日本ダービー 2023 回顧
【レース展開】
S(スロー)後半型 後半SP持続型 60.4-59.6
12.6-10.7-12.0-12.6-12.5-12.4-12.8-12.4-11.9-11.6-11.9-11.8
平均寄りのスローという流れからの後半SP持続力勝負だが、向こう正面で逃げ馬(パクスオトマニカ)単騎の形に持ち込んでおり、2番手以降の集団で見るとかなりスロー寄りの流れと推定される。実質的にスローの流れから直線加速勝負という展開だが、ラップを見ると意外と鋭い加速を問われる形にはなっていない印象。
タスティエーラ 1着
【決め手】仕掛けのタイミングと直線の加速が効く・後半総合力で差を見せ
発馬五分から好位中目の位置取り。道中は終始好位で流れに乗っての追走で、4角でジワッと押し上げ態勢に入って直線へ。直線序盤で外目に誘導しつつ馬なりで位置を上げ、半ばで満を持して追い出しを開始。追われてから一瞬ではあるが鋭い加速を見せて後続を突き放しつつ、最後の1Fで前の馬を交わして先頭に立つ。最後の1F区間で押切り態勢に入ったものの、残り100mで後続勢の追撃に遭うが何とか最後まで凌ぎ切っての押し切り勝ち。
好位で運んで直線でしぶとく伸びきる形の競馬。最後1Fは後続勢の追撃に遭ったが何とか凌ぎ切っており、先行力とSP持続力の高さがモノを言った内容になる。また実質スローの加速勝負という中でソールオリエンス(2着)以下の追撃を凌ぎ切った事に大きな意味がある。展開的にも直線の加速勝負になっているはずだが、実際に最後の3Fのラップ推移は11.6-11.9-11.8であり、鋭い加速を問われない形になっているのが幸いしていると思う。それでも直線半ばでは一瞬の加速を見せて2着馬以降を突き放すシーンがあり、ここで得たリードが最後の最後で効いたかなという印象。まぁちょっと中団以降の差し馬の末脚が不発っぽい感じになっているので少し評価は難しいが、それでも4角から少し早めに動きだした事と直線の一瞬の加速が最大限に効いた形になると思う。
【レース後関係者コメント】
(D.レーン騎手)
「何よりも特別な勝利になりました。勝てたことで素晴らしい気持ちですし、堀厩舎とキャロットファームにはいつもサポートしていただいているのでうれしいです。速いスタートを切って、いいポジションを取った後はすぐにリラックス、折り合いをつけてリズム良く競馬できるのがこの馬の強み。すべて馬のおかげでできました。特別な勝利になりました。(サリオス)2着の時も堀厩舎で素晴らしい馬ですが、もっと素晴らしい馬コントレイルがいた。今回、数年しかいないのに同じ厩舎、関係者でチャンスがめぐってきたのがうれしかった。きょうは結果を残すことができてうれしい」
ソールオリエンス 2着
【決め手】直線差し届かず、差し遅れの感も・勝ち馬に反応で見劣り
発馬五分から中団前目の位置取り。道中は中団前目のインでの追走で3~4角も内々を回しつつ、4角でジワッと動き出して行って直線へ。ただ直線序盤から半ばで若干包まれ気味で少し追い出しを待つ形から、半ばで勝ち馬の直後を通って伸びを見せ始める。ただ完全に追い出してからの加速で少し見劣って勝ち馬には逆に突き放される様な感じになるが、最後の1Fでグンと伸びてゴール前にかけて勝ち馬に詰め寄ったがクビ差及ばずの2着惜敗。
中団内目の絶好位で運んだものの直線で差し届かずという内容。まぁ直線序盤から半ばで進路取りで少し後手を踏んだというのもあるのだが、単純に差し遅れという感じの見立ててでいいと思う。勝ち馬に対しては追われてからの反応と加速で完全に見劣った形であり、そうなるとやはり勝負所から直線での加速態勢が問題になると思う。ただ皐月賞で見せたパフォーマンスの高さから見ても本質的にスローの後半勝負の展開では現3歳世代の中でそこまで違いを作れるタイプでは無い可能性が高い。まぁこの展開でもクビ差の2着だからこの展開の適性が全く無いという事ではないだろうが、本質的にはある程度の流れから持続力勝負の中で後半要素で決定的な違いを作るタイプなのかもしれない。ちょっとこの辺りは秋に向けて、或いは来年に向けて少し精査する必要はあると思う。
【レース後関係者コメント】
(横山武史騎手)
「左回りが初めてなのがどうかなと思っていたが、内側に倒れるような仕草があった。想像以上にスローペースになって、いつものキレ味が削がれてしまった。勝った馬に有利になった。運がなかったです」
ハーツコンチェルト 3着
【決め手】道中位置取り上げたのは鞍上の好判断・G前上位馬に詰め寄るも
発馬五分も二の足が遅い影響もあって序盤は後方からの競馬。ただ向こう正面で外からジワジワと位置を上げて行って3角で中団前目の外まで押し上げる。3~4角はそのまま外を回る形で4角過ぎで動き出した勝ち馬(タスティエーラ)目掛けて馬体を併せに行って直線に向く。直線は序盤で追い出されるが伸びはジリジリとしたもの。半ばでは目標にしていた勝ち馬にアッサリと突き放され、更に内から2着馬(ソールオリエンス)にも交わされるなど苦しい展開。ただ最後の1Fでしぶとく盛り返してきて、ゴール前は上位2頭に詰め寄る所まで来たが僅かに及ばず。結果勝ち馬と同タイムながら僅差の3着まで。
向こう正面でジリジリ位置を上げて行って、更に直線もしぶとく盛り返すような感じを見せて最終的にクビ+ハナ差の3着は立派な内容。向こう正面の一連の動きは鞍上の好判断だと思うし、直線も持続性の末脚がフルに生きる形になったと思う。また総じて鋭い加速を問われなかったのが幸いしている内容だと思われる。まぁそれなりに噛み合った形の内容ではあるが、最後の詰め寄り方を見ても長い距離は合うと思うし、直線で見せた持続性の末脚は今後も警戒すべき馬になると思う。
【レース後関係者コメント】
(松山弘平騎手)
「スタートは少し出れないところがあった。その後は無理しない中で押しあげられたし、勝ち馬をマークしていい形でレースができた。最後も差を詰めてくれて、力のあるところを見せてくれた。悔しい気持ちでいっぱいです」
ベラジオオペラ 4着
【決め手】最後1Fで内から鋭く伸びるも・道中のコース取り噛み合う
好発も控えて中団内目の位置取り。道中は中団のインで流れに乗って3~4角はそのまま内を回る形。そして4角手前で動き出して行って直線も内を衝く構えを見せる。直線序盤から半ばで内を通って伸びを見せ、最後の1F地点で3.4番手の一角まで押し上げる。最後の1Fは内から鋭く伸びて一気に勝ち馬(タスティエーラ)に詰め寄ったが、ゴール前で外から来た2.3着馬に僅かに差される形になって4着惜敗。
終始中団内目で運んで直線も最後までしっかりと伸びきる形。結果的に4着と言う内容だが、勝ちタイムと同タイムでの走破している点は認められていい。内容的にも道中のコース取りが噛み合ったとは言え最後の1F区間での伸びは目立ったし、上位馬と遜色ない後半要素を見せて来たと思う。皐月賞時と比較しても緩めの流れで後半要素を高めてきたし、上り3Fに関してはソールオリエンス以上の33.0秒をマークして来たという事で今後も侮れないと思う。
【レース後関係者コメント】
(横山和生騎手)
「素晴らしいスタートを決めてくれたが、ためればいいイメージで乗った。ラストは素晴らしい伸びだった。力のある馬に、こういう舞台で乗れてありがたい」
(上村洋行調教師)
「スタートが良く、内枠を味方にしてあの位置から運べたのが、終いの脚に繋がったのだと思います。良馬場だったのも良かったです。ポテンシャルは良いものを持っていますが、まだこれからの馬です。そんな現状でこれだけ走れましたし、力関係もはっきりと分かりました。一息入れて秋へ向かいますが、これからがとても楽しみです」
ノッキングポイント 5着
【決め手】直線伸びきれずも0.2秒差なら・後半要素で見劣りも適性面で?
発馬五分から中団前目の外目を追走。道中は中団前目で折り合いに専念するような感じで進めて、4角で中団馬群中目から進出を開始して直線へ。直線序盤で外目に誘導しつつの追い出しでジリっと伸びを見せるものの、上位馬に対しては若干伸び負けの感。最後1Fもしぶとく伸びて内目の先行馬を何頭か交わしたが、ゴール前で内で粘る6着馬を何とか交わして掲示板を確保。
中団の外という位置取りだったが直線の伸び脚(加速)で見劣る形の内容。0.2秒差という結果からもそこまで悪い内容とは言えないが、やはり後半要素の勝負となって上位馬とは少し差があることが証明されたと思う。ただ本質的にマイラーっぽい雰囲気があって、そういう点を考慮すると距離云々の問題よりも緩い流れの後半勝負という展開での適性の問題という見方もできる。ただそうだとしてもこのメンバー相手に0.2秒差は善戦したと言えるし、適距離に戻ってある程度流れる展開での巻き返しに注目してみたい。
【レース後関係者コメント】
(北村宏司騎手)
「馬はいい仕上がりだった。少し力の入るところもあったが、我慢もきいていた。スタートを決めて、インでうまく競馬ができたし、その後も持続的に脚を使ってくれた」
ホウオウビスケッツ 6着
【決め手】好発、好位追走・前半掛かり気味・G前脚色鈍るも見せ場あり
【レース後関係者コメント】
(丸田恭介騎手)
「素晴らしいスタートで、ハナかと思ったけど、行く馬がいたので一列下げた。最初少しエキサイトしていたが、向こう正面では落ち着いてくれた。本当に頑張ってくれました」
シーズンリッチ 7着
【決め手】好位追走・直線キレ負け・後半要素で見劣り
【レース後関係者コメント】
(戸崎圭太騎手)
「スタートは速く、二の脚もついて思ったよりも前めになった。できれば、前に壁がほしかったけど、その中でよく頑張ってくれた」
ファントムシーフ 8着(3人気)
【決め手】直線終始ジリ伸び・後半要素で明確に見劣り
出負け気味から中団後方外目を追走。道中は中団後方で進めて3角過ぎから外を回ってジワッと進出を開始すると、4角から直線入口で大外に回して直線へ。直線は半ばで追われるも目立った伸び脚を見せられず、終始ジリジリとした伸び脚。最後の1F区間でも目立った伸び脚は見られずに最後は雪崩れ込むような感じで0.4秒差の8着まで。
まぁ終始外々を回る感じだったというのもあるが、それにしても他馬との比較で見ても直線では伸びが殆ど無い感じ。この感じだと前目の位置を得ていれば多少違った結果になった可能性はあるが、それでもこのジリ脚でどこまで粘り込めたかどうかが焦点になる。本質的にもう少し反応と加速が良い馬だと思って頂けにこの結果と内容はちょっと残念。
【レース後関係者コメント】
(武豊騎手)
「ペースが遅かったからポジションを上げたかったが…。もっといけばよかった。結果的に向こう正面での勇気が足りなった」
シャザーン 9着
【決め手】中団中目追走・直線大外も伸びきれず・後半要素で見劣り
【レース後関係者コメント】
(岩田望来騎手)
「状態良くゲートインして、思ったよりスムーズに進めていた。どうしてもペースに左右されるので、今回は向かなかった。力が足りないわけではないです」
フリームファクシ 10着
【決め手】中団内目追走・直線伸びきれず・後半要素で見劣り
【レース後関係者コメント】
(吉田隼人騎手)
「思ったよりうまく運べた。ペースのせいか、最後は少しだらっとした。距離もあるのかな。1800メートルくらいがいいのかも」
サトノグランツ 11着
【決め手】後方待機・直線伸びきれず・位置取り後ろ過ぎ
【レース後関係者コメント】
(川田将雅騎手)
「馬はこの短期間でとても良くなっている。結果は出ていないが、秋が楽しみになる状態です」
メタルスピード 12着
【決め手】好位内目追走、序盤掛かり気味・直線半ばで一杯・距離?
【レース後関係者コメント】
(津村明秀騎手)
「大歓声で馬が盛り上がっていた。スタートして1コーナーの入りでうまくリズムが作れなかった。そのぶん、最後は止まってしまった」
パクスオトマニカ 13着
【決め手】発馬で隣の馬(落馬)に接触・主導権握る・直線半ば脚止まる
【レース後関係者コメント】
(田辺裕信騎手)
「落馬の影響で少しひるんだが、二の脚でリカバリーしてくれた。自分のペースでいけたし、直線でも反応があったから面白いかと思ったけど、最後は脚が上がっていた」
トップナイフ 14着
【決め手】発馬で躓く、後方待機・直線半ばで諦め・位置取り後ろ過ぎ
【レース後関係者コメント】
(昆貢調教師)
「前回と同じで、トモを滑らしてゲートを出られなかった。ジョッキーは行く気まんまんだったが…。この形では力を出せない。また秋に出直す」
グリューネグリーン 15着
【決め手】中団中目追走・直線伸びきれず・後半要素で見劣り
【レース後関係者コメント】
(石川裕紀人騎手)
「出たなりの位置で競馬をしようと決めていました。結果的には前でしたね」
ショウナンバシット 16着
【決め手】出負け、最後方待機・4角~直線で最内・直線伸びず、ヤメ
【レース後関係者コメント】
(M.デムーロ騎手)
「スタートからハミを取らず、直線も反応が良くなかった。よく分からない」
スキルヴィング 17着(2人気)
【決め手】出負け、3角外から動く・直線伸びず・心不全発症、G後倒れる
【レース後関係者コメント】
(C.ルメール騎手)
「直線は反応がなかった。ゴールした後は馬がフラフラになって止まってしまった」
ドゥラエレーデ 中止
【決め手】発馬後落馬