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山登りのお楽しみ

山深い村で育った。小学生の頃は友達と山に登り、木の枝を使ったチャンバラごっこ、大木を陣地にした陣取り合戦でよく遊んだ。
春になると両親や兄、姉と一緒に山に登りワラビ、蕗、ゼンマイ、蕗のとうを収穫し、家の食材にしていた。ワラビを一生懸命とりすぎて夜目をつむって寝ようとするとワラビの残像が目の前から消えないこともあった。
山遊びで一番楽しかったのは、家族でお弁当を持ってハイキングすることだった。山の頂上に登ると、母が作ってくれたお弁当を食べた。お弁当のメインは焼きおむすび。焼きおむすびの中にはいつも母お手製の梅干しが入っていた。おむすびの表面に白ごまをまぶし鉄のフライパンで焼き目を入れ、白ごまが黒ごまになった。それぞれが持っている水筒の番茶を飲みながら、母の焼きおむすびをほおばるのは最高の幸せだった。
今度帰省したら母に焼きおむすびをおねだりしてみよう。


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