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『ダンキラ!!!』愛宕蓮太郎が悪魔耳フードを着た理由。天狗モチーフから見える立ち位置と変化

1月31日は少年ダンサー育成ゲーム『ダンキラ!!! - Boys, be DANCING! -』に登場する愛宕蓮太郎の誕生日。
ダンキラチーム・B.M.C.に所属するダンサーで、名前が発表されるまでは「フード男」として知られていた。
普段着には常にフードが付いており、ダンキラウェアには悪魔耳も施されている。

一方で、蓮太郎のモチーフとして挙げられているのが天狗
なぜダンキラウェアには天狗と悪魔のモチーフがどちらも取り入れられているのだろうか。

そこで今回は服装を手掛かりに天狗とのつながりを考察し、さらにB.M.C.における蓮太郎の立ち位置を見ていこう。

※このnoteは個人が趣味で書いたものであり、公式等とは一切関係ない。

蓮太郎の服装と天狗

蓮太郎が愛用しているネックレスは、ヤツデの形をしている。
ヤツデとは大型の葉を持つ植物で、古くから天狗の扇として知られてきた。
ダンキラウェアのインナーにもこのヤツデが描かれており、天狗のモチーフが含まれているとわかる。

また、私服であるパーカーの背中部分には、天狗のロゴが大きく描かれている。
さらに制服の上に羽織っているパーカーのファスナーにヤツデのデザインが採用されていることからも、蓮太郎は天狗とのつながりが深いといえるだろう。

天狗と悪魔の関係性

ここでダンキラウェアの悪魔耳と、天狗との関係性を考えてみたい。

天狗の正体については諸説あるが、日本では山の奥深くに住む妖怪の一種として考えられてきた。
とくに仏教には夜叉や悪魔といった、恐ろしい存在として天狗が登場する。
したがって蓮太郎のダンキラウェアに施された悪魔耳は、仏教における天狗の姿を象徴しているといえるのではないだろうか。

ちなみに中国にも天狗に関する伝承は存在する。
人々は流星や彗星が尾を引きながら輝く姿を「天の狗=天狗」に例えていた。
蓮太郎が所属するB.M.C.には「Meteor(流星)」の意味が含まれているため、この逸話は無関係ではないだろう。

また、私服の背中に書かれた「オン・アロマヤ・テング・スマンキ・ソワカ」のローマ字も流星と関係がある
これは「天狗呪第一」とも呼ばれており、修験道で唱えられる「天狗経」の一説だ。
天狗経の最後では日本各地の天狗に対し、悪霊退散や勧善懲悪を成就させてほしいと願っている。このとき唱えられるのが天狗呪第一と、天狗呪第二の「オン・ヒラヒラ・ケン・ヒラケンノウ・ソワカ」だった。

「アロマヤ」とは金星を指しており、転じて流星、つまり天狗の意味を持つ。
そして「スマンキ」とは数万騎のこと。天狗は多くの狐を従えていると考えられており、その数は数万にものぼると思われていた。
天狗と狐の関係性については後述する。

名前や行動から見える天狗らしさ

ところで天狗は、第一種から第三種まで役割や能力によって区分されている。
第一種は山神としての側面が強く、勧善懲悪や仏法の守護を行う。
第二種堕落した僧侶が天狗となったもの。
第三種は現世への恨みや怒りがきっかけで堕落し、天狗になったものを指す。
第二種と第三種は世間を混乱させることから、悪魔として認識されることも多い。

ここで注目したいのが、蓮太郎の苗字と第一種の天狗との共通点だ。
日本八大天狗の筆頭として数えられる愛宕山太郎坊は、第一種に属している。
奇しくも蓮太郎の苗字は「愛宕」。愛宕山太郎坊とのつながりを感じえない。

また、蓮太郎はB.M.C.として活動する傍ら、ダンサー連合・黒流星として紅鶴学園都市の治安維持にも貢献している。
荒くれ者たちと勝負をするときの手段はダンキラ。圧倒的なパフォーマンスで相手をけちらしていく。
まるでダンキラで勧善懲悪や縄張りの守護をしているようで、第一種の天狗を思い起こさせる。

しかし蓮太郎の性格からは、第二種や第三種との類似点も見受けられる。
第二種と第三種の天狗に共通する要素は「堕落」や「混乱」
蓮太郎の制服には「ANARCHY」と書かれており、無秩序や混乱を意味している。
また、蓮太郎が部屋にこもって夜中までゲームをしている姿を、堕落していると思う人もいるだろう。(もちろん本人にとっては大事な時間であり、常に真剣に取り組んでいるため堕落とは言い切れないが。)

天狗の役割と変化

ここまで服装や名前などの面から、蓮太郎に秘められた天狗らしさを探ってきた。
しかしなぜ、B.M.C.や前身のブラックメテオには天狗モチーフのダンサーが必要だったのだろうか。
手掛かりとなるのは、リーダーである破走ギンコの存在だ。

ギンコは「銀狐」と漢字を当てることもでき、髪の色やダンキラウェアのファー、私服に書かれた「Silver Fox」の文字など随所に狐要素が含まれている。

前述したように、天狗は狐を従えていると考えられていた。
とくに日本八大天狗のひとり、秋葉三尺坊大権現は白狐とともに描かれることもある。
不動明王の化身とされる秋葉三尺坊大権現はどこかへ赴く際には神風のような速さで移動していたらしい。
このとき送り迎えを担っていた使者が白狐。まるで蓮太郎をバイクで迎えに行くときのギンコのようである。

一方で、以前考察したようにギンコには日本武尊との類似点が見られた。『古事記』で走水を渡ったときのエピソードは、メインストーリーの6章を思い起こさせる。
天狗は神の使者ともいわれており、日本武尊とも接点があったらしい。
そのため栃木県の古峯神社のように、日本武尊と天狗信仰の結びつきが強い土地もある。
つまり天狗は神を支える役割も担っていたといえるだろう。

そしてB.M.C.にもうひとり欠かせない存在が椿賢人
こちらも以前考察したように、蓮太郎は賢人と対になることで狛犬のような役割も得た。

狐に支えられていた「天の狗」から、居場所を守護する「神の獣」へ。
天狗などのモチーフに着目すると、こうした蓮太郎の変化や成長がより鮮明に見えてくるかもしれない。

参考
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A9%E7%8B%97-102256
https://www.leafkyoto.net/blog/makai/2019/12/atagoyama_tengu/
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000075890
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00013521/explanation/otogi_11
https://www.kontaiji.com/faith
http://www.akihasan.or.jp/category01/index03.html
http://akiba.fukugonji.com/akiba-sanjakubo/
http://www.furumine-jinjya.sakura.ne.jp/

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