Caleが提示してくれる『自然体な変化』
いつからか、自分のパーソナルな枠の中で無理せずに変化を楽しみ続けたいと思うようになった。幹は変わらずとも、そこから枝分かれする葉の色が季節で変わるように、その時々で起こる自分なりの気分の変化をファッションに投影して楽しみたいと。
今で言うと、品の良さの中に垣間見える"色気"や"違和感"の抜き差しが私は気分なのだが、そういった曖昧なニュアンスで積み上げられた壁でさえも、軽々と越えて手を差し伸べてくれるブランドがCaleだったりする。
過去の記事でも触れているが、デザイナー佐藤氏が手掛ける洋服はさり気ない違和感と共に大人の情緒と色気が自然と注ぎ込まれている。
冒頭で述べた変化というのは、事柄によっては挑戦と言うべき事もあるだろうが、Caleはそのハードルを寄せ付けず、至って自然体に新たな選択肢を提示してくれる。
そして今季のCaleにもそんな魅力溢れる顔ぶれが揃っていた。
私と同じく、新たな変化を欲している洋服好きな方には特に響くだろう。
是非ご案内させて頂きたい。
程良い光沢感と深みのあるグレーベースに走るピンストライプ。そんな品のある空気感が漂う上質なウール生地を用いて今季のCaleが仕立てた2ピースは、間違いなくドレスの匂いが香っているのだが、そこには妙な違和感が垣間見える。
シャツは、イタリアのドレス的な解釈とウエスタンのデザインが随所に散りばめられた異国感のある1着。襟の形状や華奢な前立て等のディティールは前者が背景にあり、そこに細かい縫製や上質な生地の存在感が相乗する事でクラシックなシャツとしての土台が作られ、そして少しだけ肩の力を抜くように、さり気なく"ウエスタン"が刻まれている。また、シルエットにも両者のバランスが組み込まれており、身幅と着丈はは少し緩さを出しつつも肩のドロップは比較的抑え、軽やかな着心地とは反面してスッキリとした佇まいが感じ取れる。その分、釦を開けて羽織りのように着ようがインして着ようが同等の綺麗な収まりが生まれ、ウールシャツがメインとなる今から重ね着が増え始める先の季節まで、様々な着方の中で重宝する素晴らしいバランスも大きな魅力と言えるだろう。
そして共地で製作された新型のトラウザーは、コレもまたCaleらしいと強く感じる秀逸な1本で、個人的には超が付くほど好きだ。腰回りは2タックで分量感を持ちながらも、両サイドのアジャストのみでサイズ調整が効き、ベルトレスでスッキリと穿ける。このウエストの見え方が本当に綺麗で前後左右どの角度から見ても美しい。そして、Caleのトラウザーの美しさはシルエットにも大きく宿る。裾に向かって緩やかにテーパードしつつもストレートギリギリ程の太さを上手く残しており、タイト過ぎずな絶妙なシルエットになっている。ワイドを好む人にとっては新鮮に感じるだろうが、その中に不思議と安心感も寄せられる筈だ。
そして、もう一つ。
一言でGreenとは語れない程に鮮やかなカラーパレットが魅力を放つ、14ウェルの中畝コーデュロイ生地で仕立てたトラッカージャケット。
この彩色もCaleならではと言わんばかりに素晴らしく、コーデュロイの起毛感が重なる事で更に優しい色調へと繋がっており、普段は色物に抵抗を覚える人でもコレならば躊躇いなく手を伸ばしてしまいそうだ。
展示会で初めて対峙した時に素直にそう感じたのだが、既に店頭で同じリアクションを何度も見ているから今となってはもう確信に変わっている。
そして某Lが製作するアレがベースにあるものの作り込みは全くの別で、この1着はトルソーを用いてテーラリングの技術を注ぎ込みながら仕立てられている。袖の前振り等の傾斜は正にそうで、フィッティングとしてはしっかりハマるのだが、窮屈さは皆無で立体的な見え方が特徴的だ。
秋はハイゲージニットの上から羽織り、冬はその上に重めのカラーリングやメルトンなどの温い素材感を重ねて色と質のレイヤードを楽しむ。
そして、この生地感と色目の良さは春でも活きる。インしたシャツの上から着ても素敵だろうし、スラックスとスニーカーでラフに合わせても良い。
今から半年先まで、是非ともその膨大な可能性を自分なりのスタイルで楽しんで頂きたい。
こちらは、既に店頭販売を開始しており、オンラインストアの掲載はご用意が叶う場合に限り9月29日(日)12:00を予定としております。
店頭にて完売の場合は掲載は控えさせて頂きますので予めご了承ください。
また、掲載前に通販をご希望の場合はお店または私までご連絡をいただけますと優先順にご対応をさせて頂きます。
筆者
nariwai store manager
橋場 祐人
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