富田新道、リスペクト
東京都最高峰の雲取山は鬼滅の刃が始まる前から人気の山です。
登山道が整備されており、危険な場所もなく、特に鴨沢バス停から上る鴨沢ルートは時間(日の入り)にさえ気をつければ初心者に優しいルートです。
わたしの勝手な基準で、高尾山の稲荷山ルートを通り、陣馬山まで5時間くらいで行ければ、日帰りの計画で大丈夫でしょう。それ以上は山荘泊をおすすめします。
土日にもなれば7時の鴨沢西のバスがほぼ満員になるときもめずらしくありません。
始発の中央線が繋がる最初のバスです。
雲取山に上ったあと、そのまま再び鴨沢へ下るピストンも多いですが、下山ルートはバリエーション豊かです。
そのまま北へ向かい、雲取山荘を超え、秩父の三峯神社へ行くのもあり、東へ行き奥多摩駅へ行くのもあり、西へ行き、三条の湯(風呂付の山荘です)やもっと先の奥秩父へ向かうルートもあります。
その中に富田新道というルートがあります。
雲取山から下りてすぐ東へ向かい、奥深い樹林帯をずっと歩き、日原のほうへ抜ける道です。
はじめてこの道を歩いたとき、道迷いをして遭難しかけましたが、それから何度か行きました。森を抜けると林道を延々と二時間以上歩かなければならず、これが結構しんどいので今はなかなか行かないですが。
台風19号で崩落のためしばらく通行止めでしたが、最近復活したみたいです。ありがとうございます!
富田新道の名前は人の名前からとっています。
その名もまさに富田さん。
初代雲取山荘の創設者だそうです。
鎌を腰に下げ、奥多摩、奥秩父の整備に尽力された人物です。
雲取山荘の近く、それもちょっと崖のようなところ(やや行きにくい)に碑が建てられています。
「雲取山に登り山の美しさに憑かれ」
「君が愛した雲取山にいだかれて世を去るまでその半生を秩父の山男として生きることになった」
「君が終生愛した雲取山中」
初めてこの碑に出会ったとき、「あー、奥多摩にずっとでもいいんだ」と妙に感動してしまいました。
アルプスじゃなくても、百名山を巡るでもなくてもいいんだって。(ちなみに雲取山は百名山ですが。)
わたしは日常に縛られ、体力、気力も今はやや衰えているように思い、富田さんほどの行動力も気概もない。
でも心の中でリスペクトしています。
わたしの山へのスタンスに、「いいじゃない! 俺だってここばっかだぜ」って教えてくれたから。