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中学1年生の月がひと皮むけた気がする6月
月は中学1年生。ずーっと超マイペースできた。幼稚園の頃は他の人には見えない友だちがいた。自分の興味のある世界の中だけで暮らしているような子だった。先生に自分の聞いてほしい話を一方的にして、聞いてもらえば満足。話を終えれば、質問されてももう違った世界に興味がいっているような子だった。特定の子とは遊ばないが興味があると積極的に遊びに参加する。園庭で三輪車で動き回って、友だちのお店屋さんに遊びにいったかと思うと次にはもう違うところにいる。家に帰ると見えない友だちの話をしたりたくさんの空想の世界に連れていってくれた。そんな自分の世界の中で過ごしていた月。
小学生になって勉強に苦労する。決まりがあることや、やりなさいと言われてやることが苦しいのだ。宿題はずいぶんてこずった。月はサボったり、ズルはできない生真面目なところがあって融通もきかない。アドバイスも聞かない。言われたことはちゃんとやるが、言われたこと以外はやろうとしない。学校の話を聞いてもうるさがられるだけ。歯がゆくて歯がゆくて口うるさくしてみたり、ほおっておいたり、親としてはいつも揺らいでいた。毎日学校へ行きたくないって言いながらの6年間だったな。マイペースだし、動きはゆっくりで、よくクラスの子に強い口調でダメ出しされていた気もする、家では私が口うるさいしいたたまれなかったことだろう。毎日学校行きたくない、勉強きらいといい続けていたなあ。
それまでは学校休んでいる子いた?と聞いてもわからん。同じ班の子の名前くらいしか覚えないのか、同じクラスでも名前がわからない子がいっぱいいた。ずーっとモヤモヤした思いに苦しんだ末、5年生の頃、「気の合う友だちがいない」とつぶやいた。悩みの焦点が明確になった。少し変わった?
それまでも先生にはよく楽しみなことや楽しかったことを話していたようだ。でも、6年生でもう一人話し相手ができた。名前がよくあがった女の子。どうやら告白もしたらしい。告白を受け入れてくれたらしい。告白してからも変わらず休み時間におしゃべりするくらいだったよう。月は小学校では休み時間図書室で過ごすのが落ち着く時間だったようで、許される限り図書室に通っていたし、5年生からの委員会活動では図書委員になった。女の子もよく図書室を利用している子で図書委員も同じだった。そういうところも気があったのかもしれない。ところが、その子は私立中学に行ってしまった。
中学生になって、新しい勉強が始まり、新しい先生に出会い、しかも教科ごとに先生が変わる。新鮮だ。宿題は自主学習のみ。部活は入らなかった。自分の時間が大事であろうから私もよかったと思っている。わりと新鮮な世界を楽しんでいるようではあった。でも、やはりずいぶんフル回転していたのだろう。ゴールデンウィーク後に体調がガックリ崩れた。
学校に行きたくないって言うのは毎日。ゴールデンウィーク饒舌ではなくなった。でも、友だちや先生の話や学校であったことを自分から少しだけど、話してくれることが多くなった。
そして、5月は学年別体育祭。苦手な雷管の音に耳をふさぐことをクラスの中で一番厳しい子に許可を得たという。その子は別にって感じだったとのこと。そりゃそうだ。何を自分に言っているんだと思うだろう。
月が自分のクラスの子がどんな子か意識して見ているんだなあと安心したり、ああそういう人間関係の中に立ち入っていくんだなあと複雑に思ったり。
人間関係をいかにうまくやっていくかは一生の課題だ。月が月でいられますよう。お互いに上手に距離をとりあって折り合いをつけて心地よく過ごせますように🍀自分を大事に生きてほしいなあと思いながら中学校での月を思う。
そんな中学生活の中で6月の金曜日は初の中間テスト。一応テスト勉強の計画をたて、指導もうけた。実際はとても計画通りに進んでいないようだったが、小学校でのテストのイメージだとこうなるだろうなあと思って見ていた。
テスト嫌だーといい続けた前日の夜、月は「テストの日の給食のわりがあわないのに、僕は夜ごちそうが待っているからわりがあうけど、夜ごちそうが待っていない子はどうするんだろう」とつぶやいた。
給食がテストという苦労するのにみあったごちそう(自分の楽しみな献立)でないのがわりにあわないらしい。そして、夕飯は初めてのテストだからがんばった会しようと気分を盛り上げるために、月の希望のごちそうに決めてあったことからの発言だ。
様々なつっこみどころはあるものの、月が仲間を思うことは初めてだった。テストへの不安が孤独にさせたのもあるかもしれない。自分以外の人への思いを口にした月にぐんと成長を感じた。
何か変わった?
テストから帰ってきた月に「どうだった?」と聞いたら、「疲れたー。給食の麦ご飯がいつもよりパサパサだった」と言う。そして、献立表を見て、「ご飯のカロリーが違うわ。日によって違うんだー」と着替えに行った。
期待していた返事とは違ったけど、いつもなら違ったという発見で終わるところを、献立表を確認し、違いを見つけるということができるようになったのは嬉しかった。
翌日は田んぼの手伝いに遠くまで出かけた。
毎日2リットルのペットボトル1本分の水やりをするのが月の仕事。雨の日は室内の観葉植物にとか、土が乾いているものだけにとか注文はつけてあり、月なりに注文にこたえてはくれている。でも、ただ注文通り2リットルの水を土にかけているだけの印象だった。
出かける前にいつもの水やり。と思っていたら、外から帰ってきた月が
「母さん残念なお知らせです。母さんがもらってきたイチゴが枯れそうだよ」
というのだ。イチゴが枯れそうだということに気づいたことと、私が楽しみにしている思いを感じて私のことを考えてくれたことがうれしい知らせだった。
そして、出かける最中の車内でも、景色の中で自分が気になったことを発見して、その発見について自分なりに分析するのだ。まだ分析力は弱いけど、今までそんな風にふみこんで見て考えている様子はなかったのにとたのもしく感じた。
ひと皮むけて見える世界が広がったような感じだ。これから経験や学びの積み重ねで分析力や思考力や表現力が豊かになっていくだろう。クリアになることで、苦しいことうれしいことどちらも手にするだろう。でも、たくさんの世界を知って、月が月でいられる世界を見つけてほしい。いろいろな人に出逢うだろう。いろいろな人に思いをよせてお互いに心地よく過ごせる世界を見つけてほしい。
庭で沙羅が時間をかけてつぼみをつけ、時間をかけてつぼみをふくらませた。花がひらくまで小さな変化を繰り返す。そして、ぷんぷくりんのほっぺのようなつぼみがある時、パーンとはじけて花開く。
そして、花を終え実になる段階に入りつつ新しい芽を出す準備もしている。たのもしくたくましい生命力よ。
月もたのもしくたくましい生命力をフルに働かせ日々変化していく。美しい花を咲かせ実をつけ、新たな花を咲かせる準備をする。その繰り返しだ。
私も私の時を過ごしながら新しい芽を出していこう。命つきるまで。