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黄色い花が咲く頃に

※自死を表現する文章が部分的に出てくるため、苦手な方は読むのを控えてください。

私はセーラームーン世代である。亜美ちゃんが好きだった。知的でショートカットが似合って可愛らしい。あと、水を攻撃として使うのに憧れがあった。同様の理由でセーラーネプチューンも好きだった。
確か鏡から海水を出して戦っていた記憶だったような。昔から水特性が好きだったが、ポケモンはいつもヒトカゲを選んでいた記憶がある。ゼニガメも良かったけど、最初みずでっぽうしか出さないので火属性の方が強いじゃんと思っていた。大体は適当である。

中央線のある駅で、先頭車両方向のホームに立っていたら、グラっと足元が揺らいだ気がした。
向かってくる電車が大きく見えて、ハッと気付いた時は足が一歩だけ前に出ていた。
無意識に飛び込もうとしていた。
自ら「死へ向かう」瞬間を感じた。

その当時、まだ心療内科にかかっておらずバリバリと働いていた時。
プライベートがごちゃごちゃの煮崩れ、闇鍋みたいな状態になっていて、正確な判断が全く出来ていなかった。もう、頑張りすぎて頭がおかしくなったんだと実感した。
今にして思えば、自分を八方塞がりに勝手に追いやって悲劇のヒロインぶっていた、ひどい有様だったと思う。
ただ、正直に「しんどい」と言えなかった。
ただ、毎日をこなすので精一杯だった。
そんな出来事をやり過ごし、その後1年程度やってみたが、最後は会社に行けなくなった。壊れてしまった。

壊れた後、一ヶ月程度自宅に引きこもっていた。
ずっと動けないでいたので頭の中もそこまで回りが良くない。
母は「このまま自殺しちゃうかもしれない」とビクビクした日々を過ごしていた。とても申し訳ない。
そこまで、私は追い詰められていたようだった。
殆どの記憶が無い。やることも無いし、やる気力も無いし、殆どベッドの上で寝ているだけだったし、食事もそんなに取れた記憶が無い。何とか、心療内科へ、這いつくばるように通った。何とかしてほしかった。私が「異常」になってしまったのは明らかだったから。

そこの心療内科に月2回、半年の間通ったが毎回薬を変えられて副作用に苦しんだ。眠気、吐き気、体の怠さ、死にたさ、大小様々な気分変化がやってきた。
人生で初めて、自分の気持ちだけに向き合い、自分に振り回されていた。
だけど、一ヶ月くらいで収まり始め、徐々に外に出始めるようになったので、軽い方ではあったが、自分の人生史の中ではなかなかしんどい時期だった。

薬を飲む事、医者にかかる事が昔から苦手だった。
新しい薬を飲む時はいつもドキドキする。体内に何かを入れるという異物感に不安を感じて、それだけで具合が悪くなっていた。小心者である。今もそれは変わらない。
それから、会社に行かなくてよくなったという事が一番大きかった。自分が思っていた以上に、あの行動はストレスが大きかったのだと思う。仕事をこなす達成感は好きだが、何かに所属し誰かと関係を構築し、顔色を伺いタスクをこなしていく作業自体が今に思えば窮屈だったのだと思う。
これも、今にして思えば、という体感である。
現状、病状はまだ不安定だし、やれることは少ないけど、もしかしたらまたどこかに所属するかもしれないし、私は一人で働いていくかもしれない。これはまだまだ先の話なので置いておく。

生きていてよかったと思う事は多々ある。仕事終わりのビールの喉ごし、疲れた体を癒す銭湯の広い湯船、コーヒー牛乳を一気飲みする開放感、自然に囲まれた時の体がスッと軽くなるような空気、新鮮なもの、感覚に触れるもの。
今までは自然に感じることが出来ていた。

幸せに思える瞬間は沢山味わえてきた。
ここでは書ききれないくらいには、人並み程度には味わってきた。
平凡な人生でもあった。
絵を描くのが好きなだけで自己満足で終わるけど、それでも描くのはやめていない。
今更にして、絵を描く楽しさも見つけ出してきた。
自死を意識した時、「危ない」とちゃんと自分で察知できた。人間の本能的な事でもあるんだろうけど、なんとか踏みとどまった。

その後から「生きててよかった」という感覚に違和感が出てくるようになってきた。
死んでいたかもしれないから「生きてて良かった」なのか?
小さな事にでも幸せを感じることが「生きててよかった」に繋がってるのか?
「生きてて良かった」ってそもそも私は肯定的に捉えてるのか?生きることを否定しそうになったからって悟った風に思ってないか?
そんな大それたことを思いたい訳でもないし、気分が高揚しているのか。
無理して「生きてて良かった」なんて思ってんのか?だとしたら、なんと厚かましいことか。だけど、そういう性質を持ってるのも自覚がある。
あとは、気を緩んだ無意識下で自死を選ぼうとしてしまった自分にショックを受けているんだと思う。

死を意識した後に出てきたこの違和感にまだ答えが出せないでいる。
大それた意識や気持ちでもない。実際、行動には移していない。だけど、僅かながら、私の頭の中にはまだ「死」は居る。
人間いつかは死ぬのだから、という大きく構えとこうという気持ちでもなく、たまにただそこに居る。変な違和感のまま、まだ頭の中にひっそりいる。
たまに、顔を出しては、違和感を出して去っていく。
死にたい訳じゃない。生きる事を否定したい訳ではない。
ただ、ひっそり在るこの違和感のまま、しばらく置いておこうと思う。

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