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兄と彼岸花
私が小学5年生の頃、週末下宿していた兄が帰省した。兄が散歩に行こうと誘ってきた。兄は自然の中を歩くのが大好きで暇があれば散歩していた。
一緒に散歩に出かけようとすると兄が「僕がいいと言うまで目を開けるなよ」と言った。私は目を閉じたまま兄に手を引かれて歩いた。結構長い距離を目を閉じたまま歩いた。やっと兄が「目を開けていいぞ」と言った。
目を開けると目の前に真っ赤な彼岸花が道に沿っていっぱい咲いていた。「うわー凄いなあ。綺麗やなあ」と言ったら兄は満足そうににっこり笑った。
もちろん一面に咲く彼岸花はすごく美しかったが、一番嬉しかったのは妹を感動させたいと思った兄の暖かい気持ちだった。毎年彼岸花が咲く頃になると思い出して気持ちがほっこりする。