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映画レビュー ボーン・アイデンティティー

今回の映画レビューは2003年に公開された「ボーン・アイデンティティー」。

監督はダグ・リーマン、主演マット・デイモン。この作品は後にシリーズ化されて、最新作はシリーズ5作目になる「ジェイソン・ボーン」が2016年に公開されている。

この作品を初めて見たのは2004年だったが(DVDで鑑賞)、その後に次々と続編が出て…という所までは思いもよらなかった作品。結果としてスパイものとして評価が高かったのだろうし、もうすでに活躍はしていたがマット・デイモンもこのシリーズが代表作と言われるほど大ヒットとなった作品でもある。

作品の内容はは記憶喪失になった主人公(マット・デイモン)が自分が何者なのか?という謎と、自身の生きる道を探していくサスペンス物語。その謎を探してヨーロッパの旅を続けていくうちに少しづつ分かっていく自分の事、さらには様々なはアクシデントの遭遇。中でもそのアクシデントで主人公は無意識のうちに最適な判断と身体の反応を見せて難なく乗り越えていく。これが本当にコイツは何者なのか?…と見ている側を引き付ける要素となっている。

見所としては主人公の身体が勝手に反応する…という設定で行われる格闘戦やカーアクションがある。中でもカーアクションはこの作品の中でも屈指の見せ場でもあり、パリの街中をミニークーパーで逃走する一連のシーンは圧巻。パリの細い路地を猛スピードで小さなミニクーパーが疾走するのは映像的にも非常に映える所。後にこのボーンシリーズでもカーアクションは目玉となっていくが、やはり個人的には第一作目のこの作品のカーアクションが一番好き。

物語が進んでいくうちに主人公はCIAに関連するスパイ(この件は物語途中で明かされている)であることが判明するのだが、そのCIAそのものに命を狙わている事が分かる。物語の結末としては命を狙らう相手を撃退することが出来るのだが、自分ご本当に何者なのか?という点と、何故CIA命を狙われたのか?という事の説明というか描写が今ひとつ分かり難くなっているのが惜しい所。何かよく分からないけど、悪者(実はCIAの人間)を撃退して難を逃れて…という所でこの作品は終了する。

ただこれらのハッキリしない点については次回作以降でちゃんと判明していくのだが、この作品の撮影終了時には次回作(ボーン・スプレマシー)はまだ決まっておらず、この作品をもって完結する予定だったらしい。何かこの釈然としない終わり方は…とも思えるが、物語内ですべてをハッキリと説明しないというスタンスがあったからこそスリル感はあったと思うし、サスペンス物語として成り立つ要素だったのかもしれない。ただ後にブルーレイ版で見た時だったと思うが、未公開のエンディングが数パターン特典として収録されていて、製作側もどういう終わり方にしようか…とかなり試行錯誤した様子が伺える。

作品そのものは主人公(マット・デイモン)の魅力とカーチェイスを筆頭とした数々のアクションで見ている側を飽きさせない内容。90年後半から2000年代には同様の諜報部のスパイものの作品が数多く出た時期ではあるが、007シリーズ、ミッションインポッシブルシリーズなどと後に肩を並べる事になるだけの下地はこの作品で見せていると思う。



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