スプリンターズS 2021 回顧
【レース展開】
M(ミドル)平均型 SP持続型 33.3-33.8
前半が33.3秒という流れだが後半が33.8秒であり、全体で見るとこれでも平均ペース。その中で最後までSP持続力の高さを問われる形のレースとなった。
ピクシーナイト 1着
【出し切る形・楽に好位追走・内々立ち回る・後半SP持続力で違いを見せる・完勝】
【好位追走・内】【3~4角内通す】【4角馬なり】【直線で内から伸びる】【G前後続突き放す】【完勝】
発馬五分からスンナリと好位の内目を追走の形。4角手前でラチ沿いからジワッと進出していくが、いかにも手応え十分という感じ。直線序盤で逃げるモズスーパーフレアの外に持ち出して追われると若干モタついた感じはあったが、残り1Fからグイっと伸びてくる。さらにゴール前では後続を突き放す形になって終わってみれば後続に2馬身の差をつける完勝だった。
序盤のペースが意外と遅かったせいか、自然な形で楽に好位を取れたという感じ。さらに内々を立ち回って勝負所でも手応え十分という感じで、直線も力強く伸びきった印象。元々そこまで反応が良いタイプでは無いだけに、直線半ばでモタつく感じが目に付いたものの、ゴール前の伸び脚は強烈でまだまだ伸びそうな雰囲気すらあった。位置取りや高速馬場、そして自分の得意とする展開などもあって様々な要素が綺麗に噛み合った内容ではあるものの、後半の要素で他馬につけ入る隙を全く与えなかったのは凄い。このメンバー相手に2馬身もの差をつけたのだから今後の活躍がさらに楽しみになったと言えるだろう。
レシステンシア 2着
【出し切る形・高い次元のSP持続力生きる・前後半のバランス問われて・この展開で2馬身差は完敗】
【好発】【好位追走・外】【4角で外から動く】【直線伸びる】【最後1Fしぶとく伸びるも】【G前接戦制す・2着】【完敗】
好発も序盤は無理せずに好位の外目を追走。4角手前で動いて行くが勝ち馬とは手応えの差がありすぎる感じ。直線入口で少し外目に出して追い出されるも序盤で目立った伸びは見せられず。残り1Fを過ぎて他の先行馬が苦しくなったところをしぶとく伸びを見せたが、勝ち馬には完全に突き放されてしまう。ゴール前は内から伸びて来た3着馬との2着争いを何とか制した。
好位から流れに乗って…という競馬だったが、直線で勝ち馬程の脚を使えなかった感じ。この馬としては前後半のバランスが取れた良い走りを見せており、得意のスピード持続力勝負の展開の中で出し切る形までは持ってこれたと思う。ただ勝ち馬がこの展開の中で後半要素をより引き出してきたという形であり、まぁ2馬身もの差をつけられていて事実上完敗という事になる。前半の要素をもっと強めに問われる展開なら…とも思えなくはないのだが、その展開になった場合は多分最後の坂の所で急激に脚色が鈍るような形になっていたのではないか?と推察される。
シヴァージ 3着
【出負け】【リカバー・中団・前】【3~4角内通す】【4角で動く】【直線内から伸びる】【最後1Fしぶとく伸びる】【G前接戦も・3着】
出負けも早い段階でリカバーが効いて好位集団の後ろの中団前目のインを追走。3~4角からは内から前にいる勝ち馬を目標に動き出して行って、直線も最内を衝く形で伸びて来る。坂の上りでグンと加速を見せて最後は2着馬との接戦になったが、結局はハナ差及ばずの3着。
やや出負け気味からリカバーが効いて中団前目のインという絶好位を得て、目前の勝ち馬の進路の後と追うように進出。さらに直線もしぶとく伸びきる形でかなり嵌った感の強いレース内容。嵌り切ったとは言え初めて1分7秒台に入れて来たし、レシステンシア相手に大接戦の末にハナ差3着なら大健闘と言っていい。出負け気味も早めにリカバー出来たのは序盤のペースの遅さもあったと思うし、全体的に噛み合いすぎの内容だから過大評価は避けたいが、時計面、位置取りなどこの馬の課題とされている点で進境を見せた意味は大きいだろう。
メイケイエール 4着
【出し切る形?・途中で掛かる・3角から外回って動く・暴走気味のはずが直線で粘り見せる・SP持続力の高さ目立つ・勝ち馬には完敗】
【出負け】【中団待機・後】【道中やや掛かり気味】【3角で外から動く】【4角~直線入口で外】【直線ジリ伸び】【G前バテ差し・4着】【完敗】
出負け気味から序盤は控える感じだが、馬の方が馬込みの中を嫌って外に外に逃げ気味の感じ。3角からは外目を回って進出していって、4角では好位集団の外目まで押し上げてくる。4角から直線入口をそのまま外を回って、直線は明確な伸びこそ見せないがジリジリとしぶとく伸びる感じ。最後の1Fからゴール前にかけて内の先行馬がタレた所をバテ差しのような感じで4着を確保。
序盤は控えようとしたが途中で掛かった時に諦めて、3角から外々を回って進出していく形。そして4角~直線も外を回す形になりながらも最後まで大きな失速を見せていないのが驚きの出来事。道中のラップを見ても11秒台前半を連発する流れであり、その展開を後方待機→掛かる→3角から外々回って押し上げる→4角~直線入口で外→直線しぶとさ見せるという形で最終的に4着を確保したのは大きに評価できる要素。ただ勝ち馬との比較で見ると0.7秒差なので完敗には違いないが、今回の内容を見るとスピードの維持能力は相当高いと見ることが出来、これで気性面の成長が追い付いたらとんでもない馬になりそうな気配はある。
モズスーパーフレア 5着
【出し切る形・ペース演出に問題?・直線で後続を突き放せず・完敗】
【好発】【主導権握る】【3~4角内通す】【4角で動く】【直線しぶとく伸びる】【最後1F脚色鈍る】【完敗】
まずまずの好発から比較的楽に主導権を握る形。そのまま外からスピードに乗せた感じでレースを引っ張り、前半3Fが33.3秒というマズマズのペースを演出。4角でジワッと仕掛けて行って直線序盤で突き放しにかかるが、後続をなかなか降り切れない感じ。それでもゴール前100m付近まで先頭を保っていたが、急坂の付近で脚色が鈍って勝ち馬に交わされると、もう脚色に余裕がなくなったのかゴール前にかけて次々と外の馬に交わされて結局は5着まで。
直線序盤で後続を突き放せず後続に喰いつかれているのがやはり敗因の一つだと思うし、もう少しペースを引き上げても良かったかもしれない。結果として平均ペースの範囲に収まっているので、後続馬の方に有利な流れになった印象は強い。ただ自身は最後の100mでかなり脚色が鈍っているのは見て取れるし、序盤のペースを引き上げても結局後半勝負型に差された可能性は高い。素直に相手関係的に厳しくなっている感じもあって、現状のスプリント戦線では一歩後退という感じで見るのが正解なのかもしれない。
ダノンスマッシュ 6着(1人気)
まずまずの好発から控えて中団前目の外という位置取り。道中に無理をした感じは無く比較的楽な追走に見えたが、3角で若干置かれ気味になって鞍上の手が激しく動く状況。直線入口で少し外目に出して追われるが直線は終始ジリ伸びという感じ。最後は雪崩れ込むような感じでゴールして掲示板すら載れずに0.7秒差の6着敗退となった。
勝負所で若干置かれ気味になって位置を下げてから最後まで挽回できずに終わった印象。元々反応と加速が鋭いタイプでは無いので致し方ない状況に見えたが、直線に入ってから鞍上が必死に追ってもエンジンが掛かることなく終わってしまうという感じに見えた。まぁ終始外々を回る形になったし、強いてあげれば外はあまり伸びない馬場状態でもあったという言い訳は多少あるかもしれない。ただ勝ち馬からは0.7秒差という結果で、この馬にとっては絶好の条件が揃っていた中でこういう内容では残念な結果になったと思う。年齢も重ねきたし単純にスピード面で衰えが見え始めたのか、3.4歳馬の新勢力との力関係の差で世代交代の前触れなのか…。見限りは早計と言えど、ちょっと悲観的にならざるを得ない結果になったと思う。