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腕時計と祖母の笑顔
40年くらい前、高校に合格したお祝いに祖母が腕時計を買ってくれた。
祖父は私が中学2年の時亡くなり、祖母は西と呼ばれる家で暮らしていた。ご飯の時はいつも私が「おばあちゃん、ご飯出来たよ」と呼びに行っていた。
自分の腕時計を持つのは初めてだったので凄く嬉しかった。腕時計を売る人が祖母が住む西にやって来た。私はたくさん並んだキラキラ光る腕時計を前にウキウキしていた。色々迷った末に私は銀色の腕時計を選んだ。16,000円位だった記憶がある。私にとっては超高級品だった。左手首に銀色の腕時計をつけて高校に通った。
結婚後もずっと祖母が買ってくれた腕時計を使っていたがある日ついに動かなくなってしまった。
そして時計屋さんに行き自分にとって2代目の腕時計を自分のお金で買った。形は違うが2代目の腕時計も銀色を選んだ。
銀色の腕時計を見ると笑顔の祖母を時々思い出す。一点の曇りもない豪快な祖母の笑顔が懐かしい。