過去の思い出 2000年 第5回 マーメイドS
過去のレースの思い出、馬券自慢を勝手に語ってみる企画。
今回は2000年に行われたマーメイドSを振り返る。
当時は前年度までの有力馬であったメジロドーベルが引退し、古馬牝馬路線も世代交代の時期に差し掛かっていた時期。当然期待は新鋭の4歳馬という雰囲気になっていて、この2000年のマーメイドSでも人気は4歳馬が中心となっていた。
1人気を得たのは前年の桜花賞3着、オークス2着の実績があるトゥザヴィクトリー。前走のエプソムCでひと叩きされて挑む一戦でもあり、単勝も2.8倍と結構な支持を集めていた。
2人気はフランスの重賞を勝ち、英オークスでも4着の実績を持つ帰国子女サンデーピクニック。サンデーサイレンス産駒で初めて海外重賞を勝った馬で、日本移籍後初戦となった前走(900万条件戦、現在の2勝クラス)を勝っての満を持しての重賞挑戦だった。
3人気は姉がヒシアマゾンという良血のヒシピナクル。前年のローズSを勝利し、秋華賞でも3着の実績があったが、前走が日経新春杯で牡馬混合戦で大敗。巻き返しを狙う重要な一戦だった。
その他には中山牝馬S、富士Sと重賞2勝の実績があったレッドチリペッパーが4人気、ダービー卿CT価値を含む重賞3勝の実績のフサイチエアデールが5人気、、京都牝馬S勝ちがあったマルカコマチが8人気、阪神牝馬S勝ちのハイフレンドコードが11人気という状況。
ちょっと変わった所で言うと前年の秋華賞勝ち馬であるブゼンキャンドルは9人気と低評価。理由は秋華賞後のレースが大敗続きで、しかもこの年の春からは障害レースに参戦している状況を嫌われた感じもあったと思う。
レースは1人気トゥザヴィクトリーが引っ張る形で、2角過ぎから11秒台後半のラップを刻み続ける展開。3人気ヒシピナクルが2番手を追走し3人気サンデーピクニックも好位集団で、人気どころが揃って好位で進めるレース展開。
直線に入ってもトゥザヴィクトリーがそのまま先頭。誰もがそのまま押し切る事を期待したのだが、そのトゥザヴィクトリーに襲い掛かったのは5人気フサイチエアデール。好位追走の形から直線半ばから前に迫り、残り1Fで先頭のトゥザヴィクトリーをあっさりとブチ抜いてしまったのである。
結局フサイチエアデールは2着に1馬身半の差をつける圧勝。しかも当時のマーメイドSはハンデ戦では無く別定重量戦であり、フサイチエアデールは重賞3勝の実績が足枷となってなんと58キロの斤量を背負っていた。他の馬は全て55キロでありその斤量差は3キロもあった中で1馬身半差の圧勝…。またタイムも1.58.9と優秀でこれは2021年までのマーメイドSでも歴代2位の勝ち時計で、まさしくケチのつけようのない完勝だった。
終わってみれば…だけどこれだけの能力を見せた馬がここでは5人気の低評価。58キロと他馬との3キロも思い斤量差が嫌われたのは事実だが(当時の私もこの斤量を理由に消していた…)、2人気サンデーピクニック(4着)、3人気ヒシピナクル(5着)の血統的背景の華やかさによってこの馬の地力が見えなくなっていたのかもしれない。もちろん結果論になるのだが…。
勝ち馬フサイチエアデールはこれで重賞4勝目。その後は秋に府中牝馬S(3着)を叩いた後にエリザベス女王杯に挑むが2着惜敗。年末の阪神牝馬特別(現在の阪神牝馬Sで当時は年末にあった)で1人気に支持を得るも5着敗退後に引退。繁殖牝馬になってからは初仔ライラプスがクイーンSを勝ち、続いてフサイチリシャールが朝日杯FSでG1制覇するなど好調な成績。最近の代表産駒には重賞2着が4回もあるビーチサンバがいる。
2着だったトゥザヴィクトリーはその後も大活躍。このレース後はクイーンS、府中牝馬Sを連勝し、エリザベス女王杯では4着敗退も年末の阪神牝馬特別(前述のように現阪神牝馬S)でフサイチエアデールを下して勝利。翌年はダート路線にも参戦してフェブラリーSで3着、ドバイににも遠征してドバイワールドカップで2着の好成績を残す。さらにはその年の秋のエリザベス女王杯では脚質展開を見せて差し切り勝ちでG1制覇。続いて有馬記念でも僅差の3着など幅広い距離と舞台で活躍を見せ、2002年発に引退。繁殖牝馬としてはトゥザグローリー(重賞5勝馬)を筆頭に、トゥザワールド(弥生賞勝ち)、トーセンビクトリー(中山牝馬S勝ち)などを輩出している。
このレースで3着に食い込んだのがマルカコマチ。当時すでにオープン~重賞で常に穴人気となる存在で、その後も重賞であと一歩及ばないというレースが続いていく。それでもマーメイドS後は8戦して5回も馬券対象となって、2000年限りで現役を引退。繁殖成績は芳しくなく、近年中央競馬で走っている産駒は見当たらない。
2人気だったサンデーピクニックはこのレースで4着後再び900万条件(現2勝クラス)を勝利するもその後伸び悩んで2001年春に引退。繁殖入り後はトーセンキャプテン(重賞2勝)、トーセンアドミラル(地方競馬で重賞3勝)を輩出した。
3人気だったヒシピナクルはこのレースで5着だったが、すでにピークを過ぎていた感あり。その後は重賞戦線を中心に走り続けたがサッパリの成績で、2001年秋限りで引退。繁殖成績も芳しくなく2012年以降は繁殖実績が無い状態になっているらしい。
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