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神戸新聞杯 2023 回顧


【レース展開】

S(スロー)後半型 SP持続・瞬発型 61.2-57.2
12.8-11.4-12.7-12.4-11.9-12.6-12.5-12.0-11.6-10.7-10.9-12.0

緩い流れからの後半SP持続力勝負で、4角から直線で10秒台の加速を2ハロン連続となる。後半5Fが57.2秒、後半4Fが45.2秒とかなり後半要素を強めに問われる形になった。スローなので前半の位置取りが重要だったと思うが、それでも直線の直線の加速とSP持続力を高いレベルで要求されたレース。

サトノグランツ 1着

【決め手】最後1F前詰まるもG前で差し切る・後半要素で他馬と違い見せ

発馬五分から中団前目のインを追走も、道中は少し下げて中団やや後方の内目で進める。3角から内を衝いてジワッと押し上げの態勢に入り、3~4角はそのまま内を通して4角で動いて直線は中目を衝く形。直線序盤で中目からグンと伸びを見せて前に迫ったが、半ばで前が壁になって内目に進路変更。内に入ったものの前に居た2着馬(サヴォーナ)がフラフラとして中々進路を得られない感じ。それでも残り100mで再び外へと持ち出して進路を確保するとそこから鋭い伸びを見せて、ゴール前でその2着馬を捉えきっての勝利。

道中は中団で貯める形から直線で鋭い加速を引き出して勝負を決めた形。ただ直線の進路取りで苦労した面はあって、特に半ばから最後1Fにかけて他馬との兼合いがありつつも進路を確保しきれず、本格的に追えず…という苦しい状況にあった。それでも最後100mの坂を上った所で進路確保するとグンと加速。他馬がやや脚色が鈍り気味になっていたのもあって、ゴール前の差し脚は一段と鋭く見えたのが印象的。

まぁ得意の後半SP持続力勝負の展開の中で加速面で他馬との違いを見せた内容。正直10秒台の鋭い脚は使えないと見ていただけにちょっと驚きの内容となった。他馬にそこまで加速型がいなかったという事が要因になるかもしれないが、それでも後半4Fが45.2秒という中で鋭く加速を見せた意味は大きい。しかも何度も言うが直線の進路確保が難しかったという状況だからこの結果と内容を大いに認められていいと思う。

【レース後関係者コメント】
(川田将雅騎手)

「よく届いてくれました。返し馬で非常にいい雰囲気で成長を感じることができる返し馬ができたので、そこから競馬をどうしていこうかというところで、こういう競馬を組み立てました。表に出せるほど極端に変化したわけではないですが、乗ってる感触としてはいい雰囲気で、いい成長を遂げたなというところでした。前を追いかけながらなんとかついていけるように、我慢したというよりついて行くのに必死でした。これだけ馬場も速いなか、一生懸命走り続けてなんとか追いついた。これだけ全体時計が速いなか、そういう競馬は得意ではないはずですが、勝ち切れたのは春からの成長分だと思います。一戦ごとに背中はよくなってきてますし、夏を越してよくなる中でこういう勝ち方もできましたので。まだまだこれからも成長していってくれる馬。順調にここまで来られてますので、このあとも無事に本番を迎えることができればという思いです」

(友道康夫調教師)
「最後の100メートルぐらいで駄目かな、と思いましたが、最後の2完歩ぐらいでまたほえてました(笑)。(馬体重は)プラス2キロでそこまで変わっていませんでしたが、中身はだいぶ良くなっていましたし、調教も良かったですからね。きょうも地下道を歩いているとき、常歩から成長を感じていました。前半が1分ちょっとで、上がりも速い中ですからね。進化していると思います。(菊花賞は)父(サトノダイヤモンド)と一緒になれば。距離は見ての通りおっとりしているので問題ないと思います。在厩で調整していきます」

サヴォーナ 2着

【決め手】直線伸びきるもG前で勝ち馬に屈す・レコード同タイムの2着

発馬五分も二の足が効いて好位追走の形。道中は好位内目で流れに乗る形から3~4角をそのまま内々を回して、4角で動き出して直線も内目へ。直線序盤で内目から伸びを見せて半ば付近で単独2番手浮上。最後1Fも内目からしぶとく伸びて、ゴール前数十メートルで逃げ粘る3着馬(ファントムシーフ)を捉えて先頭に立ったが、ゴール直前で外から来た勝ち馬(サトノグランツ)に差されてアタマ差の2着まで。

好位内々で流れに乗って直線でひと脚を使う形。他馬と比較しても位置取り、コース取りが噛み合っている部類に入るので過大評価は避けたいところだが、それでも後半の3F目と2F目で10秒台の加速を連発する流れに対応してきたし、その中でレコードと同タイムのアタマ差2着は評価できる。春先と比較して前半要素に改善されつつあるように見えるのは良いと思う。本番菊花賞でも立ち回りが噛み合えば…という感じになると思うが、末脚の確実性と、相手なりに走れる所は武器になると思う。

【レース後関係者コメント】
(池添謙一騎手)

「もともとスタートがあまり速くないなか、二の脚で好位のいいポジションを取れました。凄くいいところでしたし、流れも良かったので、ばっちりと思って追い出しました。勝ったと思いましたが、あと一歩のところで交わされてしまいましたね。体はしっかりしてきましたが、まだ緩さがあり、これから成長していってくれそうです。クラシックを走っていた馬と対等に走れましたし、今後が楽しみです」

(中竹和也調教師)
「もともと使って本番へと思っていたし、距離が延びるのもいいと思う」

ファントムシーフ 3着

【決め手】G前で後続に差されるも・一転して先行策で持ち味出し切る形

好発と二の足を効かしてスッと前に行って楽に主導権を握る形。そのままレースを引っ張る形で前半61.2秒の流れを作り出し、3角過ぎでジワッとペースを引き上げて直線入口でムチが飛んで直線へ。直線序盤から半ばで加速を見せて後続を突き放して最後1F区間を迎えたものの、最後の坂を上ってから後続に喰いつかれる感じ。それでもしぶとく粘って後続を振り切ろうとしたが、ゴール前数十メートルで2着馬(サヴォーナ)に交わされ、ゴール直線では勝ち馬(サトノグランツ)に交わされたものの、4着以下の追撃を辛うじて凌ぎ切って3着を確保。

一転して逃げる形を取って直線しぶとく粘り切る形。まぁ先行策に転じたのはこの馬の特性面の上からも使える脚が短くて、高い後半要素の勝負になると厳しいと見たからであろう。そこである程度前で運んで後続を待ち構える形を取ろうという判断だと思うが、直線序盤から半ばで10秒台の加速を引き出しつつあわや逃げ切りの態勢にまで持ち込めたのだから評価されていいと思う。

出負けの要素が影を潜めつつあるし元々二の足も効くタイプだから、この脚質転換は良い判断だと思える。本番の菊花賞でも出負けをしないという保証は無いし、ここまで楽に主導権を握れるかどうかも怪しい所ではある。それでも後半SP持続力勝負の中で10秒台の加速を2ラップ連続で引き出しているし、立ち回りが嚙み合えば…という風に思わせる内容は見せたと思う。道中の流れにもよるが前目で運んで、仕掛けが遅れるような展開であれば浮上の余地が合っていいかも。

【レース後関係者コメント】
(武豊騎手)

「やりたいレースはできたね。ただ、この馬にとって今の馬場は硬過ぎる感じがしたね」
(西村真幸調教師)
「(逃げは)作戦通りだったし課題のゲートを決めたのは大きな収穫です。馬体増(前走比12キロ)は成長分で、次の菊花賞はもっと良くなると思うので楽しみ」

ロードデルレイ 4着

【決め手】直線伸びるも最後1F脚鈍る・距離?時計限界?持続力見劣り?

発馬五分から中団中目で運ぶ形も、前半は若干ではあるが掛かり気味での追走。3~4角は中団中目を通して4角でジワッと仕掛けの態勢に入って直線入口で外目に誘導。直線序盤ではまだ余裕の手応えで半ばで満を持して追い出しを開始。追われてから若干エンジンの掛かりが遅めに見えたが、最後1F手前からグンと加速して一気に2.3番手の一角まで押し上げてきたが、最後100mから伸び脚が鈍る感じになって前を捉えきれず。ゴール前では内から鋭い脚で抜け出してきた勝ち馬(サトノグランツ)にアッサリと交わされ、ゴール前も3着争いを演じたものの結果は4着まで。

道中若干ではあるが掛かり気味の追走だったが、それが影響したかどうかは定かでは無いが最後の1Fで伸びを欠いた感じがある内容。直線の加速そのものは対応できたと思うが、後半4Fが45.2秒という速い時計の中でちょっと苦労したのかもしれない。また違った見方をすれば直線は10秒台を連発するラップの中で、持続力という面で見劣ったという見方も出来なくもないし、根本的に距離が長かったという見方もできると思う。まぁ敗因としては結構多く挙がってしまうので、ここはちょっと若干力負けという感じになってしまうかもしれない。ただレコードタイムから0.1秒差だし、上位馬に対して大きく負けた訳では無いので能力的にはそこまで大差が無いものと思われる。

【レース後関係者コメント】
(坂井瑠星騎手)

「休み明けの前回よりは上積みを感じました。1コーナーから2コーナーで少し力むところがありましたが、向正面で落ち着いて、直線ではスムーズに外に出せました。一瞬、差し切る雰囲気がありましたが、さすがに上位は強かったです。ベストはもう少し短いところでもいいのかもしれません。これからの成長が楽しみな馬です」

ハーツコンチェルト 5着

【決め手】終始外回って直線伸びきれず・直線キレ負けも0.1秒差5着なら

若干出負け気味から序盤は中団後方の外目を追走。道中はガッチリと抑え込まれつつ中団外目で流れに乗って、3~4角は外を回ってジワッと押し上げ態勢に入って、4角で大外から動いていって直線へ。直線は大外から追われるも序盤かな半ばの脚色で他馬との違いを作れずに終始ジリジリとした伸び脚。それでも最後1Fで前の馬が苦しくなったところを大外から差を詰めたが、内目から抜け出してきた馬を捉えきれず。ゴール前は3着争いに加わったものの結果は5着に終わる。

大外枠もあって終始外々を回る形。直線も序盤から半ばで加速面で他馬との違いを作り切れず…という事で単純にスローの後半勝負の中でキレ負けしたと見ていいだろう。まぁ内枠だったら…というタラレバも通用するかもしれないが、勝ち馬(サトノグランツ)との比較で見ると直線での追い出しのスムーズさで有利だったはずであり、内外のコース取りと言うよりも特性面の差が大きく出たと思う。

それでも終始大外を回る形でありながらも、最後は前の馬に迫ったという点は好材料。スローの極端な後半勝負の形、レコードタイムが記録される様な形の中で0.1秒差の5着は悪くは無いはず。距離が伸びて良さそうな雰囲気は見せたし、本番の菊花賞になればここまで極端なスローの後半勝負にはならないと思われ、条件そのものは好転する可能性はあると見る。

【レース後関係者コメント】
(松山弘平騎手)

「大外ですぐスタートでしたし、ゲートをすんなり出てくれました。枠も良かったですね。そのおかげで中団でいい形で流れに乗れ、脚もしっかりとたまっていました。ですが、直線で思った以上に脚を使えませんでしたね。もっとやれていいと思うのですが…」

スマートファントム 6着

【決め手】出負け、最後方待機・4角~直線最内衝く・直線伸びきれず?
【レース後関係者コメント】
(岩田望来騎手)

「まだゲートを上手に出ることができず、なかなかレースに参加できないところがあります。それでも、上がりの速い競馬で差してくることができました。この距離がベストではないかと思います。もっとゲートを出て、トモの張りが良くなってくれば、本格化して一線級とやれると思います」

ショウナンバシット 7着

【決め手】後方待機、4角~直線内を衝く・最後1F脚色鈍る・持続性?
【レース後関係者コメント】
(M.デムーロ騎手)

「よく頑張りましたが、馬場を考えると展開が遅かったです。ジリジリ伸びましたが、よーいドンになりすぎました」

マイネルラウレア 8着

【決め手】3~4角置かれ気味・直線伸びきれず・コーナーの対応に?

サスツルギ 9着

【決め手】出負け、二の足遅く後方待機・直線伸びず・右回りの対応に?
【レース後関係者コメント】
(北村宏司騎手)

「スタートから流れに乗せたかったのですが、うまく乗っていけませんでした。後方から向正面で押し上げて直線に向きましたが、ラストは脚が鈍った感じで、差を詰め切れませんでした」

シーズンリッチ 10着

【決め手】道中掛かり気味・直線半ばで脚止まる・速いラップの対応に?
【レース後関係者コメント】
(角田大河騎手)

「ペースが落ち着いて瞬発力勝負になり、この馬のスタミナを最大限生かすのが難しかったです」

ナイトインロンドン 11着

【決め手】好位外目追走・直線半ばで脚色鈍る・速いラップの対応に?
【レース後関係者コメント】
(和田竜二騎手)

「とにかく具合は良く自分の競馬はできました。気が入り過ぎていたこともあったかもしれません。遊びが逆に無い感じです。この馬場ですから早目に動かさなくてはいけませんからね。先に(こちらが)止まったのはショックでした。課題が出たように感じます。まだまだ先のある馬ですからね」

バールデュヴァン 12着

【決め手】中団後方追走・4角で動くも直線伸びず・距離長い?

ビキニボーイ 13着

【決め手】中団外目追走・直線半ば余力ナシ・芝のスピード面対応出来ず
【レース後関係者コメント】
(松若風馬騎手)

「行き脚はつきませんでしたが、反応はしてくれていて、いっぱいいっぱい走ってくれています。今後の成長に期待したいと思います」

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