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紫苑S 2023 回顧


【レース展開】

H(ハイ)前半型 SP持続・失速型 58.1-59.9
12.2-11.0-11.8-11.5-11.6-11.8-11.8-11.9-12.4-12.0

前半からある程度流れる展開でのSP持続力勝負。道中は終始11秒台後半のラップを刻む流れで直線は消耗していく失速ラップだから、高いSP持続力を問われる形になったと思う。勝ち馬だけが後方で脚を貯め切る競馬をして少し別次元の内容を見せたという感じ。

モリアーナ 1着

【決め手】後方待機の直線勝負が見事に嵌る・嵌った形でも勝ち時計は優秀

発馬五分も序盤から下げる形をとってほぼ最後方の位置取り。道中は最後方に近い位置取りで構えてじっくりと脚を貯めるような感じで追走し、3角に入っても内々を立ち回るもジッと控えたままの競馬。4角でようやく内目から動き出して、直線入口で外に振られるような感じで直線へ。直線序盤でまだ後方4.5番手という位置だったが、直線で追われるとグンと加速。半ば以降は中目からグイグイと伸びを見せて、最後1Fは馬群の間を縫って進出して2番手浮上。最後100mからは先に抜け出した2着馬(ヒップホップソウル)目掛けて猛追すると、ゴール前できっちり捉えての綺麗な差し切り勝ち。

かなり思い切った騎乗ぶりで、道中ジックリ貯めてのほぼ直線勝負のような競馬。直線は奇跡的に進路取りも噛み合った感じにも見せて、かなり嵌り切った感は強い内容。ただハイペースで前崩れの展開だったので噛み合ったのは当然としても、勝ち時計は1.58.0だし上りも34.3秒とちょっと次元の違う内容を見せたと思う。まぁ前半で無理をしない事で後半要素を目一杯引き出したという風にも見れるし、3~4角でも動かずにほぼほぼ直線のみの追い出しで限定的な末脚は効果的に使い切ったという風にも見れる。これらの事が距離延長(2000mで)が起因で引き出されたのか、はたまた夏を越しての馬の成長力で引き出されたのかの判断は難しいが、強さを見せた事には間違いが無いと思う。

秋の大一番に向けての視界はかなり良好。秋華賞でも同様の競馬をしてくるかどうかは微妙だが、それでも上手く脚を貯めて直線のひと足で違いを作れる事はハッキリしたと思う。本番では鞍上の乗り方ひとつという感はあるも、それでも地力強化は見えているので秋華賞では注目の馬になると思う。

【レース後関係者コメント】
(横山典弘騎手)

「もともと、能力はある馬ですからね。休み明けのぶん、体の使い方はモサモサしていたけど、最後はいい感じではじけてくれた。まだまだ若いお姉ちゃんだけど、いいところがいっぱいあるし無事にいってくれれば」

(武藤善則調教師)
「たまればはじけるのが証明できた。でも道中はさすがに届かない位置だと思ってハラハラしていました。坂を上がってからすごかったね。嚙むところもなかったし、折り合いも問題なかった。想像以上の末脚。これくらいのパフォーマンスで行けるのは手応えになる。胸を張って(リバティアイランド)と再戦できます。楽しみになった。(重賞制覇は11年ぶり)長いね。ずっとお世話になっているオーナーだから良かったです」

ヒップホップソウル 2着

【決め手】G前勝ち馬の末脚に屈するも・Hペースで持ち味出し切る

発馬五分からスッと前目につけて好位内目を確保。道中は好位内目でスムーズに流れの乗っての追走で、3~4角は馬なりで内々を回る形。4角で少し挟まれるような感じになるも、直線入口でそこを抉じ開けるにして進出して直線へ。直線序盤で追われると即座に反応を見せて伸びを見せると、直線半ばで単独先頭に躍り出る。最後1Fもそのまま伸びて後続を突き放して完全に抜け出したものの、ゴール前で外から猛追して来た勝ち馬(モリアーナ)の末脚に屈して半馬身差の2着。

ハイペースを前目で流れに乗って、直線でひと脚を使う理想的な勝ちパターンの競馬。しかしゴール前では後方待機で直線勝負に徹した勝ち馬(モリアーナ)の末脚に抗えず…という感じの競馬。まぁ自身はHペース追走でも後半要素を引き出してきたし、中でも直線序盤から半ば以降での加速には見所があった。勝ち馬がかなり極端な競馬をしてきたものの、内容的には持続力勝負の中で持ち味を十分に発揮したと思える。

本番の秋華賞に向けても視界は明るい。今回の勝ち馬との比較で見ても前々で運べるのは有利だし、今回は終始111秒台の持続ラップの中で高い持続力を見せた意味も大きい。持続力型の印象が強いものの、以前は末脚の質は直線加速型というイメージもあった馬。内々で上手く立ち回って直線のひと足で違いを作れるのは有利になると思える。

【レース後関係者コメント】
(横山武史騎手)

「調教では難しい部分も感じていましたが、レースは内枠で外めに壁をつくって想定通りの隊列。したい競馬はできました。100点の競馬はできましたが(父・横山典が騎乗した)勝った馬は120点でした」

シランケド 3着

【決め手】後方待機策から直線大外から伸びる・展開噛み合った感強いが

出負けしても前に行く構えは見せずにそのまま後方待機策。道中は中団やや後方の外目を追走して3角過ぎから外を回って進出を開始。4角にかけて外からジワジワと押し上げて行って直線入口で大外に持ち出す。直線序盤から半ばにかけての伸び脚で他馬との違いをくれずでジリっぽく見えたが、最後の1F区間でグンと加速。最後の急坂を苦にせずグイグイと大外から差を詰めて上位に迫ったものの、捉えきるには至らず。最後は4着馬(キミノナハマリア)を交わして3着に浮上してゴール。

後方待機策で展開的に噛み合った形の内容。4角から外を回って直線に入ったが、勝ち馬程の切れ味を見せれずに直線序盤から半ばでは少しモタつく感じにも見えた。しかし最後は前が止まる形になったのもあるが、最後1Fでの伸びそのものは見所があったと思う。現状では後方待機からの展開待ちのタイプという印象はあるが、末脚そのものは比較的長く使えそうな印象。稍重という馬場状態でありながらも1.58.3で走破した意味も大きく、後半要素の勝負になった時に出番はありそうな感じ。

【レース後関係者コメント】
(国分恭介騎手)

「折り合いは問題なかったし、ゴーサインを出してからもしぶとく伸びてくれました。自分の馬が一番強い競馬をしてくれたと思います」

キミノナハマリア 4着

【決め手】好位追走も最後の急坂で脚鈍る・上位馬に0.3~0.4秒差で完敗

発馬五分からある程度前を伺って好位からの競馬。道中は終始好位集団の中で進めて3角過ぎから外目から進出を開始。4角で本格的に仕掛けて外からジリっと前に迫っていって直線入口も外目から直線に向く。直線は半ばでグイっとひと伸びを見せたが、最後の坂の付近で脚が鈍ってしまう感じ。その間に後方待機策の1.3着馬が追撃を受け、それを凌ぎ切れずに4着まで。

好位から中団前目で流れにのって4角で外目から仕掛けていく感じの競馬。直線半ばでは加速で他馬との違いを作れたのだが、最後1Fの特に坂の付近に差し掛かったた際に脚が鈍る感じを見せたのは痛い。まぁ交わされたのが後方待機組なので仕方ないのかもしれないが、それでも同じような競馬してみせた2着馬(ヒップホップソウル)には0.3秒もの差がついて現状では完敗の感は強い。前半を好位~中団前目で運んだとは言えこの馬としてはちょっと速い流れだった感じで、末脚を削がれたと言うか後半要素を引き出せなかったような印象。高い次元で持続力を問われると少し見劣るタイプなのかもしれない。

【レース後関係者コメント】
(C.ルメール騎手)

「いい競馬はできたし、直線も来てはいたけど、坂を上がってからいっぱいになってしまった。それでもいいパフォーマンスはしてくれた」

ミシシッピテソーロ 5着

【決め手】勝負所抜群の手応えも直線伸びきれず・パンチ不足?力負け?

発馬五分から中団中目を追走。道中は終始中団馬群で折り合いに専念するような感じの追走で、3角過ぎで馬なりの手応えのまま中目からジワッと進出を開始。4角で仕掛けて直線入口は外目に出して直線へ。直線序盤はさらに大外に持ち出して半ばで追い出しを開始。最後1Fでしぶとく伸びて前に迫ったものの、坂の付近で後続各馬(1.3着馬)にアッサリ交わされる感じ。ゴール前では若干伸びきれず…という感じを見せて4着馬(キミノナハマリア)に半馬身及ばずの5着まで。

中団で流れに乗っていて勝負所の手応えも抜群という状況だったし、4角からの進路取りもスムーズな形だったと思う。直線もこの馬なりには伸びているのだが、後方で脚を貯めた上位勢の末脚には敵わなかったし、自身より前にいた2.4着馬も捉えきれずという結果で少し中途半端な内容になったと思う。まぁ見るからにこのメンバーに入るとパンチ不足というのを示す内容になったし、Hペースである程度流れに乗った事で自身の脚も少し削がれ気味になったようにも見える。ゴール前で少し甘くなった感じを見せたが、時計面を見ても距離延長が響いたという感じは無いと思う。

【レース後関係者コメント】
(石川裕紀人騎手)

「折り合いよく、理想的な競馬はできたが、結果的に距離が長かった。適距離なら重賞のメンバーでもやれると思う」

ミタマ 6着

【決め手】中団内目、3~4角内通す・最後1F脚色鈍る・立ち回り噛み合う
【レース後関係者コメント】
(松若風馬騎手)

「内枠を生かす競馬をしようと思い、ポジションも並びも思っていた位置で競馬できました。プラス12キロも成長分で、馬は良くなっていました」

フルール 7着

【決め手】出負け、後方待機・3~4角置かれ気味・直線バテ差し
【レース後関係者コメント】
(石橋脩騎手)

「初めて厩舎に来た時に乗ったが、そのときより精神的に成長していたし、体も動いている。ペースが速かったなかで、しまいよく伸びてくれた」

ニシノコウフク 8着

【決め手】中団内目追走・4角~直線入口最内・直線半ば~包まれ進路なし
【レース後関係者コメント】
(永野猛蔵騎手)

「トモ(後肢)に弱いところはあるけど、背中はすごくいい馬でした。内ラチ沿いから脚をため、4角でもいい手応えだったが、決め打ちしたぶん、少しさばくのに時間がかかってしまいました」

エミュー 9着

【決め手】中団待機・4角外から動く、直線大外も伸びず・時計面限界?
【レース後関係者コメント】
(M.デムーロ騎手)

「スタート良く、いい位置で競馬はできたが、瞬発力に少し欠けた感じで最後の伸びもジリジリだった」

グランベルナデット 10着(1人気)

【決め手】好位追走でも直線余力ナシ・Hペース追走で消耗の可能性

発馬五分から前に行って好位外目の位置取り。道中は好位で流れに乗って3角で動き出していくも反応が悪く、3角過ぎではムチまで飛んでいた。それでも4角でしぶとく追い上げの態勢に持って行って直線入口で外目へ。ただ直線では他馬と比較しても目立った脚色では無く、最後の坂の付近ではやや失速モード。最後は諦めて流す感じでゴールして結果は1.2秒差の10着大敗。

Hペースを前目で流れに乗って後半は余力が無くなってしまったような内容。すでに勝負所の反応と手応えは怪しかったし、前半である程度脚を貯める形の競馬の方が合っているのだろう。現状明確に後半型という感じの馬なだけに、平均持続ラップになりやすいコースは厳しそうな印象を受ける。

【レース後関係者コメント】
(松山弘平騎手)

「枠も良かったし、いい位置で流れに乗れましたが、3コーナー過ぎから早めに脚がなくなりました。それでも最後までよく頑張ってくれたと思います」

フィールザオーラ 11着

【決め手】主導権握る・Hペース演出、最後1F止まる・力負け、時計限界
【レース後関係者コメント】
(三浦皇成騎手)

「単騎で行きたかったので、ペースを気にせずリズム重視で行きましたが、テンションが高すぎました。そのなかでも最後まで頑張って走ってくれています」

ソレイユヴィータ 12着(3人気)

【決め手】好位追走も直線余力ナシ・Hペースで流れに乗って消耗

発馬五分から好位追走の形。道中は終始2番手で進めて、3角過ぎで内目からジワッと進出の構えを見せ、4角で仕掛けて直線へ。しかし直線入口ですでに2着馬(ヒップホップソウル)に迫られて直線序盤でアッサリと突き放されてしまう。半ば以降の脚色も他馬に見劣りジリジリ後退。最後1Fはほぼ失速状態に陥って最終的には1.6秒差の12着大敗。

Hペースを好位で流れに乗って最後は余力なしの状態。前半の速い流れで消耗したという見立てで良いと思う。現状では少し緩めの流れの中で前後半のバランスが問われる形がベストだと思われる。

【レース後関係者コメント】
(西村淳也騎手)

「状態はすごく良かったと思います。距離の不安があったが、最後は馬が疲れてしまった」

アマイ 13着

【決め手】押していくも主導権握れず・最後1F失速・Hペース追走で消耗
【レース後関係者コメント】
(佐々木大輔騎手)

「重賞でしたし、枠もありハナに行けませんでしたが、メドの立つ走りはできました。平坦小回りコースの自己条件ならやれると思います」

ワイズゴールド 14着

【決め手】後方内目追走・3角置かれ気味、直線伸びきれず・力負け

ダルエスサラーム 15着

【決め手】中団後方追走・直線伸びず・距離的要因の可能性大
【レース後関係者コメント】
(坂井瑠星騎手)

「スムーズに立ち回ることができましたが、最後は苦しくなってしまいました」

アップトゥミー 16着

【決め手】出負け、後方待機・4角で動くも直線余力ナシ・負け過ぎの感
【レース後関係者コメント】
(国枝栄調教師)

「ゲートでトモ(後肢)を落とし、その態勢のままゲートを切られてしまった。馬場が速く、ペースが上がった時に外を回す形にもなり、脚を使えなかった」

マーゴットミニモ 17着

【決め手】中団追走・道中追走手一杯、3角余力ナシ後退・芝の対応に?
【レース後関係者コメント】
(吉田豊騎手)

「芝に替わったし、他馬より出脚がつかなかった。2000メートルを考慮してチークを外したが、着けた方がよさそう」

【見直しの余地アリ】

ニシノコウフク 8着
(直線半ば以降で包まれてゴール前100mまで追えずじまい。ゴール前で再度追い出しに入ったが、勢いをつけて伸びて来た外の差し馬には敵わず。3角から内々を回す形で、4角から直線入口で最内を衝いて一気に進出できており、勝負所でのコース取りは噛み合っていたので少し惜しい内容)

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