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わくわくする「歯科クリニック」〜大久保寛司さんと行く訪問勉強会リポート〜


楽しい「歯医者さん」なんて、あるの?

私の「あり方」の師匠・大久保寛司さんと行く「企業訪問勉強会」。「実際に現地に行かないと、わからないことがある!」と座学の勉強会で度々聞いていたものの、昨春、伊那食品工業を訪れて以来、やっとその意味がわかり(遅っ)、それ以降、タイミングと懐の事情が許せば、出来る限り、参加するようにしている。

大きな看板がお出迎え

今回の訪問企業は、東大阪市の「ヨリタ歯科クリニック」。「歯医者さん」と聞くと、怖い・びくびく・痛い・・・など、どうしても「仕方なく行く」というイメージを持つのが一般的ではないかと思うけれど、「ヨリタ歯科」のコンセプトは「スマイル アンド コミュニケーション」。わくわく楽しい歯科医院だという。

「果たしてどういうこと?」

訪問してすぐに、その謎が解けた。

それはまるで「テーマパーク」のおもてなし

今回の勉強会は、北海道の坪崎美佐緒さんの主催で、全国から集まった10人での訪問となった。メンバーの職業は、ファイナンシャルプランナー、デイサービス施設の社長と幹部社員、コンサルタントなど様々で、今回は神奈川から、学び仲間の若き歯科医院長も参加している。みんなで「難波」から20分ほど電車に揺られ、最寄りの河内花園駅のロータリー前のビルに到着すると、早速、ベテランスタッフで、寛司さん曰く「彼女がクリニックの『要』」と言う、新谷順子さんが笑顔で迎えてくださった。

写真中央が新谷さん、右は学び仲間で若手歯科院長・平野さん
ホテルのロビーのような待合スペース

エレベーターを3階で降りると、ホテルのロビーのようなゆったりとした待合スペースを左に見て、案内された部屋は「研修ルーム」。社員のためだけのスペースだという。「この部屋だけは絶対に設けたかった」と院長がこだわったことに、職員への期待が感じられる。

部屋に入って目に飛び込んできたのは、椅子の背に貼られた私たち参加者ひとりひとりの「名札」だ。私の席には「ことのはスクエア」のロゴ付の名札が!!

ひとりひとり参加者のことを思いやっての気配りが随所に

さらに、テーブルの上には「歯科診療録」と見出しのついた、ひとりひとりの写真と名前が印字されたファイルが置かれている。ファイルには見学MAP、リーフレット、クレド、さらには、職員全員が年末に記載するという「年間行動目標シート」まで収まっている。主催者は参加名簿を渡しただけなのに、このきめ細やかな嬉しくなる準備。
「ヨリタ歯科クリニック」は、「おもてなし経営企業」や「ホワイト企業大賞」などの受賞歴もあり、見学者も多いとは伺っていたが、毎回、見学者に合わせて、このように準備するのだという。この「おもてなし」の気持ちと行動に、スタート前から、もうすっかり「ヨリタ歯科」のファンになってしまった。

まだ会ってもいない私たちへのこの準備 頭が下がります

「おもてなし」と「感動」があちらこちらに

勉強会の司会進行は「経営サポーター」の高橋慎一さん(入社10年目)。
「プロのアナウンサーの前ではやりづらいです」と言う。どうやら私のことも、事前に調べているようだ。いやはや、目の前の席で🙇(笑)

最初は「クイズ」から。私たちを和ませるためだけでなく、全国の「歯科医院」の状況と「ヨリタ歯科」のことがわかるように、楽しみながら学べる工夫がされている。2人1チームとなり、①②⓷の札をあげて答えていく。優勝チームには賞品もあるといわれ、がぜん、張り切る私たち。若き歯科医院長・平野さんとチームを組めた私…最終問題で逆転優勝!
下馬評通り?賞品の「歯の防災グッズ」をGET~(ありがとうございます)

クイズもエンタメ感たっぷりです

楽しく基本的な情報を押さえた後は、3~4人ずつに分かれて、院内を見学する。私たちのチームを案内してくれたのは米田さん(経営サポーター)。手元には、テレビ番組で使用するような「めくりのパターン」を持ち、要点やこだわりがわかるように説明してくださいました。

院内にも様々な工夫が・・・ 

とにかく説明がわかりやすい!

1991年に開院。治療を目的とするのではなく「健康な人が健康であり続けるための歯科」を目指し「予防歯科」に挑み、研究を重ねた末に、たどり着いたのが、今のスタイルだという。
「感謝の言葉があふれる」「感動を与え続ける」「ワクワク楽しい」歯科医院・・・2002年に移転リニューアルした際に、患者さんの気持ちやスタッフの動線などを徹底的に考え抜き、内装のひとつひとつにもこだわったと院長が話す通り、あちらこちらに工夫が施されている。

カウンセリングルームは、初診時に30分ほど、患者さんの状況を「ただ聴く」ためのスペースだという。どんな想いで、どんな治療を希望しているのか丁寧に聴き取ることで、患者さんとの信頼関係を築いていく。
「痛い」→「治療」ではなく、患者さんと、長いお付き合いをしていく覚悟とやさしさを、そこに感じる。

カウンセリングは診療ではないので「無料」

患者さんのお子さんを一時的に預かる「託児ルーム」には、専任の保育士が常駐している。子育て中は、どうしたって自分を後回しにしてしまいがちな母親・父親も、託児があれば、安心して通えるだろう。利用は予約は必要だが無料だという。また、別に従業員のお子さん向けの保育スペースももちろん、ある。

院内では、子どもの泣き声も聞こえないし、あの、歯科医院独特の耳につく「治療の音」も全く気にならない。聞こえてくるのは、私の中の「歯科医院」の概念が、ガラガラと崩れ落ちていく音だけだ。

寄田幸司院長も、この笑顔

「思いやりとスキル」の両立が「感動」を生む

見学の後は、寄田幸司院長のお話を伺う。「メジャーリーグの観戦で、寝不足なんです」と頭をかきかき笑顔で登場。歯科医になるなんて考えてもいなかったという学生時代のエピソードから、考え抜き実践していることの数々。ひとつひとつのエピソードに、愛と知恵が詰まっている。

例えば、小学校の修学旅行の訪問先になった時のこと。喜ばせるための工夫が隅々までいきわたっている…なんてもんじゃない。見学を迎え入れる日は診療を半日お休みし、院長は、事前にわざわざ、その学校をこっそり訪れ取材もする。スタッフは手作り横断幕で子どもたちを迎え入れ、これまたこっそり練習した「校歌」を斉唱するなどなど…私たちへの「おもてなし」にもそうだけれど、この徹底ぶりに、ただただ圧倒される。しかも、投影される写真のスタッフがみんな楽しそうなのである。心から喜んで、子どもたちを迎えていることがわかる笑顔の写真の1枚1枚には、「うそ」や「大人の都合」がない。

院長とも懇意にしている寛司さんの解説で、学びが深まる

一方で、ただ笑顔で、おもてなしが素晴らしいだけではない、技術を磨いていくための研修や取り組みもある。そこは厳しい。新入社員は、試用期間の3か月は毎日、1時間の研修があり、経営理念、行動指針と言える「クレド」を読み込み、心と身体に浸透させる。ひとりひとりが明確な「年間行動目標」を書く。

練り上げられ沁みこんでいる「年間行動目標」

この「年間行動目標」の項目が細かいのにも驚いた。①スキルアップ②人間力アップ⓷売り上げアップという3つの観点での「目標」と具体的な行動を書き込み、さらには④「プライベート目標」も並列して書きこむ。

そして、目標を達成するために欠かせない自身の心を整えるための「行動分析」も、細かく記載していく。「仕事がうまくいっている状態」と「うまくいっていない状態」を書きこむ欄があるのには、思わず唸ってしまった。どんなに環境が整っていても、いつだってベストではいられない。そんな時に、自分を確かめることが出来ることは、やや俯瞰で自分を眺めることに繋がる。そうすることで、健全な内省に繋がるだろうし、安心にもなるだろう。スタッフは全員、びっしりと書き込んだ(A4×1枚)目標シートを、縮小してクレドとともに持ち歩いている。毎朝、朝礼で黙読することも習慣にしているという。

医院の居心地の良さ、何とも言えない温かい雰囲気は、こうした知恵と工夫の日々の積み上げで実現しているものなのだろう。それぞれの「ことば」で埋め尽くされた目標シートを、当たり前のように「持ってますよ」と取り出して私たちに見せてくれる。「感動」は、スタッフ一人一人が、心を動かし、身体を動かしているからこそなのだろう。実現していることを目の当たりにして、言葉を失う。

毎年末に、社員全員が書く「年間行動目標」

この関係性、雰囲気が全てを表している

院長のお話の後、八田さん(入社12年目:健康プロモーター)、岡本さん(入社2年目:スマイルクリエーター)が、司会進行役の高橋さん(経営サポーター)と、ベテランの新谷さん(感動クリエイター)に加わって、質疑応答タイムとなる。院長はニコニコと後方で見守っている。

社歴や職種の壁が、全く感じられない。これまでの訪問勉強会で感じたことと同じだ。それぞれが、それぞれをリスペクトし合っている…この空気感。これこそが、寛司さんがおっしゃる「この場にいかなければわからないこと」のひとつだ。先輩に遠慮したり、上司の目を気にして「本音」が言えないという、よくあるあの「もやもや」が一切ない。発せられる「ことば」が全て、真っ直ぐ気持ちよく入ってくる。その内容も、もちろん学びになる。だけど私は、この「真っ直ぐに届く、本当のことば」を味わいたくて、勉強会に来ているんだなぁと、あらためて感じることができた。

社歴や職種の壁が、全く感じられません!

とはいえ、内容についても少しだけ触れておこう。
「叱ること」「指導すること」についてどのように考え実践しているかについては、日ごろの信頼関係や、それぞれが成長を願い合っての発言だからこじれないということ、先輩の在り方そのものが「マニュアル」のように受け継がれているということ。そして、それを支えているのが、日々の朝礼の内容などのあらゆる仕組みだということがわかった。

「めんどくさい」を超えて感じる喜び

あまりに、整った答えばかりなので、意地悪な私は、一つ質問する。
「とはいえ、面倒だなぁと思うことはありませんか?」すると、居並ぶスタッフが、きょとんと顔を見合わせて、首をかしげる。

「ないですねぇ、楽しいです」と、八田さんと岡本さん。

続いて、高橋さんが言う。「正直に言えば、診療以外の様々なことについて、とにかく色々ありますから『面倒だな』と思うことが、ないわけではないです。でも、それを上回る楽しさと、達成感、そして、自らの成長があるから、それが喜びだと知っているので、苦には感じないんですよね」とにっこり。これなんですね〜ありがとうございます。

右端が、高橋さん。素敵な司会進行に感謝です💕

そして、私の気づき(つぶやき)

小さい私は、ついつい自分のことに置き換えてみる。

研修の準備も、学校での活動も「面倒なこと」を探せば、山のように出てくる。「いつも楽しい」わけじゃない。

だけど、自分がその山を乗り越えることで、誰かの笑顔を見ることができたり、自分自身が「成長」して、新しい自分を見つけることが出来れば、それこそが私の喜びで、それを体感したくて前に進もうと思えるのだな…と。

濃密な半日の勉強会の最後に、記念写真がおさまった「カード」を頂いた。
まさに!スマイル&コミュニケーション。

「感動と感謝」と書かれたカードともに頂いた記念写真

最後の最後まで、さらには細部にまで行き届くコミュニケーションの「あり方」に、圧倒されながら、ここでの気づきを、私は、どう実践していけるだろうか?と、新たな「問い」が沸き上がる。まだまだ出来ることがあるはずだ。

ヨリタ歯科クリニックの皆様、本質を読み解き、導いてくださる大久保寛司さん、そして勉強会を企画・主催してくださった坪崎美佐緒さん、学びをご一緒くださった皆様、ありがとうございました!

笑顔は、笑顔をよびますね

※言語化できないことが、この訪問勉強会の醍醐味で面白さだとわかってはいるけれど、そのギリギリを何とかすることが私の挑戦!拙いリポートでも、やり続ければ、取材し続ければ、いつか「ホンモノ」に近づけるかもという淡い期待で、今回も、書いてみました。ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます!!!

幸せな会社、それを創り出す人たち、これからも取材していきます🖊

ヨリタ歯科クリニックについて詳しくはHPをご覧ください
笑顔で溢れています!観るだけで元気がでちゃいますよ〜

【補足】
スタッフの皆さまは、役割に応じた名称があります(詳細はHPを)

・ドクター・歯科衛生士・健康プロモーター・デンタルコーディネーター・トリートメントコーディネーター・診療放射線技師・訪問診療チーム・管理栄養士・スマイルクリエーター・保育士・感動クリエーター・経営サポーター・スマイルサポーター

写真もすべて笑顔!しかも全てが自然!


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