アメリカにはショートカットの女性が少ないのはなぜなのか
アメリカにはショートカットの女性がほとんどいない。妻が言うには、ほとんどの人がロングヘアなんだという。言われてみると、会社の同僚でもショートカットの女性というのは思い浮かばない。日本だったら女性のショートカットは一般的だし、結婚して子供もできると、だいたいお母さん達はショートカットになるらしい。これは実用性からくることと、いつまでもロングヘアでいることは、若作りしているような印象を与えるらしく、ショートカットにするのが適切であり、人付き合いの上でも無難なのである。
アメリカではショートカットのことを、ピクシーカットというらしい。数少ないピクシーカットをしているのは、モデル、女優、ファッションリーダー、お洒落さん、レズビアン、おばあちゃんだという。なんとなくイメージがついただろうか。自分の周りにはショートカットの人がいないので、想像をハリウッドスターにまで広げてみる。Xファイルに出てくるスカリーはどうだと聞くと、あれは髪が肩まであるから、ピクシーカットではないとのこと。ジョディーフォスターはショートカットだと思っていたけど、あれも違うわけか。一番最初に思いついたのがメリーに首ったけのキャメロンディアス。キャメロンディアスは女優でもあるし、綺麗な人だからカテゴリーに当てはまるんだろう。加えてあの役柄はかわいいけれど少し変わり者という立ち位置だった。
結局妻が言いたいことは何だったのかというと、自分はショートカットにしたいけれども、周りにそういう人が少ないので、なぜかと疑問に思い調べたところ、上記のような理由だったらしい。そして、ショートカットにするのをためらっている。私としては周りなんて関係なく自分の好きな髪型にすればいいのにと思うんだが、本人は色々と気になるらしい。
アメリカは女性の権利を主張する運動が始まった最初の国である。きっかけは奴隷解放運動であり、その運動に携わっていた女性達の一部が、自分たちに与えられた権利に疑問を持ち始めたのがきっかけだった。「黒人も同じ人間である。神の前で人は平等なのだから、白人と同様の権利を与えられるべきだ」そのように主張する女性達は立場を自分たちに置きかえた時、平等に扱われているんだろうかと疑問に感じた。奴隷解放運動と男女平等の思想は時を同じくしている。
アメリカは日本に比べて圧倒的に女性の社会進出が進んでいる国だ。そこで暮らすアメリカ人女性は女性らしいロングヘアを好む。彼女たちが女性らしさを追求するほど、男との違いが浮き彫りになり、そこに矛盾した苛立ちを抱えているように思う。女性と男性の間の差別に限らず、差別問題というのは差別を感じる側に表裏一体の矛盾がある。「差異」とは多様性のことで、それは生命が環境変化から自衛するための防御システムである。差異にとらわれイライラするのではなく、他人は他人、自分は自分とする、多様性が認められる社会でありたい。
はい、きんたろうからは以上です。