静けさがもどる夜。窓の向こうの雨の音を聴く。閉じていたものが開き、乾いていたものに雫が落ちる。白く灯る花を咲かせる人の物語を夢に見る。木の風鈴を連ねる人のひたむきさを想像する。滞っていたものが流れ出し、新鮮な冷たさに満たされる。その中のあたたかさ。溶けない氷を抱いて波の上を歩く。