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浜田省吾の〝花火〟が何故こんなに好きなのか?

大学生の頃カラオケに行くと男達は浜田省吾をよく歌った。片想いをしている男は「もうひとつの土曜日」を歌い、片思いしている女は「片思い」を歌う。誰かが「路地裏の少年」を歌い始めるとまわりの男達が口ずさみ始め最後は大合唱になる。

私はずっとブルーハーツが大好きだった。サングラスをかけマッチョにギターを弾きながら熱く歌う浜田省吾は苦手だった。

ある日の深夜、中島みゆきのオールナイトニッポンを聴いていた。その日突然現れたゲストは浜田省吾だった。中島みゆきはいつものように軽くふざけたトークで浜田省吾をいじったり質問したりしていた。私は浜田省吾か!またカッコつけて話するんだろうな…と期待なくラジオに耳を傾けていた。浜田省吾は静かに誠実に柔らかく中島みゆきの質問に答えていた。私はその夜から浜田省吾が好きになった。今までカラオケで浜田省吾の歌を聞くのが苦痛だったが、その夜を境に喜びになった。

その後私は浜田省吾が大好きな男と結婚した。夫の車で流れる音楽は90%浜田省吾だ。子どもが産まれてもずっと浜田省吾だ。そして結婚30年が経とうとしている今も浜田省吾だ。

浜田省吾の歌の中で私の一番好きな歌は「花火」だ。男がある日妻と娘と息子を家に残し家を出る。〝すぐに帰るつもりで車を車庫から出してアクセル踏み込んだ〟という歌詞…彼は二度と妻や子ども達のもとには帰らない。歌の最後は新しく出会った女と一緒に夜空に上がる花火を眺めるシーンで終わる。

自分に正直に生きる浜田省吾の姿を重ねてしまう大好きな歌〝花火〟のラストシーンだ。是非聴いてほしい名曲だ。


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