【#シロクマ文芸部】事件は解決したけれど
逃げる夢は追えばいいの。追って追い続けてつかまえちゃえばいいのよ、とその人はニッコリと笑った。
諦めなくていいんですか?とまだ乾ききらない目をその人に向ける。
「もちろんよ、一緒に夢を追い求めましょう」
再び涙があふれた時、その人に依頼をしようと心が定まった。
「お願いします」
「では、紛失した夢……いや契約書の詳細について詳しくお聞かせください」
助手らしき人が珈琲を出しながら、先を促す。
「そんなに先を急がないの。まずは甘いものを食べながら」
とその人が笑顔で沢山のお菓子をすすめてくれる。
心をほぐすのが上手な人だなと自然とお菓子に手が伸びたとき……
「ダメです!」
助手さんの大きな声にビクッとし手が止まる。
「すみません。お客様は遠慮なくお食べください」
助手が謝りながらも鋭い目をスイーツ探偵に向ける。
先生はさっきのご依頼のとき剰余饅頭を食べたでしょ!
朝はチーズケーキを食べていらっしゃいましたし。
依頼と依頼の合間には豆乳で出来ているから安心なんて茂蔵のティラミスを召し上がっていらっしゃいました!
明日は人間ドックですよ?
もう本日のスイーツはオーバーしています!
ちょ、ちょっと助手C、私は甘いものをお客様と共に食べないと頭が働かないし、心に寄り添えないのよぉぉ!せ、せめてポッキーだけでもぉぉ!
なら、依頼以外の時間はスイーツ禁止です!
人でなしぃぃ!
目の前で繰り広げられる珍事に目を丸くしていたら笑えてきた。お腹を抱えて笑う私を見て、2人も一緒に笑った。
「逃げる夢を追う力、出てきたみたいね」
ウインクしながらスイーツ探偵がさっとポッキーを2本、口に放り込んだ。
「先生!」
スイーツ効果か契約書は無事見つかり、私は未来への夢に向かって進むことができた。
スイーツ探偵さんは人間ドックの結果が思わしくなかったらしい……。
骨皮筋衛門かスイーツ探偵かちょっと悩んでスイーツ探偵を選択。
天使かよシリーズも考えてはいましたが、スイーツ探偵が合っている気がしたんです🙌
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。