「お空さんも悲しいことがあったんだね」 娘のリウが降り始めた雪を見上げてつぶやいた。 どうしてそう思う?と尋ねると「リウね、お母さんが死んで悲しかったとき、ハサミでお手紙をたくさんチョキチョキしたの」 「そうか…」言って私も空を見上げた。 バラバラになった手紙が飽かず降り続けた。
あの土地に育った木を伐るたび中から巨大なカイコガのような真っ白い蛾が何匹も飛び出してくるんだ。そうなると銀色がかったリン粉でもう前が見えないほどだった。あるとき蛾が現れずに安心していたら、その時はお腹のやたら太い幼虫がぼろぼろと溢れてきて……いや、本当に恐ろしいのはその後だった。