セントウルS 2023 回顧
【レース展開】
M(ミドル)平均型 SP持続型 33.5-33.7
11.9-10.5-11.1-10.9-11.1-11.7
前半は33.5秒で全体の流れで見ると平均ペース。その中で最後まで大きく落とさない純粋なSP持続力勝負の展開。
テイエムスパーダ 1着
【決め手】押して主導権握って自分の形・開幕週、高速馬場味方に押し切る
少し体勢を崩しながらの発馬から押して押してハナを取りに行く形。ハナを取り切る過程で内枠の数頭の鼻先をかすめるなど強引さはあったが、何とか主導権を握る形に。そのまま自分の形に持ち込むと、道中はそのまま10秒秒後半から11秒台前半の速いラップを刻み続ける流れを作る。3~4角も比較的楽な手応えから直線に向くと、直線入口から序盤でひと足を使って後続を突き放しにかかる。最後1Fでは完全に後続を突き放して押し切りモード。流石にゴール前で若干甘くなったが、それでも直線で後続に対して作ったリードが効いて、2着に1馬身の差をつけての逃げ切り勝ちだった。
序盤でハナを取る際に内目の枠の馬を数頭の鼻先をかすめるように内に切れ込んだものの、何とかハナを取り切る事が出来たのが最大の勝因。そのまま10秒台後半から11秒台前半の速いラップを刻みつつ、直線はひと脚を使って後続を引き離すなどこの馬にとっては一番良い形を作れたのは大きい。もちろん開幕週の馬場、高速馬場という条件もこの馬に向いたと思えるのだが、それでもここまで完璧なレース内容を見せるとは意外だった。まぁ前走でも復調気配は全くと言っていいほど伺えなかったし、調教でも平凡な動きを見せていて、まぁ劇的な復活劇になったと思う。
【レース後関係者コメント】
(富田暁騎手)
「重賞になるとなかなか勝てなくて、自分自身緊張しているところもあったりして、こうして夏の北海道の経験を経て、こちらで師匠の馬で重賞を勝てたということもすごくうれしいです。先生(木原調教師)も(定年引退まで)あと1年ちょっとで重賞を取れたのもうれしいです。最初は実感がわかなかったんですけど、ゴール板を過ぎてから、皆におめでとうと言われて、うれしさが込み上げてきました。この馬の形で競馬ができれば強いと思っていましたし、成績は落ちていましたけど、ずっと恐らく在厩で厩舎の方が(調子を)落とさずに調教をしてくれていたので、この先に向けても、いい結果になったと思います」
アグリ 2着
【決め手】最後1Fで外から鋭く伸びきるも・前半の位置取りに?
発馬五分から中団やや後方の内目を追走。道中は後方内目まで下げる形で、そのまま3~4角を内々を回って直線も内目へ。直線は序盤から半ばで中目を衝くのを避けて、外々へと誘導しつつの追い出し。しかし直線半ばでも馬群を捌ききれず最後の1Fを過ぎてようやく外に持ち出してグンと加速。しかしすでに残り100m地点ですでに大勢は決した後。ゴール前にかけて鋭く脚を使って他馬を交わしきったものの、勝ち馬(テイエムスパーダ)は捉えきれず0.2秒差(1馬身差)の2着まで。
ちょっと後方でジックリ構え過ぎたというか、差し遅れの感が強く出た内容。3~4角で少し包まれ気味になった事で4角まで動きにくい状況でもあったし、直線はあくまでも外に進路を求めた為に馬群を捌き切るのにかなり時間を要した印象。結果的に最後1Fで内目から中目はズラっと横に並ぶ形になっていて、外に出さなければ完全に終わっていたと思うので仕方ないとは言え、道中の位置取りはちょっと後ろ過ぎたような感じはする。それでも追われてからの伸びは抜群で、いかにも脚を余した感はある。
まぁ本質的に1200m向きという感じはあまりないものの、高速馬場とは言え1.07.4で走破してきたし、貯める形になったとは言え後半要素を高めて来たのは評価できる内容。1200mの速い流れに不安があるからこそ前半は後方で運んだ可能性はあるし、この馬自身としてはベストは1400m以上、もしくは前半の流れがそこまで速くならない形だろう。
【レース後関係者コメント】
(横山典弘騎手)
「いい脚で来たね。頑張った」
スマートクラージュ 3着
【決め手】中団外目から伸びるも差し届かず・後半型の競馬もパンチ不足で
少し出負け気味から中団外目を追走。道中はそのまま中団外で流れに乗って4角~直線入口で仕掛けて直線へ大外へ。直線は半ば以降で外からグイっと伸びを見せて前に迫るものの、中々逃げる勝ち馬(テイエムスパーダ)には追いつけない。ゴール前でさらに外から来た2着馬(アグリ)に並ぶ間もなくアッサリと交わされたものの、内から差し返すような伸びをせた4着馬(ボンボヤージ)は封じ込めて3着を死守。
中団外目で流れに乗って直線は外から脚を伸ばしたものの差し届かずという内容。ちょっといつもよりかは後ろの位置取りになっていて、発馬で出負け気味になってしまったのが響いていると思う。貯めて後半型の馬ではないので直線で伸びきれなかったのもある程度納得がいくし(もちろん重賞レベルで相手関係の面もある)、全体的な内容を見てもそこまで悪い結果でもないと思う。ただこのメンバーに入るとワンパンチ不足を露呈した感じは多少なりともあると思う。
【レース後関係者コメント】
(岩田望来騎手)
「外枠のぶん、とらえられませんでした。もう少し内の枠で、もう一列前のポジションが取れていたら、もっときわどかったと思います。馬は頑張ってくれましたが(2着以内に入って)賞金を加算したかったです」
ボンボヤージ 4着
【決め手】直線しぶとく伸びる切るも完敗・展開、相手関係考慮で善戦?
発馬五分から中団中目を追走。道中は中団中目でスムーズな追走から4角で動いて行って直線入口で外目へ持ち出す。直線は追い出されてから少しモタつく感じを見せつつも、最後1F区間に入ってからジリっと伸び始めると、ゴール前にかけて最後までしぶとく伸びきる形。ゴール前は3着馬(ボンボヤージ)と接戦を演じたがクビ差及ばずの4着。
中団中目で流れに乗って直線はしぶとく伸びきる形の競馬。直線でイザ追われてからの反応と加速で見劣り気味だったが、最後1Fで盛り返すようにしぶとく伸びを見せたのが印象的。本質的にはハイペースの流れでしぶとさを発揮できるタイプなので、少し流れが落ち着いた平均ペースでは少し持ち味を生かし切れなかったような感じ。でも得意の高速馬場でもあり相手関係を考えると結構善戦の内容だったように思える。
【レース後関係者コメント】
(川須栄彦騎手)
「立派な結果だと思います。返し馬からの感触も前走の小倉以上でした。インコースがいい状態なので、スタートを決めることに注意しました。インに入ってビッグシーザーの後ろに入って、直線交わした時はこの馬の凄さを感じました。この舞台で素晴らしい走りでした」
ロンドンプラン 5着
【決め手】中団待機から終始内々を回る形・直線伸びるも差し届かず
発馬五分から中団内目を追走。道中は中団内目で流れに乗るような感じから、3~4角をそのまま内々を回る形。4角で動いて行って直線に向くと半ばで中目へと誘導されて追い出しを開始。最後1Fでは狭い馬群の間を割るようにして伸びて、ゴール前では大接戦の5着争いを制して掲示板を確保。
発馬五分も少し行き脚が付き切らない感じに見えたが、最内枠という事もあってある程度リカバーが効いた感じ。終始内々を回る形でコースロスを最小限に抑える形の競馬だし、そこまで高く評価できる内容では無いと思える。ただハンデは55キロだったし古馬相手にそこまでヒケを取る感じにも見えなかった。今後特別注目すべき馬という程ではないものの、ちょっと現状では軽視すると痛い目を見そうな雰囲気はある。特性面の話になると意外と持続力が高い面を見せていて、最後も決してバテた感じがないからやはり後半勝負型(バテ差し型)の印象は強い。
【レース後関係者コメント】
(吉田隼人騎手)
「枠が良かったので、一歩目を気をつけて出すイメージだったのですが、大型馬で、気持ちもおっとりしていて、出負け気味になってしまいました。それでも出していったら反応してくれて、いいところにつけられました。きょうの馬場では前にいないと話にならなかったです。この競馬が次に生きてくれればと思います。もう少し距離があってもいいかもしれません。良く頑張ってくれたと思います。いい馬です」
ジャングロ 6着(3人気)
【決め手】序盤で前カットされ、自分の形を作れず・序盤の運びに注文?
発馬五分からある程度押して前へ行く形。しかし序盤で外から切れ込んできた勝ち馬(テイエムスパーダ)に前をかすめられて少しエキサイト。その後中団前目のインに入れるもちょっと掛かり気味のままの追走。その後落ち着きを見せて3~4角を内々で立ち回って直線も最内へ。直線は序盤から半ばで前が詰まり気味で進路を確保しきれなかったが、最後1Fで前が開いてようやく追い出しを開始。そこからしぶとく伸びを見せたものの、外から来た差し馬の脚色には抗えずに結局0.4秒差の6着敗退。
見るからに序盤で前をカットされた際に馬がエキサイトして折り合い面で苦労した感じ。後に落ち着きを取り戻してスムーズな追走に見えたが、序盤は折り合いの為に内目の馬群の中に入れざるを得なくなったし、それが勝負所から直線への進路取りも影響している。結局は序盤の運びに誤算が乗じたのが大きかった印象。自分の形(スムーズな先行策、あるいは主導権を握る形)を作れなかったのは痛いが、気性面に難があるタイプなので序盤の運びに注文がつくというのであれば、そこまでアテにしやすいタイプでは無いのかもしれない。
【レース後関係者コメント】
(武豊騎手)
「(スタートを)出たらハナを狙っていたけど1歩目が速くなかった。それでも道中の感じは悪くなかった。直線は伸びそうだったがスパッと切れなかった」
エイシンスポッター 7着
【決め手】行き脚つかず後方待機・直線最内抉じ開けて伸びる・位置取り?
【レース後関係者コメント】
(角田大河騎手)
「今回は前回のCBC賞の経験を活かしてゲートを出てから出鞭を使うような感じでしたが、いつも通りのこの馬のポジションでした。逃げ馬が勝っていますし、この馬もいい脚を使っています。前が止まらないのも想定しての競馬でしたが、また改めてですね。ポテンシャルのある馬ですから」
ピクシーナイト 8着
【決め手】発馬後躓き、後方待機・直線大外も伸び負け・序盤の運びに?
【レース後関係者コメント】
(戸崎圭太騎手)
「スタートで少しつまずく感じになったのがね。前の方に行きたかったのですが。(馬体重)プラス10キロも影響があったかもしれません」
ヴァトレニ 9着
【決め手】好発、好位追走・最後1F脚色鈍る・時計面限界?
ビッグシーザー 10着(1人気)
【決め手】好位外目追走も直線伸びきれず・高速馬場、速いラップの対応?
発馬五分からある程度前を伺っていくが、外から切れ込んできた外枠2頭に(テイエムスパーダ、モリノドリーム)鼻先をかすめられる感じなりつつも、好位外目を確保。そのまま道中は好位外目の絶好位で運んで、4角で動き出して直線へ。直線は更に外目へと誘導されつつ、半ばで満を持して追い出しを開始。しかし追い出されてからの伸びで他馬と違いを作れず、最後の1F区間は脚が上がり気味になってジリジリと後退。結局0.7秒差の10着に敗退。
純粋に速い流れからのSP持続力勝負という中で後半要素で見劣った感じ。特に道中は10秒台から11秒台前半で推移する中を好位追走して、後半に向けての余力を残せなかった感は強い。前走の葵Sでもそうだったのが、速いラップが連続する流れでは後半で甘くなる傾向が出ていて、前後半が33秒台になるようなハイレベルな流れになるとかなり甘くなる印象。まぁ高速馬場での速いラップの対応力で見劣る感じになっており、もう少し標準よりの馬場やもう少し前半の流れが緩む形が理想なのかもしれない。出走経験は無いものの理想は1400mという可能性はあると思う。
【レース後関係者コメント】
(幸英明騎手)
「4角までは上手な競馬ができていました。最後もいつも通り来ると思っていましたが、伸び切れなかったです。まだこれからの馬ですし、良くなってくると思います」
モリノドリーム 11着
【決め手】押して好位追走・最後1F他馬に弾かれてバランス崩す不利あり
【レース後関係者コメント】
(鮫島克駿騎手)
「いつも中団から行く馬ですが、明らかに前が止まらない傾向の馬場だったので、スタートが決まるようなら位置を主張しようと思っていました。しっかり勝ち馬についていくぐらいの追走はできましたが、最後は苦しくなってしまいました。平坦コースの方がいいかもしれません」
ブトンドール 12着
【決め手】後方待機・直線伸びきれず、キレ負け?・位置取り後ろ過ぎ
ドルチェモア 13着
【決め手】中団内目追走・直線伸びきれず、ヤメ・後半要素見劣り
ディヴィナシオン 14着
【決め手】出負け、最後方待機・4角~直線入口大外・直線キレ負け
レジェーロ 15着
【決め手】好位追走・直線半ば脚色鈍る・Hペース追走余力ナシ、距離?
【見直しの余地アリ】
モリノドリーム 11着
(押して好位追走から直線粘り切る形も、ゴール前で内から伸びてきた馬(エイシンスポッター・7着)に弾かれてバランスをくず形。この時点ですでに余力が無かった可能性は高いものの、0.8秒差の11着という内容からは少し割引けるかも)