相棒のような距離感。
SEVEN BY SEVENが手掛けるレザーのプロダクトは、ここ数年に於ける殆どのシーズンで展開をしている程、個人的には"ある期待値"が半端じゃない。
むしろ、展示会に向かう時はそこに縋る思いすらある。
最近だと、先日にリリースしたスエードトートバックが記憶に新しいが、それもドストライクに私の期待を撃ち抜いていた。3色を展開していたが、現時点で在庫が無い事実を見ると、撃ち抜かれたのは私だけでは無いということだろう。
ただ、革物でも鞄のように少しサブ的な位置に存在している場合は身近に感じやすいのだが、洋服のように主役面になると突然として様々な壁が姿を現し、一変して遠い存在になるという経験はあるある話だと思う。実際にお店でもそんな悩みを多く聞いてきた。
価格的な側面というよりも、そのハードなニュアンスと自分自身の相性がどうであるのか。そこが大きな難題であり、おそらく価格の問題は洋服単体の話ではなく、その不明瞭な相性に対して起こり得るのだと思う。
当然、全ての人に当て嵌まる話ではなければ、全ての革物に向けて話している訳でもないのだが、実際にそういった現場を見ている分、一定多数の方には響く話ではないだろうか。
その上で、改めて話す。
私は、SEVEN BY SEVENが手掛けるレザーのプロダクトには"ある期待値"を寄せている。
その答えがこれだ。
今季のSEVEN BY SEVENが製作していたジャケットは、80年代頃の空気感を漂わせるZIP仕様のミニマルなデザインに上質なシープスエードを纏わせたもの。
当時の個体で見受けられる多くの物は、90年代特有のルーズ感に繋がるリラックスフィットで見栄えは垢抜けておらず、どうしてもいなたさが拭いきれない。
ただ、そのいなたいバランスがハードな印象を崩す理由にもなり得る為に多少の香りは必要だったりもするのだが、今作はまずその加減とも言えるシルエット感が秀逸で非常に良い。
少しだけ縦に伸ばしつつも、身幅と腕周りは適度に余白を与えながら袖は同素材でリブ役を、両裾にはゴムを配して微かに丸みのある収まりに設計し、心地の良い緩さと程良いスタリッシュさを上手く伴わせたバランスに仕上げている。
この時点で『着れる』形であることは確かだ。
採用されている革は、カシミアの語源にもなっているインドはカシミール地方に生息している羊より厳選した上質なシープスエード。
カシミール地方は、パキスタンとの国境付近にある山岳地帯に位置しており、年間を通して寒冷な地域であることから生息する羊の皮は非常に肉厚で滑らかな肌触りが特徴らしく、スエードの表情感もいい意味で荒々しさと優しい風合いが混ざり合っている。
ゴリっとした男らしいワイルドさに偏る訳ではなく、逆に凛とした品のある面持ちでも無い。
この中間に在る雰囲気感はこの革の大きな魅力と言えるだろう。
そして、生産も同じくインドの縫製工場で職人らが製作。
アパレル生産業が飛躍的に推進している分、生産コストをかなり抑えながらも非常に高い完成度で仕上げる事が出来るのだそう。
クオリティに対するプライスの違和感はそういう事か、、、。
体型に左右されにくい着心地の良さと現代的なシルエットバランス。
そして不思議と前々から自分の所有物であったかのようなカシミールスエードの馴染みある存在感。
この掛け合わせが絶妙な比率で構成されている分、レザー着と言えども袖を通すハードルは極端に低くなり、足枷になっていたニュアンスと自分自身の間にある距離は一気に縮む事になる。
これこそが、SEVEN BY SEVENへの信頼とも言える期待値だ。
どこか相棒のように感じてしまうこのジャケットは、所有になった瞬間からずっと先まで、着る人自身の本当の相棒になるだろう。
こちらは、既に店頭販売を開始しており、オンラインストアの掲載はご用意が叶う場合に限り8月27日(火)17:00を予定としております。
店頭にて完売の場合は掲載は控えさせて頂きますので予めご了承ください。
また、掲載前に通販をご希望の場合はお店または私までご連絡をいただけますと優先順にご対応をさせて頂きます。
筆者
nariwai store manager
橋場 祐人
(通称がまお)
〒980-0014
宮城県仙台市青葉区本町2-6-23
ビブレスタオフィスビル2F
022-796-2240
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