウェイ戦並みにハードになるからだ。 僕は元来、雨が好きだった。雨で部活が中止になると「雨の日は 趣ありて いとをかし」などと歌って顧問に睨まれていた。それが今では、晴れの日が愛おしくて仕方がない。 しかし、雨だからと家にいたところで、する

この一夏の思い出には、ある「仕掛け」があります。

これは、判断ミスだろうか。  皆さんはどう思うだろうか。 僕は、この決断を思い出すたびに遣る瀬なくなる。 ようやくひぐらしが鳴き始めた夏の終わり、僕はアルバイト先の女子大生に小旅行に誘われたのだが、その日程は僕のサッカー観戦日と重なっていたのだ。 あろうことか僕は、サッカーの試合を観たいがために、デートのお誘いを断ってしまった。 それが原因で、好意を寄せてくれていた女性に無視されることになるとは、当時の僕には想像できなかった。 しかし今では、僕の「サッカーを観に行きたい」と