【インバスケット 7つの得点テクニック】制限時間内で高得点を出す
彼の声には会社に対するあきらめの色がにじんでいた。いつも大らかだった彼の笑顔には平凡なサラリーマンの面影がちらついた。私の中で怒りがゆっくりと頭をもたげ、そのとき彼を絶対に合格させると私は決めたのだ。
1.まえがき
私は某大手重工メーカーのエンジニアです。現在アメリカに駐在し、旅客機ジェットエンジンの国際共同開発に従事しています。このNoteは企業の幹部登用試験で使われるインバスケット試験の攻略法を教えます。
インバスケット試験には正解があり対策が可能です。勉強さえすれば必ず合格できますが、勉強をしなければ間違いなく合格できません。この試験は生まれ持った地頭や才能を測るものではありません。この事を本Noteの第1項から4項を通して理解します。5項では具体的な勉強方法について触れます。第6項では得点テクニックをお伝えします。その内容は心構えや練習法というたぐいのものではありません。完全に小手先のテクニックです。しかしそれで得点できるのがインバスケット試験です。
これらのテクニックは、私がインバスケットの研究をする中で気がついたものです。対策本には載っていませんでした。その内容を教えることはインバスケットの測定機能そのものを否定することにつながるからです。
2.このNoteを書いたきっかけ
先日、会社の同期と久々に飲んでいた時に昇進試験の話がありました。私の所属する会社では、大卒で10年目、大学院卒で8年目に昇進試験があります。これに合格すると年収が200万円アップする非常に重要な試験です。私は十分な試験対策をしたおかげで無事に一発で合格することができました。一方で、不合格だった同期を見て複雑な気持ちも抱いたことを思い出します。
仕事で活躍する彼は私の目から見ても眩しかった。どんなに面倒な仕事でも大らかな笑顔で受け入れ、決して器用ではなかったが、最後までやり遂げる彼の周りには、自然と人が集まっていた。彼が建設現場での長期赴任を終える時、周りには多くの現地スタッフが別れを惜しんでいた。
だが彼は試験に合格できなかった。単純に準備不足だった。だが不合格という結果をみると、まるでこれまで彼の献身が会社からの否定されたように見えた。「俺はあの時なんで徹夜して頑張ったんだ」「もう俺は自分の仕事しかやらない」。彼の声には会社に対するあきらめの色が滲んでいた。眩しかった彼が平凡なサラリーマンに見えた。
私の中でゆっくりと怒りが頭をもたげた。好きだった会社に対して失望を抱かせた昇進試験に対して。たった2-3週間の勉強で決まる試験で画一的に判断する会社に対してだ。私はすぐに自身の研究結果をまとめ彼に送った。翌年、彼は無事合格した。
私はその後も不合格だった同期や、これから受ける後輩達へ自身のノウハウを積極的に共有した。画一的な試験による個人の能力評価と、それによって人のモチベーションを奪っている状況を否定したかった。
これから昇進試験を受ける読者の方にも合格してほしい。画一的な試験に時間を費やすことなく、いつまでも会社を好きでいられるように。そして仕事の本質を追求することに時間を費やしてもらいたい。その思いでこのNoteを広く共有します。
3.インバスケットに正解は無いという落とし穴
ここからインバスケットの中身とその分析に入っていきます。インバスケットの概要についてはWikipediaで十分です。引用を貼っておきます。
インバスケットに関する説明に必ずあるのが、インバスケットには正解がないということです。ここに落とし穴があると私は考えています。
人は誰でも試験勉強などしたくありません。そんな受験者がこの説明を見るとどう考えるでしょうか。
「正解がないなら勉強したところでどうしようもない」
「きっとその人の地頭を測るような試験なのだろう」
と都合の良いように考えて、勉強をしないのではないですか。本当は勉強しなければまずいと、うすうす気がついています。それでも人間は楽な方向に流れるのです。
ここに追い打ちをかけるのが、インバスケット試験は対策をしなければ絶対に合格できない、という事実です。今まで受けてきた入学試験や資格試験とは、根本的に試験の目的が違います。初見では何を求められているかがわかりません。「正解が無い」という事前情報が頭をよぎり、普段の業務の通りに答えると、合格できません。
インバスケットには正解があります。「正解がない」というのは解答がいく通りもあるという意味です。模範的な解答を分析すると、インバスケットにおける評価基準が、しっかりと盛り込まれている点で共通しているのです。また、そこをおさえると解答もかなり似通ったものになります。
この認識を持てば時間をかけて対策をする意味もわかります。勉強のしがいも出てきたと思います。次に採点基準について考えます。
4.採点基準を考える
採点基準を考える際は採点者の立場になります。解答は自由記述形式なので、採点の第一歩は解答内容の分析です。採点者は解答を以下の項目にしたがって分析していきます。
これらの項目が、解答内容から読み取れれば得点とします。無ければ点数になりません。加点方式なので、解答を書けば書くほど点数はあがります。とにかく書くことが重要です。
この採点基準は引用元のインバスケット研究所が独自に考えるものではありません。一例として、アメリカ司法省が発行しているインバスケットトレーニングに向けた準備資料を紹介します。資料の中で評価の軸は以下であると記載されています。
各評価軸の内容を読み解くと、インバスケット研究所の示す10個の採点基準というのは、同じ内容を再分類したものだと気が付きます。つまり、インバスケット試験には明確な目的があり、その評価基準は世界のどこでも同じなのです。
ここで一点注意したいことがあります。インバスケットを採用している組織では、それぞれの評価基準に対する「重みづけ」があるということです。求められる人物像は組織ごとに変わってきます。ある企業が受験者に問題発見力を求めていれば、その項目は高配点となります。回答中にはそこを積極的にアピールしていきましょう。人事評価の規程は会社ごとにあるはずなので、事前に各職級に求められる能力を把握しておきましょう。
5.試験対策に使った教材
私が使った教材はたった2つです。これを繰り返しやりこめば対策としては十分だと思います。必要な勉強時間の目安は40時間程度です。平日に1.5時間、週末に7~8時間を割けば2~3週間で終わります。私はこれ以外に事前調査で10~15時間つかいました。
究極の判断力を身につけるインバスケット思考
最も有名なインバスケットの入門書です。ストーリー仕立てで楽しく読めます。まずはこれをリラックスして読んでインバスケットの概要をつかみます。
ベーシックトレーニングセット|インバス!
概要をつかんだらあとはひたすら模試の繰り返しです。インバスケット思考の著者でもある、鳥原 隆志氏が代表を務めるインバスケット研究所が発行する、ベーシックトレーニングセットを使用しました。
初めてインバスケットに取り組むと、制限時間内に終わらないことに気が付くはずです。しかし、絶望する必要はありません。コツをつかみ反復練習すれば時間内で終わらせることが出来ます。
私は各模試を3周しました。一つの模試の制限時間が90分、その後の採点と研究に2~3時間をかけました。同梱されているテキストはインバスケットの解き方や、考慮すべきポイントが丁寧にかかれており質が高いです。ドリル練習のためのブックが入っていますが、私はこれは使いませんでした。
模試はそれぞれ難易度が異なり、最も難しいレベルでは練習後であっても終わらせることはできませんでした。私の会社の昇進試験では中程度のレベルと同じくらいだったように思います。
(参考)インバスケット合格予備校
模試を何周もしていると、内容を覚えてしまうので、新しい模試でもっと練習したい場合は、このWebサイトから一回分を無料でダウンロードできます。レベル的には少し簡単です。
6.得点するためのテクニック
このnoteの本題です。私が勉強する中で気が付いたこれらのテクニックは、試験本来の目的を失わせます。心がけや練習法といった類のものではありません。完全に小手先のテクニックで、正直なところインバスケットはこれに気づいているかどうかで合否が分かれます。模範解答例も載せているので、その定型文を回答に差し込むだけで得点が稼げます。7個のテクニックがあり、これにより10の評価項目の内7個(問題発見力、問題分析力、意思決定力、洞察力、計画組織力、当事者意識、ヒューマンスキル)の得点源となります。併せて優先順位の付け方も記載しています。
テクニックの内容はNote末尾【添付1】にあるのでご参照ください。
7.Note購入者の方の声
Noteに対する率直な感想と、実際に昇進試験を受けてみた感想をヒアリングさせて頂きました。
【添付1】得点テクニック(有料部分)
以下有料部となります。
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