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北九州記念 2023 回顧


【レース展開】

H(ハイ)前半型 SP持続・失速型 32.9-34.4
11.6-10.4-10.9-11.2-11.3-11.9

序盤から流れる展開でのSP持続力勝負で、ゴール前にかけて失速していくラップ推移。ほぼ例年通りのラップであり、高い次元でのSP持続力勝負となっている。

ジャスパークローネ 1着

【決め手】好発と出脚の良さで主導権争い制す・直線の再加速で勝負決める

好発から押して一気にハナを取り切る形。1Fでハナを取り切ってからは自分のペースでスムーズに運んで、10秒台後半から11秒台前半のラップを刻んで3~4角へ進入。後続の接近を待たずに4角から動いて行って直線へ。直線序盤で僅かながらに加速を引き出すと後続を突き放して2.3馬身のリードを得て最後の1Fへ。最後の1Fは流石に脚色が鈍ったが、それでもしぶとく伸びを見せたのと直線序盤からのリードが効いて後続の追撃を振り切ってゴール。

好発もあったが押して一気にハナを取り切る形が奏功。他の逃げ候補の馬が少し立ち遅れた感もあって、この馬の出脚の良さを見てすぐに控える形を取ったのも噛み合った要素。それでも前半は32.9秒というある程度速い流れだが、出脚の良さもあって熾烈になるはずの主導権争いが序盤の1Fでアッサリ決着がついたのは大きい。道中も比較的楽に運べた分だけ余力も残っていたようで、直線では再加速を引き出して後続に対してリードを築けたのも効いた内容。

前走と比較して2キロ増の斤量(57キロ)で時計面も1分7秒台。これで2戦連続で結果を残したし、今回は特に前半が32秒台に突入する形でも直線で再加速を引き出せる事を証明したのは大きい。現状ではあくまでも自分の形に持ち込めれば…という条件付きではあるが、それでも強みを存分に引き出せる形があるのは強みにはなる。秋のスプリント戦線でも十分期待できると思う。

【レース後関係者コメント】
(団野大成騎手)

「今日はジャスパークローネが一番速いと思っていましたし、馬もしっかりこたえてくれて、いいスタートを切れました。最初の1ハロン目をいい感じで迎えられたので、これならばと思っていました。道中はペースを気にせず、前回の競馬と同じように気分よく行かせた方が持ち味は生きる馬。ペースは気にせず、馬とのコンタクトを意識していました。(勝利の確信は)ゴール板過ぎてからだったんですけど、最初のコーナーまでのアプローチがよかったので、いい競馬ができそうだなと思っていました。前回は函館からのきつい輸送がある中で頑張ってくれましたし、今日も重賞連勝できるように力のあるところも見せてくれた。57キロは軽いハンデではなかったけど、頑張ってくれたので、馬をたたえてあげたいと思います」

ママコチャ 2着

【決め手】中団から直線伸びるも・勝ち馬とは位置取り、コース取りの差で

発馬五分から序盤は周りの動向を見つつ少し控える形で中団前目の位置取り。道中は中団前目の外という位置で折り合いに専念するように運んで、4角手前で外目からジワッと進出の構えを見せ、4角から直線入口で外から動いて直線へ。直線は外目から加速を見せて伸びるが、前の馬も中々止まらない。それでも最後1Fで先行馬が苦しくなったところを一気に差を詰めてきたものの、勝ち馬(ジャスパークローネ)に半馬身まで迫った所でゴール。結果は2着だった。

初の1200m戦だったが問題視されていた速い流れ(前半32.9秒はそこまで速くないが)に全く問題なく対応出来たし、それでも道中はガッチリ抑え込まれる程だった。結果として動き出しのタイミングが遅かった感じもあるのだが、これは目前にいたモズメイメイ(10着)をマークしていたからかもしれない。直線も良く伸びていて特に最後1Fでの脚色は際立っていたが、それでも道中は外々を回る分になったし、勝ち馬(ジャスパークローネ)とはコース取りの差の分だけ差し届かなかった印象。それでも前半で32秒台の流れを楽に追走出来る事や、1分7秒台の時計に対応出来ることを証明した意味は大きく、前向きになれる要素は多かったように思える。

【レース後関係者コメント】
(鮫島克駿騎手)

「着差が着差だけに悔しいです。イメージ通りのポジションで運べましたし、前がやり合うかなと思っていたんですけどね。勝ち馬が実質、ママコチャより軽い斤量で楽に行かせすぎました。折り合いを重視しながらも、下げすぎないように意識しました。もう少し(前が)流れてほしかったですね。申し訳ありません」
(池江泰寿調教師)
「ハンデ(55.5キロ)を見込まれた。1200メートルで続けて使っていきたい」

ストーンリッジ 3着

【決め手】終始内々の立ち回りが奏功・32秒台の流れの対応、時計面に進境

発馬五分から中団前目のインという位置取り。道中は中団前目の内で流れに乗って、3~4角はそのまま内々を回る形で、3角からジワッと押し上げ態勢に入っていくが3角過ぎから直線入口まで前が壁になって動き出せないまま直線へ。それでも直線序盤で内の狭い所を割って一気に抜け出して、残り1F地点で単独2番手に浮上。最後の1Fからゴール前にかけても伸びを見せたが、残り100m過ぎで外から来た2着馬(ママコチャ)に交わされて3番手後退。それでも自身はしっかりと伸び続け、ゴール前でママコチャと共に勝ち馬に迫ったものの差し切るには至らず、結果は0.1秒差の3着まで。

中団前目のインという位置取りから終始内々を立ち回る形。3~4角で思うように進路を得られず動き出せない状態になっていたのが響いているとは思うが、それでも最終的には直線に向けて余力を残せる感じになっていて、前が壁になった事自体が噛み合った形になるかもしれない。まぁ色々と噛み合った内容なのでそこまで高い評価はしにくいものの、1分7秒台半ばの時計に対応出来たし、とりあえず前半32秒台の流れを中団前目の位置で流れに乗れたは収穫だろう。

【レース後関係者コメント】
(坂井瑠星騎手)

「いい枠を引けたので、ロスなく行って直線もスムーズに進路があきました。勝ち馬はしぶとかったですが、非常にいい内容だったと思います」

スマートリアン 4着

【決め手】中団後方から脚を伸ばすも差し届かず・前が止まらぬ形では…

発馬五分から序盤は少し控える形で中団後方の外目を追走。道中はそのまま中団後方の外を追走して4角まで我慢。4角から直線入口で動き出して、直線は大外に持ち出して追い出しを開始。直線は最後の1Fで外からグンと加速してゴール前にかけて迫ったものの、差し切るのは至らずに0.2秒差の4着まで。

道中は控える形で中団後方で運んで4角まで我慢する形。4角過ぎで一気に動いて行って、直線はそれなりに鋭く伸びてきたが前が簡単に止まらない形で差し届かず…という形。前が止まらない馬場で0.2秒差まで詰め寄った事は評価できるし、道中は外を回る形になりながらも後方からよく脚を伸ばしているのも立派。2着馬(ママコチャ)と比較しても後方から良く脚を伸ばしている内容。まぁ元々地力で勝ち負けできるタイプでは無い印象だし、ある程度展開の恩恵が回限りはこの辺りが限界なのだろう。

【レース後関係者コメント】
(柴田善臣騎手)

「もう少し流れるかと思ったけど、落ち着いたね。このコースで平均(ペース)だと止まらない。後ろからきたのはこの馬だけ。GOサインを出して、しっかり反応してくれた」

ボンボヤージ 5着

【決め手】中団内目で終始内を立ち回る・勝負所~直線半ばで進路取り苦労

発馬五分から中団中目のインを追走。道中は中団中目で流れに乗って、3~4角をそのまま内々を回る形だが4角手前から直線入口まで前が壁の状態。直線入口で進路を求めて外へ誘導されるも、馬群を抜け出せず。直線半ばで2着馬(ママコチャ)の後を追って進路を得たものの、最後の1F区間の伸び脚で他馬との違いを引き出せず。それでも最後1F区間でタレた先行馬を交わして5着でゴール。

3着馬(ストーンリッジ)の直後では運ぶ形で、勝負所で前が壁になる事態もほぼ同様。しかし直線で内から馬群を割った3着馬に対してこちらは外へ誘導されたものの、そこでも上手く馬群を抜け出せなかったのは痛い。まぁ最後1Fで2着馬の直後を取って進路を得たが、元々が加速型、後半型のタイプではないから直線は切れ負けの感はあった。まぁ内々を立ち回った馬が有利な馬場だったし、勝負所で内目で上手く進路を見出せていれば…という感じはあったと思う。それこそ上手く噛み合えば昨年程ではないにせよ馬券圏内は狙えたかもしれない。高速馬場でのハイペース戦の中で強みを発揮できそうでだが、現状では小倉限定と言う感じがするのが残念なところ。

【レース後関係者コメント】
(川須栄彦騎手)

「この時期の小倉は一番得意ですからね。内枠からロスなく運んで、しっかり脚を使ってくれました。去年より3キロ重かったし、展開が向いたわけでもありませんが、力があるところを見せてくれました」

トゥラヴェスーラ 6着

【決め手】中団後方中目追走・直線半ば前詰まる・G前伸びるも遅し
【レース後関係者コメント】
(藤岡康太騎手)

「理想は、もう少し前のポジションをとれれば良かったんですけどね。周りが速くて後方からになりました。直線に向いてこれからという時に狭くなって、ブレーキを引いたのも痛かったです。スムーズでないなか脚を使って、力を示してくれました」

ロードベイリーフ 7着

【決め手】3角過ぎ外から動く・最後1F脚色鈍る・時計限界?距離?
【レース後関係者コメント】
(M.デムーロ騎手)

「スタートは出たし、いいところで運べましたが、直線に向いてじりじりでしたね」

ロンドンプラン 8着

【決め手】出遅れ、躓き、後方待機・終始外回る形・最後1Fバテ差し
【レース後関係者コメント】
(松山弘平騎手)

「長期休養明けで最後までよく頑張りました。ゲート内はおとなしかったんですが、スタートでつまづいてしまいました。次は良くなると思います」

エナジーグラン 9着

【決め手】発馬後挟まれて後退、最後方待機・直線伸びきれず・時計限界?
【レース後関係者コメント】
(亀田温心騎手)

「スタートは出ましたが、挟まれて後方からになりました。ラストは脚を使ってくれましたが、前が止まりませんでした」

モズメイメイ 10着(2人気)

【決め手】好位からの競馬も最後1Fで脚止まる・明確に前半型の競馬は?

好発から押していくも他馬と比較して二の足が効かずで諦めて好位外目追走。道中は好位外目の3番手で進めて4角から動いて行くも手応えが怪しい感じ。直線で追い出されてから半ばで一瞬伸び掛ける感じを見せたものの、勝ち馬(ジャスパークローネ)にはどんどん突き放され、自身は最後1Fで完全に脚が上がって後退して結局0.7秒差の10着まで。

ハナを取り切れなかったというのもあるが、序盤の入りで思うような行き脚がつかず…と言う感じ。それでも好位からの競馬に切り替えてスムーズに運んでいたように見えたが、直線は最後の1Fで脚が上がってしまった。前走(葵S・1着)はとんでもないロケットスタートで楽に運んでの逃げ切り勝ち。ペースも平均でややスロー寄りの流れであり、今回は前半32.9秒というハイペースの流れで消耗してしまったと見ていいだろう。スピードそのものはあるのだろうが、明確に前半型の競馬で良さが出るタイプでは無いと見える。まぁ初の古馬との一戦だったし、本質的には1200mよりも1400~1600m向きなのかもしれない。

【レース後関係者コメント】
(松若風馬騎手)

「(ハナに)行ければと思いましたが、周りが速かったです。それでも2~3番手をとれればと思いましたが、直線に向く時には手応えがなかったです」

リプレーザ 11着

【決め手】最後方待機、4角内通す・直線最内から伸びるも・位置取り?
【レース後関係者コメント】
(藤懸貴志騎手)

「1200メートルは少し忙しい感じでしたが、最後の400メートルはすごくいい脚を使ってくれました。これからもう1回、いい走りを見せられると思います。それぐらいのポテンシャルがありますよ」

クリノマジン 12着

【決め手】中団待機・直線追い比べで見劣り・後半型の競馬に限界?
【レース後関係者コメント】
(田口貫太騎手)

「スタート良く、ママコチャの後ろで運べました。最後も手応えは良かったんですが、伸びきれませんでした。(重賞初騎乗について)パドックからお客さんの雰囲気が違いました。ゲート裏の雰囲気や、競馬でのタイトさも全然違って、いい経験をさせていただきました。これからも乗り続けられるように頑張ります」

テイエムスパーダ 13着

【決め手】好発、好位追走・4角一杯、最後1F失速・復調には程遠く
【レース後関係者コメント】
(今村聖奈騎手)

「体調は非常に良かったし、この馬のレースはできました。ただ、競馬に対してマイナーな気持ちになってきているので、そこをリカバリーしていければと思います」

スティクス 14着

【決め手】好位追走・4角一杯、最後1F失速・前半の流れで消耗
【レース後関係者コメント】
(幸英明騎手)

「(ハナに)行こうと思ったんですが、勝った馬のスピードが違いました。行ければ違ったと思います」

シゲルピンクルビー 15着

【決め手】出負け気味、後方待機・直線伸びず、後方侭・後半型では限界?
【レース後関係者コメント】
(高倉稜騎手)

「スタートして一歩目で前に入られて、気持ちが乗りませんでした。その後も手応えがひと息で、もう少し距離があった方がいいかもしれません」

デュガ 16着(3人気)

【決め手】出負け、後方待機・3~4角最内通す・最後1F伸びきれず
【レース後関係者コメント】
(菅原明良騎手)

「馬が前向きになって楽に追走できましたが、時計が速く、後ろからではきつい馬場でした」

レジェーロ 17着

【決め手】好位追走・最後1F失速・距離?コーナーの対応に?
【レース後関係者コメント】
(岩田望来騎手)

「4角までいいポジションで、いい感じで運べました。きっかけをつかめればと思いましたが、思ったほど弾けませんでした」

サンキューユウガ 18着

【決め手】行き脚つかず、道中追走に苦労・直線で失速・前半で消耗
【レース後関係者コメント】
(西村淳也騎手)

「忙しかったです。付いていくのがいっぱいいっぱいでした。直線に向いてからも反応がありませんでした」

【見直しの余地アリ】

トゥラヴェスーラ 6着
(4角から直線入口まで進路取りに苦労。直線序盤で一瞬伸びたが、半ばで前を塞がれて半ば諦めモード。最後100mで気を取り直して追われ伸びたが時すでに遅しで0.5秒差)


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