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「50」ボタン

50歳日誌、10週目。
学生時代もコンビニではバイトした経験はないので、詳しいことは知りません。もし間違ってたらごめんなさい。

コンビニのレジに「年齢ボタン」があるのをご存知だろうか。購入者の性別と年齢をレジの入力者が推測で登録するというもの。

12、19、29、49、50というボタンがあるらしい。正しくは年齢ボタンではなく「客層ボタン」というらしい。マーケティングデータとして活用するのでしょう。

●伝会議のセミナーか何かで、コンビニに商品を置いてもらうことがいかに大変か、みたいな話のついでに、このことを聞いた記憶があるんだけど、その直後にコンビニでボタンの存在を実際に確認してみて、なるほどねえと思った。


そんなことしばらく忘れていたんだが、この間あることがきっかけで、またメチャメチャ気になるようになってしまった。

時々立ち寄るセブンのレジは、その「年齢」ボタンがけっこうよく見える。たまたまパスモの反応が悪かった時があって、レジまわりを見てたら、店員の若いお姉さんがボクの年齢ボタンを押すのが見えた。というか見えてしまった。

「50」ポチッ。

50!!!
彼女は確かに「50」ボタンを押した。

ま、まじか!
いや、おれ50歳なんだけど、、、やっぱ50歳に見えるのね。そうだよね、そうだわな、あたりまえだわな。あなたのお父さんと同じ歳ぐらいだしね、そうだよね。

うーむ。

マスクをとったら変わるのかなあとか、あのお姉さん見る目がなくねえかとか、やっぱシミはとったほうがいいのかなとか、帰りのクルマの中で不覚にも考え込んでしまった。
そうだ! 白髪を染めよう!

数日後。

桜吹雪の舞う夕刻。レジは日体大の学生と思われるお兄さん。手元を見ていると、若干迷いの間をあけて、、、

「49」

よーし!!!

わかってるね〜〜お兄さんw
でも、迷うなよ(怒

それ以来、そのボタン押下の様子を確認したくて、朝奥さんを駅まで送った帰りに、必ずセブンに足が向いてしまうようになった。

ポン太とかでポイントと引き換えに、はるかに詳細な購買情報を売って貢献してるわけだし、そんなもんやめていただいてもいいと思うんですけどねぇ。超マルチタスクのコンビニ店員さんの負荷も減るってもんです。


しかし、なんで人は「若く」見られたいと思うのか。

昔読んだ堺屋太一の本の説によると、「若い」ということがもてはやされるようになったのは産業革命以降のことで、つい最近のことだという。健康で体力があり、工場での労働力として適している「若者」が、「長老」や「年寄り」にとってかわって社会の中で尊ばれるようになった。そんな説だったと思う。

たしかに。
だけど本当にそうだろうか。「かぐや姫」の時代から不老不死は、叶わない、でも人々が欲する「永遠の」憧れではないのか。

「歳相応でいいじゃないか」と「いや、若く見られたいな」という想いが複雑に交錯する50歳の春。セブンの面々が押すボタンの確率は「49」と「50」と、半々だった。

あれから1週間、「なぜ人は、若く見られたいと思うのか」の理由を、この一文を書きながら自分なりに考えてみようとした。

が、わからない。
結局、言葉にはならなかった。

ひとつだけ言えると思うのは……歳をとることも、いつか死ぬことも、決して抗えない。だからこそ、自分が若かったことを後から尊ぶんだろうな、ということ。


なんだかしんみりしてしまいましたね。ということで、らたまいしゅう。

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