Caleと夏
いい意味で違和感のある洋服が好きだ。
それも大胆に誰でも分かるようなニュアンスではなく、ぱっと見では分からない程度で仕上げていながらもしっかりと意味を感じさせるような、そんな違和感に高揚を覚える。
何故ならば、経験上そういう部分にはデザイナーの本意が隠されていたりするから。
特にデザイナー佐藤氏が手掛ける『Cale』にはそんな魅力が満ち溢れている。派手には飾らず、ただ静かに、さり気ない違和感と共に情緒と色気がナチュラルに洋服へと注がれているのだ。
毎度、展示会で佐藤氏の話を聞きながら試着をしていると、素敵な洋服だなぁといつも心が惹かれる。
それぞれがミニマルな佇まいでありながら強い説得力が秘められていて、非常にCaleらしい。
(まだ自分のサイズがあるという残酷な現実、、)
そんな中、今季のCaleには一際『違和感』を宿す洋服があった。
それがまた良過ぎて選び切れず、結局、同型同素材で3色オーダーするという決断に至ったのだが、納品した今に改めて見てもまだ選び切れない自分がいる。
それほどまでに、このシャツ達はやっぱり素敵だ。
Caleが夏を彩る素材
『ウォーターツイストリネン』。
名称の通り、水中でリネン糸を撚ることで規則性の無いランダムな畝りや立体感のある表情感へと仕上がっており、製品洗いとはまた少し異なった風合を纏っている。しっかりとした凹凸感がある分、肌との接地面積が少なく、リネンのドライタッチさがより優れた肌離れに繋がっている。
その独特な風合いは色味にも大きな影響を与え、"White"はパキッとした白ではなく、少しトーンが沈んだ優しい清涼感とクールな印象感を伴う大人な白に。"Gingham check"は生地の凹凸により柄に動きが生まれ、青と黒共に色味が掠れることで素朴かつ奥深い風合いが感じ取れる。
3色ともにベーシックで間違いなく見た事がある中、不思議と初めて目にする感覚を憶える筈だ。
これが1つ目の違和感。
そしてよーく見ると、不思議なBDである事に気が付く。
そう、襟台とトップ釦が省かれているのだ。
高さを抑え、立体感のある襟の返りが優美なワンピースカラーとBDを掛け合わせることで、コンパクトだが立体的という新鮮な印象感を演出。そしてトップボタンを無くすことで、ボタンを閉めた状態でも自然な開放感を与え、上を3つほど開けるとスキッパーのような姿にも様変わりする。
真夏でも無理なく袖を通せられるような緩さは与えながらも、過度なリラックス感には着地させておらず、羽織りとしてもシャツとしても威風堂々とした様がそこにはある。そして、纏っている佇まいとその見え方にさえ心地の良い違和感を感じさせるのがこの1着だ。
記事を書き終えた今、改めて思う。
佐藤さん、このシャツ達もやっぱり素敵です。
6.9(日) 18:00 - Web release
筆者
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橋場 祐人
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