Discover 2022-11,12より。次世代の輸送 「電気自動車」。

次世代の輸送手段トップバッターは電気自動車でした。
電気自動車、なぜか日本においてはネガティブな捉えられ方をしているように感じますが。
世界的に見るとほぼ肯定的に捉えられていると感じます。
まあ、そう感じた理由は雑誌Discoverを読んだからではあるのですが。

ということで、どんな内容だったかをかいつまんでご紹介します。

未来の自動車というイメージがある「電気自動車」。実は100年前に少しだけブームになっていました。(アメリカで)

1900年代の初め、ごく短い期間ですが、内燃エンジンの自動車よりも電気自動車の方が売れていた時期があるんです。
その立役者は、発明王 トーマス・エジソンと、自動車王 ヘンリー・フォードでした。

この二人ともう一人、タイヤで巨万の富を築いたハーベイ・ファイヤストーンを中心としたグループがちょっと変わった行動をしていまして。
毎年夏になると、T型フォードの隊列を組んで気ままな自動車の旅を楽しんでいたのだそうです。
娯楽としての自動車旅行の先駆けですね。

そんな中で、エジソンとフォードは「次にくる自動車は電動だ」という共通の考えを持つようになったんですね。
というのも、その頃の内燃エンジンの車は
・エンジンをかけるのが大変
・油まみれになって汚い
・すぐに故障する
という、あまり良い印象がないものだったんです。
もちろん、電動自動車であれば上記の問題が解決するのは明らかですね。モーターですから、スイッチひとつでかかりますし、燃料としてのガソリンも必要ありません。
潤滑油としてのグリスも少量で済みますし、部品点数が少ないので故障も少ない。(エンジンに比べれば、ですが)

ただ、フォード社による技術改良により、上記の欠点が克服されていったことで、内燃エンジン自動車の唯一の利点「安い」というがクローズアップされて、すぐに内燃エンジン自動車が主流に返り咲きました。
そして、その後100年にわたって内燃エンジンの自動車が主流になり続けたのですが。
※ここから先、エンジン=内燃エンジンとします。

2022年、アメリカにおいて自動車のエンジン対電気の勢力図が、劇的な変化をしました。

2022年の電気自動車の売上は53%増となる予定だそうで、これは加速度的な上昇なんだそうです。
ある予想では、今後2025年までに自動車工場においての電気自動車向けの投資額は3000億ドルに達するだろうとのことです。
この流れから、アメリカにおいて電気自動車は、すでにニッチの立場を脱却して主流となりつつあるとの見方があるようですね。

ある見方によると、
「2022年は”準備ができている、できていないに関わらず”、3つの大きな力が一つになって電気自動車を押し上げた」
という歳になったそうです。
3つの大きな力とは、技術面、法律面、インフラ面です。

技術面の進歩により、自動車メーカー各社がSUVや高級車クラスの電気自動車をラインナップに入れるようになってきました。

この10年ほどは、各自動車メーカーが電気自動車を作っているとはいうものの、小型のハッチバックが主流でした。
唯一テスラ社が高級自動車路線を展開するのみだったんですね。
つまり、小型のハッチバック、日本で言うコンパクトカークラスより大型のものを欲する消費者にとって、ほぼ電気自動車という選択肢はなかったわけです。

ところが、2022年には各社こうした大型の電気自動車を販売することを発表したり、もしくは今後数年でラインアップに入れると発表したりしました。
消費者が「欲しいな〜」と思う自動車が電気自動車である可能性が大きく広がったと言えます。

実は本文に明記されていませんが、これは技術的な進歩により、
・電池の小型化、大容量化が進んだ。
・ボディーの軽量化が進んだ。
ということが起こったと考えられます。
これが技術面からのプッシュですね。

2つの大きな法律ができました。(内一つは州の法律ですが)

電気自動車を主流にしていく、というかエンジン車を無くしていくということは国際的な合意がありました。
COP26ですね。
脱炭素社会に向けた取り組みを進めるという国際的な合意です。
その裏でどんな駆け引きがあり、どんな思惑があったのか、どんな暗闇があるのか、それはこの際どうでもいいことでして。
とにかく、アメリカでも2030年までにエンジン自動車の国内販売比率を半分にするということで動いていました。

それが、2022年に「クリーンエネルギーへの投資を促すための法律」が成立し、その直後にカリフォルニア州で「2035年にエンジン自動車の新車販売を禁止する」という法律が成立しました。

そう、次回の私の感想でも詳しく書きますが、
「どんな思惑が働いているか、どんな黒い取引が行われているか、そんなことはどうでも良く、ただ今後電気自動車しか販売できないようになるだろう」
ということになるようです。
もう一度、ちょっと言葉を変えて言います。
「電気自動車になることに意味があるのかないのか?もっと良い選択肢があるのではないか?ということはどうでも良く、たとえ短期間であったとしても電気自動車しか売れない時期が来るだろう」
ということです。

脱線しましたが、これが法律面のプッシュです。

すなわち充電スポットのネットワーク整備が進みそうです。

実は100年前の電気自動車ブームで解っていたことなんですが。
電気自動車普及の最大の障害は「充電に関すること」でした。

まず、充電には、ガソリンを入れるのよりも時間がかかります。
さらに、現在ガソリンスタンドはかなり見つけやすいのですが、充電スポットはそこまでそこらじゅうで見つかるわけではありません。
(実はもうひとつ、ネックになりそうなことがありますが、それは次回で詳しく触れましょう)

消費者の心理として、「電気自動車を買って、ちょっと観光に出かけたとして、出先で充電できるのだろうか?」という不安は、電気自動車購入にマイナスの働きをします。
「range anxiety」、”範囲(=距離)的な不安”とでもいうものが、常に電気自動車購入の妨げになっていたわけです。

この状況が今後10年程度で大きく改善されるだろうという見通しがあるようです。
というのも、アメリカの自動車メーカーや電力会社などがこぞって充電スポット増設のための設備投資を発表したからですね。

ちなみに、イギリスでは20億ドルもの公的資金投入を行なって、充電スポットのネットワーク整備を行うとのことです。
これがインフラ面でのプッシュですね。

以上がアメリカでの電気自動車を取り巻く動きでした。次回はこれを踏まえた日本の状況について考えてみます。

主にアメリカでの電気自動車を取り巻く状況を見てきました。
本文中にあったのですが、これでも「ヨーロッパに比べるとアメリカでの取り組みは遅れている」んだそうです。
それを踏まえた日本の状況を見ますと・・・

ある意味、絶望的に思えます。
企業の努力、技術力はいいのですが・・・
政府の能力と、何より国民の現状把握及び将来予測力がちょっと・・・
(2023年1月15日追記:この部分、実際はそこまで問題がないのかも、と考え直しました。)

ただ、おそらく完全に手遅れになるまでにはあと3〜5年程度はあると思います。
(先ほどのカリフォルニア州の法律でも、エンジン車禁止は2035年、EUにおけるエンジン車撤廃は2030年ですので)
それまでに、何か1手効果的なものが打てれば、状況は連鎖的に好転するかもしれません。
私が考えつく1手も合わせてご紹介してみたいと思います。

(ちょっと体調不良だったり、身辺がバタバタしていたりで遅れるかもしれませんが)



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