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65年生まれ、ハシ・ノコ
月に一回日曜日に開催される〝徳島でみえない映画を観る会〟4月の映画は「82年生まれ、キムジヨン」だった。
キムジヨンは1982年に生まれ育ち、大人になり仕事、結婚、出産、子育てにおいてずっと女の役割を押し付けられ、自分を抑圧しながら生きてきた。そして次第にその重圧に押し潰されそうになっていた。
私も女として生まれ育てられ学校に通い仕事をしながら結婚子育てをしてきた。私の父は昔気質の人間だが、意外と娘に女らしさやいわゆる女の仕事と呼ばれることを求めない人だった。
また鈍感で気が強く喋りで全てを発散するタイプの私はキムジヨンのように心を病むことは無かった。職場環境や人にも非常に恵まれていたことにも感謝している。
しかし今もキムジヨンのように傷つき疲れ果てている人達はたくさんいるんだろう。
女である私も日常生活で話している言葉で知らず知らずのうちに他人を深く傷つけたりしているのだろう。本作を観ながらも色々自分の無神経な発言を思い出し反省した。
キムジヨンの実の母が娘の傷ついた心を知った時の表情が凄まじかった。自分自身が女として我慢して生きてきた過去の辛い思い出と心を病んだ娘を思う気持ちが入り混じった母親の表情を見て涙が止まらなかった。
日常生活や職場での何気ない会話の中に存在する残酷な言葉を見逃さないように…
そして自らの偏見や差別意識を見逃さないように…