富士Ｓ　2023　回顧

【レース展開】

Ｍ（ミドル）平均型　SP持続型　45.2-46.2　
12.0-10.8-11.2-11.2-11.5-11.4-11.7-11.6

ほぼハイペースに近いペースでのＳＰ持続力勝負の展開。前半が45.2秒なので前々で運んだ馬は厳しい形になったし、後方で脚を貯めた馬が総じて上位に来た印象。

ナミュール　1着

【決め手】直線で加速の違いで勝負を決める・Ｍペース適性の高さ見せる

発馬五分からあまり行き脚がつかない感じで中団後方の中目の位置取り。それでも3角手前から内目からジワッと押し上げの態勢に入って、3～4角はそのまま内々を回って直線入口で中目に誘導されて直線へ。直線は序盤から追われて伸びを見せるも半ばで少し窮屈になるシーンあり。しかしその狭い所を抜け出して伸びると坂を上り切ったところで先頭に躍り出るると、最後１Ｆも更にひと伸びを見せて押し切り態勢。最後は2着馬に詰め寄られるも、ゴール前では逆に突き放す感じを見せて1馬身1/4の差をつける快勝。

後方で貯める形から直線で加速の違い引き出して勝負を決めた感じ。スローの流れからの極端な加速勝負ではなく、自身が得意とする流れる展開の中で後半要素を生かせる形になったのが幸いしている。まぁ少し手薄なメンバー構成の中では実力最上位だったと思うし、終わってみればだがちょっとここでは力が違った印象を受ける。別定戦ながら55キロという斤量もある程度味方したかもしれないが、ある程度流れる展開だったので時計も速くて1.31.4と優秀だし、レース運びそのものには文句のつけようが無い内容だった。

【レース関係者コメント】
（J.モレイラ騎手）
「ＶＴＲを見てそこまで瞬発力があるような馬だとは思わなかったけど、スペースができてからは素晴らしい瞬発力で、強い馬の勝ち方をしてくれました。前半がまずまずペースが流れて、後半はスローダウンするところがあったけど、そのときもスッと反応してくれました。最後に後ろから差してきたけど、余裕があったし、差されない自信がありました。きょうのレースを見ると、もっと大きいレースを勝っても全く驚かないポテンシャルがあると思います。（今年２度目の短期免許）初日から重賞を勝つことができてうれしい。ビッグスマイルできょうは帰ることができます」

（高野友和調教師）
「良い状態だと、こういうパフォーマンスのできる馬です。持っている能力は高く、マイルから２４００ｍまで距離のレンジも広いです。色々な選択肢があると思うので、今後についてはクラブとも相談していきたいと思います。ぜひとも勲章をつけてあげたいですね」

レッドモンレーヴ　2着

【決め手】直線勝負も最後１Ｆで脚色鈍る・斤量？距離？末脚持続力に？

発馬五分から序盤は控える構えを見せて後方からの競馬。道中は縦長の展開になった中で後方2.3番手でレースを進めて、4角過ぎからジワッと押し上げの態勢に入って直線入口から直線序盤で大外へと誘導。直線序盤はまだ追い出しを我慢する感じで馬なりでジリっと伸びを見せると、坂の上りでゴーサイン。半ば以降で大外から鋭い伸びを見せて一気に2.3番手付近まで浮上してくるが、最後100ｍ少し脚が止まった感じで、中目から抜け出した勝ち馬を捉えきれずの2着まで。

後方待機で直線勝負に徹するような感じの競馬。直線もギリギリまで追い出しを待つ感じで脚の使い処を図ったような感じだったが、案の定と言うか最後100ｍで少し脚色が鈍った感じに見えた。まぁある程度流れる展開の中で一定以上の加速を引き出したのは評価されていいが、最後は伸びきれなかったあたりをどう見るかがポイントになる。単純に末脚の持続力で見劣ったのか、はたまた距離面（1400ｍベスト？）なのか。または他馬よりも1キロ重い58キロの斤量が微妙に影響した可能性や、時計面で少し限界を迎えたという可能性もある。しかしある程度自分の競馬に徹して出し切れた形で勝ち馬（ナミュール）相手に0.2秒差は決して悪くない内容。ただ全体のメンバー構成そのもので計ると、ここでの2着はそこまで評価しにくい…というのが正直な感想。

【レース関係者コメント】
（横山和生騎手）
「休み明けっぽさを残したなかで、頑張ってくれたと思います」

ソーヴァリアント　3着

【決め手】中団追走から最後１Ｆバテ差しで浮上・上位馬とは差のある内容

発馬五分から中団中目の位置を追走。道中は中団でシッカリと流れに乗って3～4角は中目を回って、4角で動いて行って直線入口で大外へと誘導。直線は序盤で軽く仕掛けられて、半ばで本格的に追い出しを開始。外から伸びを見せるも、他馬との明確な違いを作れずに伸び脚はジリジリとしもので少し伸びあぐねる感じ。それでも最後１Ｆ区間で内目の先行馬がタレた所を外からしぶとく伸びる形を見せ、バテ差しの様な感じでゴール前で3着に浮上した。

中団やや後方で構えて直線は外からしぶとく伸びきるという形で3着。着差は勝ち馬（ナミュール）から0.6秒差、2着馬（レッドモンレーヴ）から0.4秒差と離されているし、内容的にはバテ差しの様な感じなので高い評価はしにくい所。それでもＳＰ持続力を最大限に生かせる形でマズマズの良さを見せたし、マイルという距離でハイペースよりの流れに対応して来た事は評価できる。成績だけを見ればこれで2戦連続3着で復調気配を見せたと言えるのだが、内容的には2戦続けて上位と大差のついた形。現状ではまだ信頼するには勇気がいると思うし、もう一戦様子を見たい…というのが正直な感想。

【レース関係者コメント】
（池添謙一騎手）
「ゲートは普通に出てくれたが、その後、ペースが流れてイメージより後ろになってしまった。切れる馬にやられたが、しぶとく脚を使って頑張ってくれた。初めてのマイル重賞で戸惑いもあったと思うが、この経験が次に生きれば」

イルーシヴパンサー　4着

【決め手】中団前目追走も直線伸びあぐねた感・流れ乗って末脚削がれる？

発馬五分から中団前目の位置取り。道中は中団外目で流れに乗って4角で外からジワッと動き出して直線入口は外目へ。直線は序盤で軽く仕掛けられてスッと反応を見せて外から2番手付近まで押し上げるてくる。しかし半ばで追い出されると若干モタついた感じを見せて、内と外から他馬に抜かれてしまう。しかし最後１Ｆに入って突如盛り返すように中目からジリっと伸びを見せたものの、外から来た後続差し馬の伸び脚には見劣ってしまい、最終的に4着確保が精一杯。

ある程度前目の位置で流れに乗れたこと自体は良かったが、直線に入ってからの反応と加速で見劣る形。まぁハイペースよりの流れを比較的前目で流れに乗ってしまった事で末脚が削がれた感は強い。ただ今回は直線で追われてからの反応が鈍くかなりモタついたものの、最後１Ｆでしぶとく伸びを見せるなど、ここ数戦の内容からも以前のように鋭く加速を引き出せる感じでは無くなっている感が強い。ただその分だけ持続力が増している感じもあって、ちょっと馬の特性面が変わりつつある印象。ただ得意の左回りのマイルという条件に加えてこのメンバー構成で0.7秒差の4着は非常に残念な結果。まぁ今回は時計面で限界だったという可能性もあるのだが、買える条件そのものはかなり限定的な馬になってしまったと思う。

【レース関係者コメント】
（岩田望来騎手）
「いつもと違う競馬で踏ん張ってくれました。年を重ねて切れが見られなくなっているので、この競馬が次につながればと思います」

マテンロウオリオン　5着

【決め手】勝負所から終始包まれ気味だが・Ｇ前でバテ差しで掲示板確保

発馬五分から中団内目を追走。道中は中団内目～中目で流れに乗って、3～4角はそのまま中団馬群の中で少し身動きできないような状態で直線へ。直線は半ばまで前が開かない状態でジッと我慢。半ばで明確な進路がないまま馬群の中で追い出しを開始し、最後１Ｆで進路を得るも伸び脚そのものはジリジリ。それでも内目からしぶとく伸びてゴール前で何とか5着に浮上したが、上位馬とは0.8秒もの差がついて完敗の内容。

中団内目で立ち回ったのは良いが勝負所から終始包まれ気味だったのは多少なりとも影響していると思う。直線半ば前が開かない状態の中で追い出しの態勢に入っていて、窮屈な感じだったとは思うが、それでも最後１Ｆで進路を得てから加速で明確な違いも作れず終始ジリ脚だったことからも、真面な進路があってもキレ負けした感は強いと思う。最後も5着に浮上と言っても先行馬がタレた所をバテ差しの感があったので、5着と言っても中々評価しにくい内容と言える。

【レース関係者コメント】
（田辺裕信騎手）
「最近はゲートに不安があると聞いていて、気持ちが入らないところがあるようでしたが、今日は初めてチークピーシーズを着けていて、調教で騎乗した横山典弘騎手からも『反応が良かった』と聞いていました。３歳時はひと脚で走るところがありましたが、４歳になって走り方が変わったのか、反応できなくなっているので、速い時計の勝負よりは違う形の方が良いのかもしれません」

エターナルタイム　6着（2人気）

【決め手】前目で流れに乗って後半要素削がれる・Ｈペース寄りの流れに？

好発も序盤は少し控える感じを見せて好位～中団前目の位置を追走。道中は終始好位集団の後方で進めて、3～4角は中目を通して直線入口に少し外に持ち出して直線へ。直線序盤は持ったままで外から押し上げて2番手付近まで浮上すると、半ばで満を持しての追い出されるとスッと反応を見せて早々と先頭に躍り出る形。しかし最後の１Ｆ区間に入ってから伸びを欠くと、次々と外から来た馬に交わされて最終的に掲示板も確保しきれずに6着敗退。

道中は結構いい位置にいたように思えたが、最後１Ｆ区間で失速したようにハイペースよりの流れを前目で流れに乗った事で消耗した感は強く、本来の後半要素を引き出せなかった感は強い。まぁこの展開でも後半の時計を要する形ならまだ粘り切れたかもしれないが、やはり重賞レースで高いレベルでの話となるとそう簡単な話ではない感じ。もう少し前半のペースが落ち着く形で見直しを図りたいが、この馬自身としては平均以上で流れる形ではそこまで強みを引き出せるタイプではないのであろう。

【レース関係者コメント】
（C.ルメール騎手）
「今日は休み明けでの１６００メートルで最後は疲れてしまいました。でも、重賞レベルの馬ですよ」

ステラヴェローチェ　7着

【決め手】好発、好位追走・最後１Ｆ脚色鈍る・一瞬見せ場も距離不足？
【レース関係者コメント】
（M.デムーロ騎手）
「外枠（８枠１２番）もあって馬がすごく一生懸命に走り、リラックスしていなかった。直線を向いてフワーッとして脚がジリジリになったけど、一回使ったら変わってくると思う」

タイムトゥヘヴン　8着

【決め手】出負け、後方待機・直線伸びきれず・後半要素で見劣り
【レース関係者コメント】
（大野拓弥騎手）
「間隔を空けてフレッシュな感じだったし、勝ち馬を見ながら直線半ばまで手応えも良かった。最後は休み明けと、時計の速いレースで甘くなったが、久々にこの馬らしい覇気が感じられました」

ユニコーンライオン　9着

【決め手】好発、好位追走・直線半ばで一杯・前半の流れで消耗
【レース関係者コメント】
（坂井瑠星騎手）
「いつもとペースが違うので、なかなか脚がたまらなかったですが、最後まで諦めず頑張ってくれました」

ジャスティンスカイ　10着

【決め手】中団中目追走・最後１Ｆ脚色鈍る・後半要素で見劣り
【レース関係者コメント】
（戸崎圭太騎手）
「位置取りはイメージ通りでうまくいったと思ったが、最後は止まってしまいました。本来の走りができていない感じがします」

ダノンタッチダウン　11着

【決め手】好発、主導権握る・最後１Ｆ失速、ヤメ・後半余力ナシ、時計限界？
【レース関係者コメント】
（安田隆行調教師）
「カーッとしてしまいました。仕方ないですね。これがいいガス抜きになってくれれば」

キラーアビリティ　12着

【決め手】出負け、最後方待機・直線後方侭で終わる・距離不足、時計限界