日経賞 2022 回顧
【レース展開】
S(スロー)後半型 SP持続・瞬発型
緩い流れで後半5F目から徐々にペースが上がって行く形で、最終的には直線の加速勝負の展開。中盤で13秒台が2ハロンあったように中盤での緩みが顕著なレース。稍重ではあったがそこまで馬場に影響を与えるほどの渋化は無かったと思う。
タイトルホルダー 1着
【出し切る形・主導権握る・自身の得意パターン?・直線の加速と持続力見せる・相手関係に恵まれ?・辛勝?】
【好発】【押して主導権握る】【4角で動く】【直線序盤で伸びる】【最後1Fしぶとく伸びる】【G前追撃振り切る】
まずまずの好発から押して押して主導権を取り切る形。ただハナを取り切るや否やペースをグッと落としにかかって序盤から緩い流れを演出。2角から向こう正面でさらにペースを落とし込んで13秒台のラップはで刻む流れから、後半の5F目からジワッとペースを上げて3角からは11秒台の加速ラップを刻んで4角から直線へ。4角で後続に迫られ直線半ばで加速を引き出して突き放しにかかるが中々振り切れない。最後の1Fでえは内外の馬に迫られて捉えられたかに見えたが、ゴール前でもうひと踏ん張りが効いて2着以下をクビ差退けての逃げ切り勝ち。
逃げ切り勝ちを収めたものの道中のペースを緩めすぎ…という感じで最後の1Fではスローの加速型の馬に肉薄されて捉まりそうな雰囲気だったが、最後は何とか押し切った格好。本来はもう少し流れる展開や、持続力勝負の中での加速勝負という形に持ち込んでも勝ち負けできそうのだが、鞍上も前走(有馬記念)で最後は止まった経験もあってかスローの加速勝負を選んだような感じ。ただこの形でも押し切ってしまう程なので地力の高さを認めつつも、この形で差し切れない他馬を指してレースレベルの低さも認める必要があるかもしれない。
ボッケリーニ 2着
【出し切る形・展開向く・終始内を立ち回る・直線しっかり伸びるも・勝ち馬とは地力の差?】
【好発】【好位追走・内】【3~4角内通す】【4角で内から動く】【直線で伸びる】【G前接戦も・2着】
好発から前を伺うもタイトルホルダーが外から来たので行かせて自身は好位追走の形。道中は終始好位で勝ち馬(タイトルホルダー)の直後を追走。3~4角を内々を回って進出し、4角で一気に前との差を詰めて直線序盤でラチ沿いから勝ち馬のインを狙って追い出しを開始。しかし半ばで加速力の差で勝ち馬に突き放されるもしぶとく食い下がって、最後の坂の上り付近で勝ち馬との差をグッと縮めてくる。最後はそのまま内から差し切るかに見えたが、勝ち馬の抵抗に遭って結局クビ差及ばずの2着。
終始好位の内々を立ち回る形で、コース取り的には勝ち馬とほぼ同じ。その中で最終的に勝ち馬を差し切れなかったのは単純な位置取りの差というよりも、単純に地力の差が出たような雰囲気。展開面ではこの馬向きの流れだったし、かなり出し切る形の部類に入ると思う。懸念していたコーナーの加速という面で思はほとんど見劣りしなかったので、前走で見せたコーナーでの手応えの悪さは単純に自身に余力が無かっただけと見ていいかも。そうなると平均寄りの流れでも対応できるタイプではあるが、緩い流れで明確に後半型の競馬になるほうがパフォーマンスを発揮できるのかもしれない。
ヒートオンビート 3着
【出し切る形・道中スムーズも・勝負所で外回る・直線最後で脚鈍る・上位馬とはコース取りの差・展開向かず?】
【好位追走】【3角外から動く】【4角~直線入口で外】【直線伸びる】【最後1F脚色鈍る】
発馬五分から好位の外を追走の形。3角過ぎで外から押して進出して行き、4角から直線で少し外に出してスピードに乗せた状態で直線へ。直線でグンと加速して勝ち馬に迫り最後の1Fでは直線の勢いそのままに外から差し切るかに見えたが、最後の100m付近で少し脚色が鈍って差し切れずの3着。
形としては悪くないのだけど最後の最後で脚色が鈍っていて、結果的に勝負所で外々を回った分だけ最後の甘さが出た印象。それに対して上位2頭は内々を回っての結果であり、自身の末脚の甘さとコース取りの差というのが出た感じはある。スローの流れで後半の加速勝負という面が強く出る内容だったのはこの馬向きではないのだろう。ただ持続力もそこまで高い感じは無くて、やはりワンパンチ不足という感じをさらに印象付ける内容になったと思う。やはり現状では単調な流れで緩急の無い形のSP持続力勝負がベストの形という可能性はある。
クレッシェンドラヴ 4着
【出し切る形・展開向かず・直線は加速力で見劣る・持続性の脚を見せるも・前目の位置取りが奏功・完敗】
【好位追走】【3角で動く】【直線で伸びる】【最後1F後続に交わされる】【完敗】
発馬五分からある程度前を伺う姿勢で2番手を追走。道中は常に逃げ馬(タイトルホルダー)を射程圏に入れて追走し、3角で強めに仕掛けて逃げ馬に馬体を併せに行くがこれに抵抗される感じで一気にペースアップ。4角も引き続き動いて行って4角から直線入口では半馬身にまで迫って直線へ。直線序盤の加速にも対応して食い下がったが、最後の1F区間でやや脚色が鈍りその間に内外の馬に交わされて結局は4着まで。
3角から動いて行く形で上位馬と比べてもかなり長く脚を使ったのだが、ここ一番の加速で見劣る感じで差がついてしまった印象。ただ序盤から前を伺う姿勢で好位を得たのがこの好結果に繋がっているし、元々がスローの加速勝負でどうこうっていうタイプではないからここでの0.3.秒差の4着はむしろ健闘の部類と言えるだろう。ここ数戦に比べては格段に上向いている事を示した内容になるし、あとは自身の得意な展開でどこまで好結果を残せるかだろう。
ハヤヤッコ 5着
【出し切る形・馬場向く?・久々の芝レース問題にせず・後半要素で意外と見劣らず?・位置取りが奏功・善戦】
【中団待機・前】【3角置かれ気味】【3~4角内通す】【4角内から動く】【直線ジリ伸び】【最後1Fしぶとく伸びる】【G前接戦・5着】
発馬五分も行き脚が遅いが押して押して中団前目のインという位置を確保。道中は終始中団前目で運んでいくが、3角過ぎでペースが上がった際に対応出来ずにやや置かれ気味。それでも4角で一気に仕掛けて直線も内からしぶとく伸びを見せ、最後の1Fでは逆に前との差をジリジリ詰めて5着争いをクビ差制した。
3角で置かれるなどペースが上がった際に案の定置かれる形になったが、最後までしぶとくの牡切る形だし、結果的には序盤である程度前々の位置を確保できたのが大きかったと思う。大きく影響はしなかったとは思うが稍重の馬場そのものは向いたと思うし、肝心の時計面そのものを問われなかったのも好都合だった。さらに2.3着馬と同様の上りを使っていて、現状のダートでの走りよりも収穫のあるレースを見せたのは大きい。芝路線に再転向で一気に良さが出る可能性も全然あり得ると思う。
アサマノイタズラ 8着(3人気)
【展開向かず・コーナーで動ききれず・鋭い加速問われる形に?・最後は一定の持続力見せる・完敗も度外視】
【中団待機・後】【3角で動く】【3~4角外から動く】【直線入口で外】【直線ジリ伸び】【最後1Fしぶとく伸びるも】【完敗】
発馬五分も二の足が遅く中団後方の外という位置取り。3角手前から外から動き出して行って、3~4角で外々を回る形で進出して直線へ。ただ直線に入ってからの明確な伸びは無く、直線半ばからゴール前にかけて一定の伸びを見せたが届かずの8着敗退。
まぁ展開的にスローの加速勝負でどうにかなるタイプでもないし、終始外々を回る展開だから届かないのも仕方のない所。今回はどうしても3~4コーナーで加速力を強く問われる形になったので、コーナー区間で一気に進出しきれなかったのは響いていると思う。ただ最後はそれなりの伸びを見せていて、この馬なりの力は出し切った感じはあるかな。根本的に緩い流れの加速勝負という展開そのものがこの馬には合わないのはすでに分かっているので、今回のこの形での敗戦を特に気にする必要はないと思われる。