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トゥールビヨンとは

本日は前回の世界三大複雑機構の1つであるトゥールビヨンについて書きます。

まずトゥールビヨンが開発された背景について

発明者はフランスの天才時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲ氏。数々の革新的な懐中時計や置き時計、機構を生み出し、“時計界の進化を2世紀早めた”と称えられている。

彼は各パーツが受ける重力の影響を均一化することによって、時計がどんな姿勢でも安定した精度を維持できないか研究した。

そしてトゥールビヨンを考案し、1801年に特許を取得している。この複雑機構は総じて部品点数が多く、精工さも求められる。さらに熟練の時計師が時間をかけて組み立て、デリケートな調整も要求されるのだ。とくに懐中時計時代において高精度を実現する有効なシステムとして重宝され、1930年代には腕時計サイズまで小型化することに成功した。

この技術の搭載は非常に難しいとされており、世界3大複雑機構の中でも特に搭載が難しいと言われている機構です。そのため、高級腕時計ブランドの製品ラインの中でもトゥールビヨンを搭載した時計は非常に高価なものが多くなっています。

なぜ高いのか?

トゥールビヨンを作る上での難しさは、まず、籠を含むパーツ自体を軽く丈夫にすることです。
パーツが重いと、エスケープを収納している籠が回るにつけて、著しい摩耗や圧力を生み出すことになります。
また、パーツが弱いと、たわみが生じて通常時計のエスケープ以上に歩度に影響を及ぼします。
さらに、トゥールビヨンは、調整が非常に難しい構造をしています。
エスケープの土台が回転するので、通常時計に比べて微妙な調整技術を必要とし、最高級の時計職人でなければその保時性のよさを引き出すことができません。

永久カレンダーやミニッツリピーターは、従来からの時計の構造に後から特殊構造を付加するものですが、トゥールビヨンはエスケープメントの構造自体を変えています。
この点からトゥールビヨンは、抜本的に通常の時計と趣を異にしているといえるからです。


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