今中国で大人気の「耽美剧(BL系ドラマ)」市場について
皆さんこんにちは。エンジョイジャパンの橋本です。先日、BL小説の《天涯客(テンヤーカァー)》を原作にしたドラマ・《山河令(シャンハーリン)》が中国の動画サイト「优酷(Youku)」で放送されました。このドラマは、放送開始から最終話まで「豆瓣(映画・ドラマの口コミサイト)」の評価が8.6という高得点を維持し続けました。
そして、微博では《山河令》に関する話題は、104億回の視聴回数を記録し、「超话(スーパー話題)」で1位になりました。
ここ2年間で、《镇魂(ジェンホン)》や《陈情令(チェンチンリン)》など《山河令》に似たようなBLをコンセプトにしたドラマが高い人気を集めていました。《山河令》がさらにブームに火をつけた、というイメージです。
とあるメディアの統計データによると、2021年にすでに放送された作品、これから放送予定の作品、まだ撮影開始したばかりの作品など、「耽美剧」の作品を合計すると、59作にも上り、2021年は「耽改101元年(BL系ドラマの元年)」と呼ばれるようになっています。
「耽美剧」が人気になった理由
“耽美”というワードは元々日本が発祥でした。中国に耽美の文化が渡ってから少しずつ同性間のラブストーリーが描かれるようになっていましたが、映画やドラマにおいて、中国は表現規制が厳しいため「耽美剧」は同性愛を描く物語ではなく、仲の良い同性の友達のようにライトに表現をされるようになりました。そして、これらの作品は「耽美剧」がメインテーマではなく、武道、ファンタジー、サスペンスなど、全体を通してのテーマがあるのが一般的です。
また、中国人たちがBL文化において、一番最初に影響を受けた日本のBL漫画は《絶愛》です。中国のBLファンたちは徐々に独自のコミュニティを形成し、BL小説を書く人が増えたことで、2016年にはBL小説が6万作品にまで増えたそうです。
BLファンが増えるにつれて、「耽美文化(BL文化)」は文字表現に止まらず、最近の人気の映画やドラマまで「耽美文化」に染まりつつあります。そして、現在、「磕CP(カップルを見る)」というワードがネット上で流行っています。例えば最近話題のアイドルオーディションを例にすると、ファンたちは仲がいい参加者(男性)2人をカップルとして応援し、彼らが仲良くしているところが見たいというファンが数多くいます。この「磕CP」というワードが流行った結果、「耽美剧」も人気になった要因の一つと言われています。
女性消費者がメインになっている
とあるデータによると、現在では「晋江文学城(小説を書いて投稿するプラットフォーム)」にある既存の2,500件の小説著作権取引記録の中で、1,277件が映画やドラマの映像化による取引で、その中で、BL小説は315件あり、全体の25%を占めていました。
過去2年間で女性の視聴者は、ドラマの視聴者全体の59%を占め、BL文化を好む女性視聴者の割合も年々増加傾向にあります。近年、「她经济(女性がお金をつかうこと)」が成長してきたことで、女性たちはオンラインショッピングのコアユーザーになっただけではなく、エンターテイメント業界でもメインターゲットとして扱われるようになってきています。
以上、今中国で大人気の「耽美剧(BL系ドラマ)」市場についてのご紹介でした。今年もBL系のドラマが数多く放送される予定なので、今後皆さんにご紹介していきたいと思います。
メール:hashimoto@enjoy-japan.jp
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