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小学生の頃、菊を育てた思い出

私が通っていた小学校では全員が毎年菊を育てていた。皆それぞれが自分で準備した土を学校に持ってきた。先生から鉢と菊の苗を貰う。鉢に自分が持ってきた土を入れ苗を植えた。そして自分の名札を土に立てた。植えた時はまだ自分の菊が何色か分からない。皆毎日水をやって自分の菊を育て秋になると立派に育ち美しい花をつけた菊を家族に見せる。そして様々な賞が菊に与えられる。私はいつも我が家の畑の土に菊を植えた。土が良かったのか世話が良かったのか分からないが毎年私の菊は立派に育った。一番良い賞は取れなかったが毎年入賞できる位の美しく立派な菊が育った。

小学5年の時もいつものように私の菊はすくすく育っていた。しかしある日の朝たくましく育っていた3本の菊のうち2本の菊が根元から切られていた。まだ生々しく切られた跡が悲しかった。しかしまだ1本だけ菊は残っていた。その後残った1本の菊の世話をした。花の蕾がつきだんだんと蕾が膨らんできた。咲いた菊の花は黄色だった。今まで私が育てた菊の中で一番立派な美しい花だった。いつもなら土の栄養が3つの花に分散するが、今年は生き延びた1つの花に栄養が集中したから、こんなに立派に美しく育ったのかもしれないと思った。

もちろん私の1本しかない菊は何も賞を貰えなかった。しかし私の1本の菊を母が綺麗やなあと褒めてくれた。それだけで十分だったし凄く誇らしく幸せな気持ちになった。

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