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組織におけるイノベーション・ファシリテーターの重要性と育成についての考察

掛け算型人材の重要性

私は、人間は多くの場合で何かに特化していたほうが成果を出しやすいものと考えている。歴史的に見ても、人間を含む多くの生き物が分業のシステムによって効率を向上し、繁栄を続けてきた。

一方、技術経営の文脈においては、以下のような掛け算型の人材を育てることが重要だと考えている。

  • マーケティングがわかる経営者

  • 技術がわかる経営者

  • 経営がわかる技術者

  • マーケティングがわかる技術者

上記に、『経営がわかるマーケター』、『技術がわかるマーケター』を加えてもいいかも知れない。

当然ながら、全員が掛け算型の人材を目指すべき、ということでは無く、一つの分野に特化したスペシャリストは、どのような時代、組織においても必要とされていくと思う。

掛け算型の人材には、それ自身に高いパフォーマンスが求められるが、加えて、部門間を取り持つ機能が期待される。複数の視点で新たな課題を発見し、知の掛け合わせにより、|これまでに無い価値《イノベーション》を創出するのである。

ここで、組織において『公式に』部門横断の活動を行う役割は、豊富な人脈と実績を持ち、広い視点で物事を考えることのできる、ディレクティブ層(部長級)の人材が担うのが一般的である思う。

しかし、既存の多くの組織において、このような人材の登用は50歳前後となり、育成から活動開始までに時間が掛かりすぎる。
また、組織の構成員のバランスから見て、組織横断的な活動の中心となる人材は、年齢も中間層(30~40代)となることが好ましいと考える。

このため、部門横断の活動を主導するディレクターとは別に、部門間に加えて世代間のコミュニケーションをもサポートする、イノベーション・ファシリテーター(以降、IFと略記)の役割が必要であると考えている。

イノベーション・ファシリテーターの育成

特に大企業において、掛け算型の人材はローテーション人事によって育成されてきた。これにはキャリアアップ以外にも様々な人事戦略上の意図があって行われるものであるが、IFの育成においては、従来のディレクター人材育成より20年近く短いスパンで考える必要がある。

また、育成にあたっては、本人の意向を尊重することが重要であると考える。つまり、IFとはどのような職務であるか理解、納得したうえでIFを目指すキャリアを積むこと、IF候補者がキャリアの途中で打ち込みたい業務に出会ったとき、または、IF候補者以外の人材がキャリアの途中でIFを希望した場合に、最大限サポートできることが必要である。

上記を満たすためには、組織におけるIF人材の定義、スキルマップ、キャリアプランの確立などが必要となってくる。これは組織のアイデンティティに深く根ざした考察、つまり、組織がどのようにして成り立ち、どのような業務によって発展し、現在どのような人材で構成されているか、将来どのような組織となることを目指すのか、を明らかにする作業が必要となり、スキルマップ等を一般化することは難しいであろうと感じる。

ここまで考察し、『イノベーションファシリテーター』というキーワードで軽く検索すると、既に社会的には認知され、ある程度確立されている領域だということがわかった。


サブタイでは、10年どころか3ヶ月でイケるということである。小規模な組織で、目的を共有して一丸となって取り組まないとさすがに厳しいと思うが、気になったので今度読んでみようと思う。

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