【リスキリングの罠】本当に税理士試験じゃないとダメですか?
こんにちは。あおです。
今回の記事は、これから税理士試験にチャレンジをしようと思っている人、すでにチャレンジしている人に向けたものです。
(タイトルには「税理士試験」と記載していますが、すべての資格試験に共通していることだと思いますので、文章中の「税理士試験」と言う単語を置き換えながらTOEICや社労士、行政書士といった他の資格試験にチャレンジしようとしている方もぜひご覧ください)
記事を読みながらぜひ自分に問いかけてみてください。
最後まで読み終わったうえで、「やっぱり税理士試験を勉強したい!」となるのか、「もしかしたらもっと先にやることがあるんじゃないか?」となるのか・・・
「リスキリング」という単語の罠
今やテレビやSNSでもよく聞くようになった「リスキリング」という言葉ですが、簡単に言うと「将来に向けて今のうちから勉強を頑張ろう」ということですね。
もちろん正しいことを言っているとは思うのですが、ここには罠があります。
それは、何でも勉強すればリスキリングになるという勘違いです。
リスキリングの一つの手段として「勉強」があるのであって、「勉強」すればリスキリングになるわけではありません。
どういうことでしょうか?
◆具体例
今の職場(職種は営業)に不満があり転職を考えている人(Aさん)がいるとします。
Aさんは未経験で経理になりたいと考えています。
経理になるために必要なスキルを調べた結果、簿記・Excel・TOEICなどが出てきました。
Aさんは新卒で今の職場に入社しこれまで営業畑で3年ほど経験を積みましたが、Excelはある程度できるものの簿記はさっぱりわからず英語も苦手です。
そこでAさんは「いつかは英語の苦手意識をなくしたい」という思いがあったので、転職活動に向けてTOEICの勉強に専念することを決意しました。
ここまでお読みになった皆さんはこう思ったと思います。
「なぜ簿記の勉強を先にやらない?」
これが「勉強」すればリスキリングになるわけではないということです。
もちろん、TOEICの勉強をすること自体は決して悪いことではありません。
しかし、Aさんの将来の理想像から逆算したときに真っ先にやるべきはTOEICではなく、簿記の勉強ということは皆さんにもご理解いただけたと思います。
つまり大事なのは、目的から逆算して適切な勉強をするということです。
闇雲に勉強していては時間がいくらあっても足りませんし、目的地まで遠回りになってしまいますからね。
"want"と"can"2つの軸で税理士試験である必要を考える
"want"の分析
上の具体例でAさんはなぜTOEICの勉強を真っ先に始めてしまったのでしょうか?
それは"want"の分析ができていなかったからです。
"want"の分析は「なぜその勉強をする必要があるのか」を明確にするものです。
この記事を読んでいただいているということは、皆さんは税理士試験に興味がある、あるいはすでに税理士試験の勉強をしていると思いますが、数ある資格試験の中から税理士試験を選ぼうとしている/選んだのには理由がありますよね?
ここを徹底的に深堀することが1番大事です。
例えば、私が考える限り次のような"want"があると思います。
ほかにもたくさんの"want"があると思いますが、どんな"want"でも構いません。
自分が考えた"want"を徹底的に否定してみてください。
「それってほかでもできるよね?」「そのために自分の貴重な休日を費やすの?」という風にです。
例として、上に挙げた"want"を否定してみます。
このようにできるだけ否定してください。
そしてその否定に対して自分で反論することができるのか考えてみてください。
仮に全部の意見に対して反論することができなかったとしても、自分の中で「やっぱり税理士試験の勉強をするべきだな」となったのなら、"want"の分析は終わりです。
タイトルの問いかけである「本当に税理士試験じゃないとダメですか?」に対して明確な答えを持っていれば、ふとした時に「なんで自分は仕事で疲れているのに勉強をしているんだろう?」となってしまったときに自分を納得させることができます。
"can"の分析
"want"の分析が終わったら次は"can"の分析です。
高校受験や大学受験で志望校を決める時と同じように、自分の学力の現在地と試験日までの残り時間を考慮したうえで「合格する確率がどれくらいあるのか」を考えなければいけません。
そこでまず大きな指標となるのが、合格者の勉強時間です。
まずは資格学校のHPとかで確認するところから始めて問題ないと思います。
資格学校が伝えている勉強時間の確保すら難しそうであれば、この時点でその資格勉強は諦めたほうがいいと思います。
なぜなら、本当に最低限の勉強時間しか記載されていないからです。
税理士試験で言うと、理論の暗記時間が除かれている時点であくまで参考情報というレベルになりますが、それすら確保が難しいのであれば何かほかの勉強で代替できないかを考えたほうが賢明だと思います。
「資格学校が言っている平均勉強時間くらいなら確保できそう」
と思った方は、自分と似た境遇の方の合格体験記や不合格体験記をX(旧Twitter)やnote、ブログで探すことをおすすめします。
ちなみに生の情報を聞けるのは間違いなくXです。
投稿者は金銭的なメリットがないので、話を盛ったり嘘をつく必要がありません。
一方でアフィリエイトが絡んでいそうな記事は要注意です。
「○○時間で合格できました!この資格講座を利用したおかげです!」
という文章の後にリンクがあると、信憑性に欠けると個人的には思っています。
※「PRではありません」と書いてあるなら全く問題ないです。
一番の理想は、①偽りのない勉強時間が記載されていて、②投稿者の職歴や勉強開始時点の学力がなるべく詳細に書かれている記事を見つけることです。
いわゆるロールモデルをみつけることが大事になります。
正直、ここが一番難しいところではありますが、筆者の場合は良質な体験記が書かれた記事や投稿を探すのに大量の時間を割いていました。
試験日までに捻出できそうな時間と学力の現在地を踏まえたうえで「できる(can)」と判断できたのなら、ぜひチャレンジすることをおすすめします。
ここまで明確に分析できれば、試験勉強がつらくて諦めたくなる時にも何が原因か明らかにすることができると思います。
勉強法はあくまでも手段
最後になりますが、勉強法というのはあくまでも手段です。
例えば、大阪に住んでいる人が旅行をしたいと考えています。
行きたい場所を色々並べたうえで東京に行くことになりました("want"の分析)
次に、旅行期間は2泊3日までは確保できることを確認できました("can"の分析)
最後にどの交通手段でいくのかを考えます。(飛行機・新幹線・電車・車など)
ここでやっと勉強法をどうするのかということを考えるわけですよね?
※中には"can"の分析の中で一緒に考える時もあります。
(車だったら時間がかかるからもう少し近場のほうがいいかも。という風に手段が"can"に影響を与えるケースですね。)
「リスキリング」という言葉が流行するように、最近は社会人の勉強への意識が高まっているように感じます。
勉強すること自体はもちろん素晴らしいと思いますし、純粋な趣味なのであればどんな勉強をしてももちろんいいと思います。
(ゲームと同じですからね)
ただし、貴重な休日の時間を使ってまで頑張ろうとするのであれば、なによりもまずは"want"の分析を徹底して行うべきです。
「○○時間あれば合格できる!」という言葉がリスキリングのための勉強のきっかけになるのは非常に危ないと思います。
あなたにとっての○○時間は、もっと自分のやりたい事・楽しめることに使うべきですし、きっと勉強している途中に「なんでこの勉強をしているんだっけ?」となるはずです。
これから先、長い戦いとなる税理士試験の勉強を始めようか悩んでいる方・すでにある程度勉強をしていて「なぜ勉強しているのかよくわからなくなってしまった」という方の参考になれば幸いです。
ありがとうございました!