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何歳から英語? 大手英会話学校を考える③ メジャーな英会話学校に費やすお金と時間

もうすぐ2歳になる我が子のために、妻が突然あるメジャーな英会話学校の体験レッスンを申し込みました。
私は大手英会話学校で働いた経験があるので、多くのメジャーな英会話学校の最優先事項が会社の利益やスタッフのノルマにあることを知っており気が乗らなかったのですが、子供たちがどのような反応をするか興味があったので、体験レッスンを受けてもらうこととしました。

今回はメジャーな英会話学校に費やすお金と時間について考えたいと思います。

まずはお金についてです。

子供向けの大手英会話学校では、次のような受講料が多いようです。
・月4回程度、1回あたり50分前後のグループレッスンで月額1万円前後
・月4回程度、1回あたり50分前後のプライベートレッスンで月額2万円前後
・学校によっては、入会金、教材費、夏季冬期講習などプラスアルファの費用負担がある

詳細の費用については各学校のウェブサイトなどで確認できます。

ここでは分かり易く話を進めるために、費用は「月1万2000円」と仮定してみます。

また、目標は次のように仮定してみます。
・3歳から17歳まで15年間通う。
・17歳(高校2年または3年)の時点で英検2級レベルに到達
月額1万2000円×12か月×10年=172万8000円

極端に単純化すれば、170万円かけて、高校卒業までに英検2級を取得するということになります。

英検2級レベル以上の実力を身につけられる可能性はありますし、資格試験では測れない能力を身につけられる可能性はあります。同様に英検2級レベルに満たない可能性や、英会話学校に通うことで英語学習がトラウマになるという可能性もあります。ここでは、あくまでも便宜上「英検2級レベルに達する」と仮定して話を進めていきます。

英検2級はビジネスや専門的な教育に十分対応できる英語力ではないですが、高校終了時点で英検2級を持つことになれば、「大学受験の英語で大きな苦労することはない」「ある程度の英文書が読め、一定の語彙もあるので、高校卒業後(進学、就職にかかわらず)に国際交流や英語でのディスカッション、英語を使ったシンプルな仕事など実践的な英語を使う状況にチャレンジしやすい」といったインセンティブが得られる可能性が高いです。

また、幼少期から一定のレベルを満たす英会話学校で学んだ場合は、美しい(正しい)発音や優れたリスニング能力を習得できる可能性が高いというメリットもあります。

一定のカリキュラムとレッスン内容を伴う英会話学校という前提ですが、単純に「子供の将来への金銭的な投資」と考えれば有効な選択肢のひとつかもしれません。

しかし一方で、英会話学校になど通わず、義務教育と家庭の環境づくりで英検2級レベルに達することは十分可能ですし、発音もルールさえ知れば幼少期を過ぎてからでも一定のレベルのものは身につけられので、わざわざお金を費やすこと自体が非合理的という考えもあります。

メジャーな英会話学校は一定のセールステクニックを備えているので、講師(営業担当者)の話を聞くと魅力的に思えたり、「お金には代えられない」と焦ったりすることがあるかと思いますが、両論で考えるようにしたいものです。

因みに私は人から「幼少期からの英会話学校に〇万円払う価値がありますか?」というような質問を受けたときは、「金銭面で迷うくらいであれば、やめたほうがいい。」と答えることが多いです。


そして、もう一つの要素である「時間」ですが、これについてはお金以上に慎重に考えなければなりません。

英会話学校に通って英語を身につけるということは、学習時間と通学時間といった、子ども時代の限られた時間をそこに充てるという側面もあります。

外国語を身につけるためには一定の時間を費やすことは必須です。中途半端にやっても成果は望めません。

お金の考え方と似ており、「幼少期にある程度マスターしてしまえば、成長してから外国語学習に時間を費やす必要がない。」と考えられますが、「義務教育の範囲内で身につけられかもしれない、もしくは大人になってから必要に応じて独学で身につけられるかもしれないものに、多くの可能性を秘めた幼少期の時間を費やしてしまうのは勿体ない。」とも考えられます。

時間については、特に両論で考えたいものです。


また、全ての子どもが、一定の成果が出るまで通い続けられるわけではありません。途中で辞める生徒は一定数必ずいますし、ある程度頑張っても成果が出ない子供も一定数必ずいます。

これは金銭的にも大きなリスクですが、費やした時間は絶対に戻らないので、時間的にはさらに大きなリスクです。

英会話学校のことを考えると費用のことばかり考えてしまいますが、実は時間的な側面を考えることがとても難しく、重要なのです。


もうひとつ、お金と時間を費やすかどうか考えるときに忘れてはいけないのが、あくまでも英会話学校は”選択肢のひとつ”であって、「ある年齢に達した時に一定の英語力を身につけておく必要がある」という目標のためであれば、ほかに選択肢や方法は数多くあるということです。

大手英会話学校は自社サービスの販売が最優先ですので、講師(営業担当者)からは、幼少時代の限られた時間を使うことの重大さや、英会話学校(自社提供サービス)以外に英語を身につける多様な方法があることは、説明や提案が通常は無いと思います。

そのため保護者が肩の力を抜きつつも、しっかりと判断をする必要があるのです。


最後に、別の観点として、「英語学習を通じて、子どもの成長のサポートをしたい」と真に考え、それを実践し続けている英会話学校に通うのであれば、これまで論じた費用・時間対効果の理屈では測れない魅力があります。

ただし、これは主に個人経営の英会話スクールに当てはまることであって、大手英会話学校では成し得難いことです。企業理念としてそのように掲げることはあっても、「最優先事項は企業利益」という力学がどうしても働いてしまうのです。

いずれにしても正しい外国語に能動的に触れる機会や異文化を理解する機会は子どもたちにとっては貴重であり、必要な環境整備だと思います。

幸いにもテクノロジーの進歩によって、今の親世代が子どもの頃より外国語コミュニケーションや外国語メディアへのアクセスは格段に容易になっています。

保護者が然るべき判断やサポートがし易い環境整備が社会に求められているかもしれません。

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