『色』を楽しんでみないか?
伝わりにくい事を承知の上で話すが、飽きない自分に飽きてしまう瞬間があったりする。好きである事は揺るがないのだが、そればかりに依存している自分自身を俯瞰して見た時に、"そろそろ違った楽しみ方知りたくないか?"と投げ掛けたくなる。変わらない事に対して否定も肯定も無いのだが、更に好きになる可能性があるとするならば、僕自身はその投げ掛けに"知りたい"と答えたい。ある種でそういった引き金になり得るモノがないだろうか潜在的にアンテナを張っていた半年前の展示会。今季の店内に並ぶ8割は固まりつつあったタイミングで訪れたOUTILのアトリエに、その答えと言える"ニット"と"トラウザー"を見つけた。
印象派の絵画で描かれているような独特の色目をインディゴ糸による編み地で表現しているこのニットは、デザイナー宇多氏がフランス滞在時に目にしている"日が昇った空の美しさ"も同時に表されており、一言では形容し難い奥深い美しさを帯びている。様々な濃淡の赤と青が混ざり合った色鮮やかな表情は、縮絨によるコットンウールの風合いの良さも相乗して非常に素朴で優しく、袖を通してみると意外にも派手さを感じさせないという懐の深さを持っている。特にブラック、ネイビー、グレー、チャコールあたりの装いには想像以上に馴染み、ビビットな単色を合わせた時の"目立ち過ぎ"がこの1枚には起こりづらく、いい塩梅でダークトーンとのコントラストを楽しむ事が出来る。
また、フィッティングはOUTILらしくゆとりが設けられているが、ボートネックは傾斜があり開放感は抑えめ。軽い見た目にはならず、素材の温さも影響して1枚で着れる時期はかなり長い。そしてオーバーサイズ程では無い為、冬に羽織るブルゾンやコートとの相性も良く、それこそインナーから覗かせる差し色としても最高な役割を担ってくれる筈だ。
他では味わう事の出来ない色の魅せ方を、是非とも堪能して頂きたい。
そして、、、
ある程度、自分自身の好きな傾向が理解出来たなら、それを「増やすモノ」よりも「活かすモノ」「際立たせるモノ」の存在に目を向けてみても良いかもしれない。
OUTILの展示会に鎮座していた『赤いトラウザー』は、正にその考えを汲み取ってくれる逸品だった。
オーストラリア軍の作業用トラウザーズをモデルに製作された今作は、サイドのアジャスト次第で簡易的にウエストの調整を可能にしつつ、収まりの良い腰回りから裾に向かって落ちる綺麗なセミワイドストレート型。品の良さも感じられ、太さ加減で言えば合わせ知らずの万能な形と言えるだろう。
そして語るべきは『色の良さ』。
高密度に二重織した綿生地を両面起毛させた後、さらに叩きや揉み込むといったニドム加工を施すことで風合いの良さを最大限に与え、赤のトーンバランスを上手く落ち着かせている。
赤である事は確かだが、そこには朝日ニットにも引けを取らない許容性の高さがあり、寒色暖色ともに抜群の相性を誇る見事な色味だ。そして、適度に厚みがありながらもタッチ感は滑らかで優しく、風を通しづらいという利点から秋冬春で穿く事が出来るというのも嬉しい。
今から穿き込み、『色褪せた赤』で迎える春には何を合わせようか。
このトラウザーは、そんな先の未来でも"新たな楽しさ"を提示してくれる。
是非、お手に取ってご体感ください。
こちらは既に店頭販売を開始しており、オンラインストアの掲載はご用意が叶う場合に限り10月22日(火)18:00を予定としております。
店頭にて完売の場合は掲載は控えさせて頂きますので予めご了承ください。
また、掲載前に通販をご希望の場合はお店または私までご連絡をいただけますと優先順にご対応をさせて頂きます。
筆者
nariwai store manager
橋場 祐人
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