天皇賞・春 2022 回顧
【レース展開】
M(ミドル)平均型 SP持続・失速型 60.5-60.3
12.7-11.9-11.9-12.0-12.0-11.9-12.2-12.8-13.3-12.9-12.3-12.0-11.9-11.5-11.7-13.2
平均ペースだが中盤でかなり緩んでいて、さらに後半5F目から再度加速していく後半SP持続力勝負の展開。その中で最後の1Fで大きく失速していて、稍重の馬場状態を考えてもかなりタフな競馬になっている。最終的には持続力勝負のような雰囲気だと思う。
タイトルホルダー 1着
【出し切る形・主導権握る・ペースの緩急を生かし切る・勝負所で加速、後続突き放す・後半の持続力見せる・後続を寄せ付けず・圧勝】
【押して主導権握る】【単騎逃げ】【3角で動く】【4角~直線序盤で後続引き離す】【直線伸びきる】【圧勝】
発馬五分も押して押して一気にハナを取り切る形。そのまま勢いに乗って単騎逃げの形になった上に前半からマズマズのペースで引っ張って1000m通過で60.5秒の流れを演出。2角から向こう正面に入る頃にはグッとペースを落として後続集団を引き付け、3角手前からジワッとペースアップし、3角過ぎから4角にかけて後続を突き放しにかかって直線へ。直線序盤で伸びを見せて後続を完全に突き放す格好。最後の1F地点では完全なセーフティーリードを得ていたが鞍上は気を抜かさずに最後までしっかりと追い続け、結局は2着以下に7馬身の差をつける圧勝だった。
先手を取って序盤からある程度の流れを作り出すが中盤で緩めて息を入れ、3角手前から再度ペースを上げて4角から直線序盤で一気の加速を見せて完全に後続を突き放してそのままゴール。完璧すぎるレース運びであり、後続の馬はこれに全く対応出来なかったという感じ。特にコーナーのキツイ3~4角付近で11.5秒という加速を引き出していて、ここで明確に後続との差をつけたように見えた。前半からある程度流れる展開を自ら作り出していて、尚且つ後半で加速力と持続力の両面を見せて他馬を一切寄せ付けずそのまま押し切り。3200mという距離もあって後続馬はこの馬の作り出す展開で消耗度が大きく後半要素を引き出せないまま終わっており、展開面での適性の差を見せたと言っていいと思う。
ディープボンド 2着
【出し切る形・ペースの緩急に対応しきれず?・3~4角外回る・3~4角で置かれる・直線しぶとく伸びるも・完敗】
【押して好位追走】【3角手前で動く】【3~4角で外】【4角~直線入口で外】【直線ジリ伸び】【最後1Fしぶとく伸びる】【完敗】
発馬五分から押して押して好位を確保。最初の4角までに内に入れて以降は好位のインで追走し、向こう正面から外に出して早々とジワリと押し上げ態勢に入る。3角手前でもう押し上げに入り3角の進入でやや外に振られたりとコントロースに苦労しつつ、3角過ぎから鞍上の手が激しく動いて仕掛けていく。4角手前で早々にムチが飛んで追撃態勢に入るが4角から直線入口での勝ち馬(タイトルホルダー)の加速に及ばず突き放されてしまう。直線に入っても伸びはジリジリとしたもので勝ち馬との差はどんどん開いて行く。それでも最後までバテずに伸び続け、最後の1Fで甘くなった3着馬(テーオーロイヤル)を交わして2番手に浮上したが勝ち馬には7馬身も差をつけられた2着まで。
ある程度流れる展開からの持続力勝負寄りの展開で自身が得意とする流れだったはずだが、中盤が緩んで後半で再加速していく展開でもあった。その中で3~4角の勝負所での加速力の差で一気に勝ち馬との差を広げられてしまった感じ。また3角の進入で外に振られた感じもあって加速しながらのコーナーリングでやや苦労した感じもあり、この辺りの適性の差というのも大きく出た印象はある。しかしながら最後までにバテずにジリジリとした脚ながらも伸び続け、直線は何とか3着馬(テーオーロイヤル)を捉えて2着にまで来た事で意地を見せた格好。最終的にはペースの緩急をつけた展開では勝ち馬の方に分があったという事だろう。単調な流れの持続力勝負、消耗戦ならまだ逆転できる要素はあると思うし、今回は勝ち馬の作り出す展開に見事にしてやられた格好になった。
テーオーロイヤル 3着
【出し切る形・3~4角の加速に対応・勝ち馬を追いかけるも・位置取り良・直線半ばで脚色鈍る・後半の持続力で見劣る・力負け・完敗】
【好位追走・内】【3~4角で外から動く】【直線ジリ伸び】【直線半ば脚色鈍る】【最後1F後続に差される】【完敗】
発馬五分からある程度前を伺って好位内目を追走。3角手前からジワッと押し上げの態勢に入り、3~4角は外を回って進出して逃げ馬(タイトルホルダー)に迫っていき、4角では馬体を併せに行ったが並びかけることは出来ず、逆に突き放されるような形に。直線序盤では完全に前の馬に突き放されて自身の伸び脚もジリジリ。直線半ばでもう一杯になったが何とかしぶとく粘りを見せたが、最後の1Fで外から2着馬(ディープボンド)に交わされて3着止まり。
好位追走から勝負所の加速に対応して勝ち馬について行くことが出来た唯一の馬だが、勝ち馬程の持続力は無かったようで直線半ばで脚色が一気に悪くなり最終的に勝ち馬には突き放され、最後の1Fでも2着馬に捉まっての3着。最終的に前半の位置取りが奏功した感じはあるし、3~4角の加速にもしっかり対応していて持ち味はしっかりと出してきたと思う。ただ高い次元での持続力を備えていなかったようで、勝ち馬には遠く及ばず2着馬にも僅かに及ばずという力負けの3着。ただし前述のように今回の展開で3~4角の加速に対応出来たほぼ唯一の馬であり、その辺りは評価されていい内容だったと思う。
ヒートオンビート 4着
【出し切る形・後半勝負に徹し?・勝負所で内回る・直線で伸び見せるも・前半要素で見劣り?・力負け・完敗】
【中団待機】【3~4角内通す】【4角~直線入口で外】【直線序盤で伸びるも】【最後1Fジリ伸び】【完敗】
発馬五分からある程度押して前を伺うも結局は中団からの競馬。3~4角は内々を回る形でジワッと進出して行って、4角から直線一口で外に出してくる。直線で加速を見せて伸びて来るが上位の馬との差が大きく、自身は確実に伸びてはいるが中々差が詰まらない。最後も脚色は鈍ってはいないが明確な伸びも大してないまま結局は勝ち馬からは1.8秒差、3着馬からも0.6秒の差のついた4着だった。
中団待機策から少し仕掛けを遅らせる感じ。勝負所は内々を回って直線入口で外に出して、直線も一定の伸びは見せて来た。立ち回り的にはまずまず噛み合った方だが、前半の上位馬との位置取りの差は大きく最後も差を詰め切れなかった印象。前半は単純に前目の位置を取り切れなかった為であり、前半の要素で上位馬とは大きさ差があったという事にもなる。その中で後半勝負に徹した競馬をしても3着馬に対しても0.6秒差だからまさしく完敗と言う感じ。決して悪くはない結果だが根本的にステイヤーという感じではないのだろう。
アイアンバローズ 5着
【出し切る形?・勝負所で置かれる・直線ジリ伸び・一定の持続力見せるも・力負け・完敗】
【中団待機・前】【3角で動く】【3~4角置かれ気味】【直線ジリ伸び】【最後1F後続に交わされる】【完敗】
発馬五分から中団やや前目のインという位置取りから正面スタンド前で外に持ち出す。そのまま中団外目を追走し3角手前から仕掛けていくも3~4角でやや置かれ気味。それでも必死に食らいついて外からジリっと位置取りを上げて直線へ。直線に入ってもジリジリとした脚ながら伸びを見せるが、上位の馬との差が中々詰まらず。最後の1Fで4着馬(ヒートオンビート)に交わされて5着に後退してゴール。
結果的に中団前目の位置でも後ろ過ぎた感じはあるし、何よりも3~4角の加速地点で置かれ気味になっていて、ここでの立ち回りが噛み合い切らなかったという印象。ちょっと全体的に後手に回った感はあるのだが、なにせ勝ち馬にすべてを支配された状態では手も足も出なかった感じ。まぁ自身がレースを支配できたとしても後半要素で上位馬を上回ったとは思えないので、ここは完全な力負けという見立てで良いと思う。