好きになった洋服の話。
去年の8月頃、OUTILのアトリエに『それ』はあった。
入り口からある程度は一望出来るコレクションの中で全てが視界にある筈なのに、ハッキリと目に映る感覚が覚えた物が『それ』だった。
そして気が付けば、導かれるように『それ』がある場所へと向かっていた。
あぁ、俺これ好き。
ストレートに、シンプルに、純粋にそう感じた。
そして宇多さんから『それ』の製作秘話を聞いて更に好きになり、袖を通したあと鏡越しに「がまお、似合うね」と言われ、もっと好きになった(単純)。
あぁ、俺これ超欲しい。
ここまで心が踊らされ、パーソナルな部分に響いた洋服は久しぶりかもしれない。
是非、この大好きな1着をご案内、いや、知って欲しい。
1910年代頃にフランス軍へ支給されていたジャケットをベースに、OUTILの視点を通してシャツへと再構築しているCHEMISIER UNIEUX。
バンドカラーとスタンドカラーの中間的な襟形状や袖の仕様は、釦を開けても開放感に寄りすぎず、不思議と落ち着きがある。シャツ的ではあるが、ベースを引き継ぐように幅と腕周りのサイジングは緩さがあり、ボックスのシルエットも相まってジャケットのように着る事も可能にしている。
個人的にはジャケットの中に忍ばせて着たい願望もあり、このシャツのサイズは3番までの展開とした。
そして、こういった願望が生まれた訳も、そもそも好きになったキッカケも全てはこの目を惹く柄から始まっている。
宇多さんが所有しているポルトガルのヴィンテージタイルをモチーフに、インディゴ糸を用いてジャガードで柄を製作。アトリエで実際にタイルを拝見したが、色合いも含めて見事に再現されている。
そしてプリントではなく、インディゴ+織りで表現している事にOUTILらしさが詰まっていて、裏地の無い一重仕立てとなっている分、表裏ともに自然と起こる擦れなどで徐々に風合いが増していき、洗いを繰り返すことでインディゴの色彩変化も同時に楽しむことが出来る。
異国情緒とも言える独特なムード感。
そこに少しずつ着る人の日常が重なる事で、この1着はここから更に魅力を増していく。
それが『シャツ』としても『ジャケット』としてもだ。
一期一会という言葉があるが、このシャツには幾つもの一期一会が連なっている。
宇多さんがひとつのタイルと出会わなければ始まっておらず、OUTILのモノ作りに関する様々な繋がりが無ければこういったカタチで生まれてはいないのだから。
時にそういったストーリーを秘めた洋服には輝く何かがあり、アトリエで不思議と惹かれた理由が今となっては大きく頷ける。
そして、自分自身の思考を整理しながらこの記事を書き終えようとしている今改めて思う。
やっぱり俺、これ超好き。
4.17(水)
18:00 - Web Store release
筆者
nariwai store manager
橋場 祐人
(通称がまお)
〒980-0014
宮城県仙台市青葉区本町2-6-23
ビブレスタオフィスビル2F
022-796-2240
nariwai-online.com
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?