札幌記念 2023 回顧
【レース展開】
M(ミドル)平均型 持続型 60.4-61.1
12.3-10.9-12.3-12.6-12.3-12.2-12.5-12.0-12.0-12.4
平均ペースでのSP持続力勝負の展開。3角手前で少し緩んでから再度ペースが上がる形だがそれでも12.0秒とそこまで加速は問われていない。ただ良馬場発表だがこの日は全体的に時計がかなり掛かっている印象で、どちらかと言うとかなり持続力勝負寄りの形になると思う。
プログノーシス 1着
【決め手】向こう正面から積極的に動く競馬・持続力で他馬との違い見せる
出負け気味から下げる形を取って後方からの競馬だが、1角で最内入れて道中は後方内目の位置取り。ただ向こう正面で最内を衝いてスルスルと位置を上げてきて、3角では中団前目の中目の位置。3角過ぎからもジワッと位置を上げに行って外から進出し、4角では2番手の一角まで押し上げてから仕掛けて直線へ。直線は大外からグンと加速を見せて最後1F地点で内から抜け出した2着馬(トップナイフ)を捉えて先頭。その後も力強く伸びを見せて2着に4馬身もの差をつける圧勝だった。
序盤は後方からだが向こう正面から内目から位置を上げに行って、3角では好位の直後まで押し上げ、更に4角で先頭に並びかけに行く形。かなり長く脚を使う形になっている事に加えて直線も前をアッサリ捉える加速を見せると、今度は後続を突き放して…というまさしく横綱の競馬。時計を要する馬場で持続力勝負寄りの展開。この馬自身はタイプ的に持続力勝負が向くという印象はないのだが、明確に持続力で他馬との違いを見せた内容になる。まぁ後半型の競馬に徹する事で展開に関係なく強みを引き出せるタイプなのだろうが、平均持続ラップの中でここまでの違いを見せるとなる年末の有馬記念を強く意識できる内容だと思う。後は高速馬場への対応、鋭く加速が問われる展開で結果と内容を残すようになるとかなり楽しみになるのだが…。
【レース後関係者コメント】
(川田将雅騎手)
「正直、返し馬の感触もそんなに良くはなかったので、この馬自身がどういう走りができるのかに重きを置いて、乗っていこうというところでした。ゲートがいつも以上にうるさくて、とはいえ出てはくれたんですけど、その後は自分のリズムを大事にしながら、走りのバランスが取れてからは、この馬が無理しない程度にポジションアップする形になったので、それは許してあげて、というところでした。(直線は)道中リズムよく、無理せずにポジションアップしていくなかで、今までやってきた競馬とは全く違いますけれど、4コーナーの雰囲気も良かったですし、こういう特殊な馬場にもなっていたので、適性の差も出たのかなとは思います。ポテンシャルは非常に高いのですが、それを発揮するのがとても難しい馬なので、今日も簡単ではない形ではありましたけど、こうして発揮してくれて、ちゃんとまた重賞を勝ってくれましたので、胸を張っていい内容だったと言えると思います」
トップナイフ 2着
【決め手】3角で動いて持続力で違い見せ・勝馬に完敗も3着以下に大きな差
出負けから序盤で最内に進路を取って中団内目の位置取り。道中は中団内目で運んで3角手前で内からジワッと仕掛けの態勢に入っていって、3角過ぎではや先頭に躍り出るとその勢いのまま4角で一気に動いて直線へ。直線はしっかりと伸びてはいるのだが、4角で自身と同じように外目から進出して来た勝ち馬(プログノーシス)に最後の1Fで交わされて2番手後退。勝ち馬にはゴール前にかけて突き放される形になるが、自身も最後までしっかりと伸びきって3着以下には3馬身の差をつけて2着を楽々と確保。
こちらも勝ち馬(プログノーシス)同様に3角手前から動いて行く形で、そのまま最後まで伸びきる形を見せた。時計の掛かる馬場でもあり、持続力勝負寄りの展開の中でかなり長く脚を使う形になっている。勝ち馬にはその展開の中での加速を引き出されて完敗のテイになるが、3着以下には3馬身(0.5秒)もの差をつけていてこのメンバーの中で持続力の面で違いを見せた事になる。それでも出負けしながらも最内に潜り込む事で比較的早めにリカバー出来たのは大きかったし、内々を立ち回りつつの中でコーナーである程度の加速も見せたと思う。さらに時計を要する馬場で加速面を問われなかったのは大きく影響していると思われ、時計を要する馬場、小回り、持続力勝負という条件では結構怖いタイプになると思う。
【レース後関係者コメント】
(横山和生騎手)
「狙い通りでしたけど、相手が悪かったですね」
(昆貢調教師)
「正直ダービーを使った後のここはローテーション的にきついとは思っていたけど、ここまで走ってくれるとは。休み明けの馬が多かったけど、GⅠ並みのメンバーが揃っていた中、自分の形にハマればこれぐらいやれると頼もしく感じた」
ソーヴァリアント 3着
【決め手】根本的な持続力勝負になって見劣りの感・3着も上位馬との差が
発馬五分から中団後方の中目を追走。道中は中団後方で構えて3角で中目からジワッと進出を開始すると、4角で動いて位置を上げて直線は外目に持ち出す。しかし直線に入ってからの伸び脚で他馬との違いを作れず、上位2頭には逆に突き放される様な形。それでもゴール前までしぶとく伸びきって、最後は内から伸びて来た4着馬(ダノンベルーガ)を退けて3着を確保した。
中団から運ぶ形から最後までしぶとく伸びきる形の競馬。3着と言っても勝ち馬(プログノーシス)からは1.2秒もの差をつけられていて、持続力勝負の展開の中での立ち回りと根本的な持続力で大きく差をつけられてしまった内容。正直持続型の馬としてはもう少しやれても良さそうに思えるのだが、元々がスピード持続力型でもありここまで根本的な持続力が強く問われる展開の中で持ち味を生かし切れなかったと思われる。しかし近走の状況などを考慮するとそこまで悲観する内容でもなく、むしろ次戦に向けてのある程度収穫があった内容と言えるかもしれない。
【レース後関係者コメント】
(C.ルメール騎手)
「後ろの方から冷静に走ってくれました。だんだん勝った馬をマークするように運べて、しっかりと伸びてくれた。いい競馬だったし、いいパフォーマンスだった」
ダノンベルーガ 4着
【決め手】向こう正面から長く脚を使うも・持続力勝負で進境見せる?
発馬五分から中団中目に入っていくも序盤の1角手前で他馬に挟まれて後退するシーンも。結局中団後方の位置取りになって道中は進めて、3角手前から内を衝いて一気に位置を上げて行って4角では中団前目、好位集団直後まで押し上げる。そのまま3~4角を内目から押し上げて行って3.4番手の一角で直線入口を迎える。ただ直線に入ってからの伸び脚で他馬との違いを作り出せず、最後1Fではちょっと甘くなる感じでゴール前で3着争いから後退して4着でゴール。
序盤で挟まれて少し位置取りを下げたものの、大勢に大きな影響を与えることは無かったと思う。競馬自体は終始積極的に動いて行く形で、向こう正面から動き出してかなり長く脚を使う形を見せた。流石に直線に向いた時には末脚は鈍り気味だったが、これまで見せていた馬の特性面とは真逆の適性を垣間見せる内容。まぁ4着と言っても勝ち馬とは1.3秒もの差がついているし、2着馬相手にも0.6秒もの差がある内容。ただその他の馬と比較しても持続力が強く問われる展開の中でここまでやれるところを見せたのは大きいと思う。現状では加速勝負になると鋭い脚を使えるのがかなり限定的な印象が強かったが、今回は持続力の面で一定の物を見せていて持続力を生かす形が向いているのかもしれない。ただここでも上位馬には全く歯が立たなかったように、根本的な持続力が高い訳ではない事はお忘れなく。あくまでもSP持続力勝負の中で長く脚を使って…というタイプだと思う。
【レース後関係者コメント】
(J.モレイラ騎手)
「スタートして進路が狭くなって、その影響で馬場の悪い内を通らざるをえなかった。一生懸命走ってくれましたが、前走の走りを考えると、もっといい馬場の方が力を出せる」
ヒシイグアス 5着
【決め手】後方から4角外から動く形・一定の持続力見せるも勝ち馬に完敗
発馬五分も序盤からジックリ構えて後方2.3番手の位置取り。道中は終始後方2番手で進めて、各馬が動きだした3角でもジッと後方で我慢。3角過ぎでようやく外から動き出して行って、4角で外々を回して一気に仕掛けて直線は大外へ。直線は大外からジリっとした脚で伸びてはいるが、上位勢との差を詰めるほどの脚色は無い。それでも最後までバテずにジリジリとしぶとく脚を使って最後は4着争いを演じたが、クビ差及ばずの5着まで。
後方で貯める形で直線脚を伸ばしてきたが、それでも他馬と比較して違いを作り切れずに5着まで。最後も決してバテてはいないし、4角からは大外を大きく回す形になっていて、勝ち馬(プログノーシス)とは比較にならないものの。2~4着馬に対してはそこまで見劣る内容でもないと思う。ただ元々がスピード持続力型なので、根本的な持続力が問われる展開の中で持ち味を生かし切れなかった印象。ただその割にはしぶとさと一定の持続力を見せていて、前半の位置取りがもう少し前目だったら…と思えなくもない内容。
【レース後関係者コメント】
(浜中俊騎手)
「馬場も合わなかったね。返し馬でもノメっていたし、1コーナーから3、4頭ぶん外を走らせようと外を回して、最後は地力できてくれました」
ジャックドール 6着(1人気)
【決め手】好位追走も直線で余力なし・力の要る馬場、持続力勝負で脆さ?
好発から序盤で外の馬を牽制気味に外に張りつつ控えて好位外目の位置。1~2角でさらに下げる形になって中団前目の外を追走から、3角で外から動いて押し上げて行くも、この3~4角の区間で思ったほど位置を上げられずに直線へ。直線は外目から追われるも伸び脚に目立ったものが無く、最後の1F区間では上位馬に突き放される形になる。自身もジリ脚ながらも何とか粘っていたが、ゴール前ではもう余力が無い感じでジリっと後退すると最終的に6着でゴール。
力の要る馬場で持続力勝負寄りになったのはこの馬向きでは無かったと思うが、序3~4角の区間で他馬と違いを作れなかったのが響いていると思う。まぁ元々コーナー加速型でもないので、その区間で無理して押し上げ態勢に入ったが故に…と言う感じはあるのだが、最後の余力の無さから考えるとコーナーの加速云々の問題では無いように思える。なまじ昨年の札幌記念で結果を出しているから大丈夫だと思っていたが、根本的な持続力勝負でそこまで良さが出るタイプではないのだろう。やはり高速馬場で前後半のバランスが問われた中での後半SP持続力型だという事を証明する形になったと思う。
【レース後関係者コメント】
(武豊騎手)
「残念だったね。3角で前3頭の動きがよく見えなかった。反応はよくなかったし、今日は力が出せなかったね」
(藤岡健一調教師)
「3~4角で動ければ話も違ったんだろうけれど。切り替えて秋へ」
イズジョーノキセキ 7着
【決め手】後方待機策・3~4角大外ブン回し・展開噛み合わず
【レース後関係者コメント】
(岩田康誠騎手)
「馬の感じはよかったです。馬場のいいところを走らせたので、ノメることはなかった。ただ、そのぶん、ずっと外を回ることになってしまった」
ラーグルフ 8着
【決め手】中団後方外目・3~4角内通す、直線伸びきれず・持続力で見劣り
【レース後関係者コメント】
(戸崎圭太騎手)
「ちょっとテンションが高めでした。追ってから、まだ(体が)沈めていない感じだったので、そのへんがここを使ってよくなれば」
ウインマリリン 9着
【決め手】好位追走・3角置かれ気味、直線余力ナシ・状態面に?
【レース後関係者コメント】
(松岡正海騎手)
「出したわりにはハミをくわえきれなかった。使ってよくなるタイプだし、馬場も良馬場がいい。次は踏ん張りが利くと思うし、つながってくれると思う」
ヤマニンサルバム 10着
【決め手】中団中目追走・3~4角大外回す、直線余力ナシ・持続力勝負に?
【レース後関係者コメント】
(吉田隼人騎手)
「メンバーが強かったので、出たなりでためるつもりだったが、自分からハミを取っていった。馬場を選びつつ走れて、道中はいい感じでした。勝った馬には3コーナーあたりからついていけませんでした。手前を替えるバランスなどから、左回りの方がいいタイプ」
シャフリヤール 11着
【決め手】中団前目追走・3~4角置かれる、余力ナシ・馬場?適性面に?
【レース後関係者コメント】
(横山武史騎手)
「事前の取材で言っていた通り、馬場が悪いのは無理ですね。馬は大変でしたけど、よく頑張ってくれました」
アフリカンゴールド 12着
【決め手】好位追走・3角で置かれる、直線余力ナシ・馬場、持続力勝負?
【レース後関係者コメント】
(国分恭介騎手)
「ゲートを出てくれて、逃げられなかったが、番手で頑張ってくれました。休み明けのぶん、緩さはあったかなと思います」
ウインマイティー 13着
【決め手】中団内目追走・3角で一杯、直線ジリ伸びも・持続力勝負では
【レース後関係者コメント】
(和田竜二騎手)
「出来はよさそうでしたけど、向こう正面でついていけなくなってしまって…」
マテンロウレオ 14着
【決め手】中団外目追走・3角以降何もせず、動かず・競馬にならず
【レース後関係者コメント】
(昆貢調教師)
「この馬場がダメだったね。1コーナーに入るところからつまづくようなところを見せていた。ジョッキーも無理していなかったし、ダメージはないまま向かっていける。馬場さえよければ、能力は出せる」
ユニコーンライオン 15着
【決め手】押して主導権握る・3角で一杯、後退・前半で消耗度合い大?
【レース後関係者コメント】
(国分優作騎手)
「スタートがよくて、自分の形でいけましたが、馬場の内が悪くてちょこちょこ脚をとられていました。そのうち馬もファイトしてくれなくなってしまいました」